正常な生理周期の基準とは?
生理の周期は、脳と卵巣のホルモンネットワークのはたらきによるものです。個人差はありますが、だいたい25日から35日、平均して28日のサイクルで繰り返されるのが一般的です。生理周期が短い人、長い人には、どのような原因とリスクがあるのでしょう? それぞれの対処法も含めて解説します。
生理周期が短い人のリスクと対処法
24日以内の生理周期は「頻発(ひんぱつ)月経」とよばれます。頻発月経には、黄体ホルモンの分泌が少なくて起こる排卵性と、性機能が未成熟で起こる無排卵月経があります。卵巣の状態がよくないことが多く、不妊の原因になりえるため、早めの受診を心がけましょう。
生理周期が短い人は、卵巣に存在している発育可能な卵胞の数「AMH数値」が低いかもしれません。ただし、AMH数値は卵胞の質や卵巣の年齢を測定する指標ではなく、AMH数値が低いと妊娠しにくいわけではありません。
頻発月経の対処法には、ホルモンバランスと生理周期を整えるピルの服用が考えられます。ピル服用時の卵巣は休息をとれるため、卵巣機能の改善が促されます。具体的には、しっかり排卵が起きるようになる、28日サイクルの生理周期になることなどが期待できるでしょう。
生理周期が長い人のリスクと対処法
39日以上の生理周期は「稀発(きはつ)月経」とよばれます。稀発月経にも、排卵性と無排卵性がありますが、注意すべきは無排卵月経です。無排卵の稀発月経には、黄体ホルモンの分泌が多すぎて起こる多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)の可能性があります。
多嚢胞性卵巣症候群は、未成熟のまま発育しない卵胞が、卵巣内で袋状にたまる排卵障害です。したがって、生理周期が長い人は、前述したAMH数値が高くなります。男性ホルモンが増加するのも特徴です。
対処法としては、排卵の機会を増やす排卵誘発剤の適時使用が考えられます。服用しても反応しなければ注射で誘発しますが、たくさんの卵胞がいっぺんに排卵しようとして、卵巣が腫れてしまうケースもあります。このような場合は、将来的に体外受精の検討が必要です。
自分の生理周期を把握しましょう
生理周期は、不妊の原因を突き止める大切な指標です。アプリでご自身の生理日を記録して、生理周期が正しいかを確認してみましょう。生理周期が短い人については、生理でなく子宮の病気で出血している可能性もあるため、婦人科の受診をおすすめします。
医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。