子宮あたりが痛い…は、病気のサインかも?
子宮の辺りが痛いと感じることはありませんか? もしかしたら病気かも…と不安な気持ちになりますよね。この痛みから考えられる子宮の病気として、子宮筋腫と子宮内膜症が挙げられます。それぞれどのような病気なのでしょうか。
子宮筋腫は遺伝子の異常が原因でできてしまうと推測されています。子宮がんが悪性の腫瘍であるのに対して、子宮筋腫は転移や浸潤がおこらないので良性と言えます。しかし、子宮筋腫が不妊や流産の原因となることがあるので注意が必要です。貧血や激しい月経痛などの症状がある場合、一度検査を受けることをお勧めします。
子宮内膜症は子宮内膜の組織が子宮以外のところで増殖してしまう病気です。この原因は諸説ありますが、まだはっきりとした原因は解明されていません。しかも子宮内膜症が原因で妊娠しづらくなることがありますので、妊活中の女性には気をつけて欲しい病気のひとつです。症状としては生理痛が重いこともありますし、生理のとき以外でも下腹部の痛みを感じる場合もあります。ほかにも、腰痛、性交痛、排便痛といった痛みは、子宮内膜症のサインかもしれません。
+30歳になったらがん検診を
子宮筋腫や子宮内膜症はもちろん気を付けて欲しい子宮の病気ですが、命をもおびやかす子宮がんについてはさらに早期発見に努めなければなりません。
「がん検診」というと、ハードルが高い、足が重い、と感じる方も多いと思います。しかし、「もっと早く検診を受けていたら…」「1年前に発見できていたら…」というとても残念な例も、まれにですがあります。このようなことを防ぐためにも30代になったら、一度はがん検診を受けて下さい。
たとえば、会社で受ける視力検査や体重測定などと同じように、当たり前に受ける必要があるものと捉えていただきたいです。子宮頸がんの検診では、まずは問診で初潮の年齢や直近の月経の様子などを聴取します。それから膣内の視診と、子宮の細胞採取をします。ほとんど痛みはありませんのでリラックスして受けてください。
検査の結果については、市区町村実施の検診の場合おおよそ10日から1か月の間に郵送で送られてきます。結果通知には、異常なしか、異常がありさらに精密検査を受ける必要があるか、いずれかの結果が書かれています。精密検査を受けるよう通知があった場合は、すみやかに医療機関で受診してください。
市区町村が実施している子宮がん検診には国から費用の補助があります。自己負担額は自治体によって差がありますが、0円~2000円程度で検診を受けることができます。
無料クーポンが発行された場合が0円、通常おおよそ800円~2000円の範囲内です。
一度ご自身の住まわれている自治体で実施されている検診について調べてみましょう。国からの補助が出るこの機会に、検診を受けて、子宮の健康を保つよう心がけてくださいね。
ちなみに…、婦人科系の病気でなかったとしたら??
もちろん子宮辺りの痛みが全て子宮の病気であるとは限りません。痛みの位置を考えると、腸の病気である可能性もあります。たとえば、過敏性腸炎や盲腸など、皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。このほかにもさまざまな可能性があることを踏まえて、気になる痛みについて病院で相談してみてくださいね。
医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。
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