いつ授かっても嬉しい赤ちゃんですが、『高齢出産』の場合は6人にひとりは妊娠高血圧症になるといわれていますし、赤ちゃんが染色体異常になる確率も跳ね上がってしまいます。そんな高齢出産は、出産で母になる女性が「35歳以上ではじめて」という場合や「ふたり目以降だけど40歳以上」という場合に当てはまります。今回は、高齢出産のリスクや検査、気をつけるポイントを聞いてみました。
高齢出産のリスクと原因
高齢出産の場合、赤ちゃんには「不妊」「不育症」「流産」「ダウン症、自閉症などの先天性障害」といったトラブルが起こりやすくなってしまいます。というのも、35歳を過ぎてくると卵巣の機能が低下し、健康な卵子が作られにくくなってくるからです。そのため、妊娠自体が難しくなってしまいますし、せっかく受精しても染色体の本数が少ないなどの異常が起こりやすくなってしまうのです。
赤ちゃんに染色体異常があると、受精卵が上手く着床できなかったり子宮の中で上手く育ってくれなかったりということもありますし、最悪の場合は流産してしまう危険性まであります。流産の確率は30歳までは約1割ですが、35歳では約2.5割、40歳では約4割にまで高まってしまいます。
また、染色体異常がある場合は無事に生まれてきても先天性疾患の可能性があります。先天性疾患では赤ちゃんの発達がゆっくりになるというダウン症が有名ですよね。ダウン症を発症する確率は35歳で30歳の時の約2倍に高まり、40歳では80人にひとりの赤ちゃんはダウン症になってしまうといわれています。
高齢出産のリスクを理解して検査を受けて
染色体異常は夫婦の年齢に比例してなりやすいため、残念ながら予防は難しいです。ただ、検査を受けて事前に染色体異常があるかどうかを調べることはできます。この検査は「出生前診断」と呼ばれ、次のような検査があります。
1. 血液検査(母体血清マーカーテスト、NIPT)
母の血液を採取して、母体血清マーカーテストではホルモンから、NIPTではDNAを解析することで異常の有無を検査していきます。母体血清マーカーテストは1~2万円くらい、NIPTは20万円くらいで受けることができます。
2. 絨毛検査
お腹や子宮頸部から胎盤の一部である絨毛を採取し、その細胞の染色体の構造や数を調べる検査。費用は大体10万~20万円くらい。
3. 羊水検査
羊水を採取して絨毛検査と同じように染色体の構造や数を調べていきます。費用は大体10万~20万円くらい。
絨毛検査や羊水検査は確定検査なので異常がある場合はほぼ100%間違いがないといわれています。母子ともに負担がかかってしまうこともありますので血液検査で異常が疑われる時にだけ行われる場合があります。
お金が心配という人もいるかと思いますが、市町村などで補助してもらえることもあります。金額など詳しいことは地域で違いますので、病院で確かめてみることをおすすめします。
上記の検査は高齢出産の場合も通常の妊婦と同じで、医師から「受けたほうがよい」等の指示がもらえます。エコーなどの検査結果から判断してもらったり風疹など季節的にした方がよい検査もあったりしますので、なるべく指示通りに受けるようにしたいですね。
高齢出産をする人が急増中! 事前にリスクを理解して
高齢出産を経験する人は、実は30年前と比べて約4倍。2013年には約3割の人が35歳以上で出産しているようです。病院としても検査を受ける人が増えているという実感があるそう。実際、高齢出産では防ぎようのないいくつものトラブルが母子ともに起こりかねません。もし間に合うようなら早めの出産を、これから高齢出産にされるという場合はリスクをしっかり理解して医師と協力して出産に臨むようにしましょう。
注意したいのが、検査結果から中絶を望んでも法的には認められていないということ。妊娠週数も進んでいると中絶するにしても再妊娠できなくなるなど母体に危険が伴う可能性があるため母体保護法に引っかかってしまうのです。検査は、あくまで「これから産んで育てる心構え」をするために受けるようにしてくださいね。
医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。