それ、「笑顔うつ」のサインかもしれません
「あなたは、悩みを誰かに話したり、弱音を吐いたりしたときに、『誰だってそうだよ』『もっと前向きに考えなよ』などと言われて、モヤッとしたことはありませんか?
そのたびに、『自分はネガティブなんだな』『自己肯定感を高めなきゃ』『もっとがんばらないと』と思って、がんばっている人もいるかもしれません。
でももし、
・ やりたいことはたくさんあるのに、できなくて落ちこむ
・落ちこみはないけれど、体が重く感じる
・働けてはいるけれど、家に帰るとぐったりしてなにもできない
・人といるときは落ち着いているのに、ひとりになると涙があふれる
・つい先走ったことをして、いつも失敗してしまう
こんな状態が続いているのであれば、心と体をいたわってあげてほしいのです。なぜなら、あなたは『笑顔うつ』かもしれないからです。」
ーーそう語るのは、毎月500人以上の患者さんの診察をしながら、SNSなどで生まれつき感受性が強くて敏感な気質を持ったHSPに関する発信もしている、精神科医・しょうさん。
しょうさんによると、なんとか社会生活は送れているものの、内面で抑うつ症状や身体の不調を抱えている状態を「笑顔うつ」と呼んでいて、簡単にいえば、うつ病や適応障害の軽症か中等症の状態にあたるのだとか。
笑顔うつは、初期の段階では異変の兆候がないことから、甘えや性格の問題と思われ、まわりからは精神の病気を疑われない傾向が。
でも、〝笑顔の仮面〟をつけて、社会生活をなんとか成立させてしまえるために、サポートが得られず、つらい症状が悪化しがちなのだという。
そこで、しょうさんの著書『精神科医が教える 笑顔うつから抜け出す方法』より、自分の心と体に起きていることを知り、不安を解消するための方法を解説!
前回の記事はこちら>>あなたが迷い込んでいるのはどこ? 笑顔うつになると迷いこむ「4つの世界」
〝歩くと体調が悪くなる道〟にいる人の悩みと対処法
前回の記事で、4つの世界のうち、どの世界に迷い込んでいるのかチェックできましたか? ここでは、1つめ「歩くと体調が悪くなる道」にいる人たちに向けて、悩みと対処法をご紹介。
【悩み】体全体(あるいは胸のあたり)が重い感じがする
【対処法】短時間だけ集中する
「歩くと体調が悪くなる道」にいる人たちは、なんとなく体が重いという感覚がずっとあると思います。
体が重だるいときは、ムリをしないでのんびりすごしてほしいところですが、なにもしないでいると、なにもできない自分を責めたり、まわりの人に迷惑をかけていると思って罪悪感を抱いてしまう人もいるでしょう。
そんなときは、次のような短時間だけ何かに集中するのがおすすめです。
1. 短時間のストレッチをする
ストレスを受け続けていると、知らない間に体中の筋肉が緊張しています。
体が凝るのは、ストレス状態では体が防御的な姿勢になりやすく、筋肉が緊張するからです。特に、ストレスに対する反応として首や肩の筋肉は凝りやすいです。
ストレスで不安や緊張が高まると、自律神経系が刺激され、体に〝戦うか逃げるか〟(ファイト・オア・フライト)という反応が起きます。
これは、体が危険に対応するための自然な反応で、この反応により、アドレナリンなどのストレスホルモンが分泌され、心拍数や血圧が上昇し、筋肉が緊張状態になります。
さらに、ストレスを受け続けると、筋肉の緊張が慢性化し、筋肉痛や硬直を引き起こすことがあります。
ストレッチで体の緊張がほぐれると、気持ちもやわらぎます。休憩しているときに、次の手順で首と肩のストレッチをしてみてください。
【体の緊張をやわらげる首と肩のストレッチ】
2つのストレッチを1セットとして、1日合計3セットやってみよう。仕事の合間やリラックスタイムのほか、寝る前にやって筋肉をほぐすのもgood!
■首のストレッチ
1. 座った姿勢で、首を前に倒す。あごが胸に触れるくらいまで近づける。15秒間この位置を保つ。
2. 頭をゆっくりともとの位置に戻し、次は右に倒す。できるだけ右耳が右肩に触れるくらいまで近づける。15秒間この位置を保つ。
3. 頭をゆっくりともとの位置に戻し、次は左に倒す。できるだけ左耳が左肩に触れるくらいまで近づける。15秒間この位置を保つ。
■肩のストレッチ
1. 座った姿勢で背すじを伸ばし、右腕を左へ伸ばす。
2. 左腕で右腕を抱きしめ、右肩の伸びを感じる。15秒間この位置を保つ。同じ動きを左腕でも行う。
3. 両腕をもとに戻し、次は両手を前に出して手を組む。組んだ手をさらに先に伸ばし、そのまま腕ごと左右に大きくゆらゆらと動かす(背中の筋肉が伸びるのを感じる)。これを30秒間行う。
2. 好きなことを10分集中してやる
自分が好きな方法で集中するのがおすすめです。なぜなら、好きなことをすることが、一番心身を落ち着かせるからです。
体を動かすのが好きな人であれば、近所を10〜15分ほど散歩するといいでしょう。体を動かす効果は、運動療法として実証されています。
絵を描くことや、料理をするのが好きであれば、10分程度ちょっと集中してやってみてください。
なにをしても集中できないときは、早く寝ちゃいましょう。寝ることをあまり重要に考えない人もいますが、調子の悪いときにはあれこれするよりも、一番の解決策だったりします。
その日の状況や気分は、次の日以降も続くとは限りません。思いきって早く寝て脳と体を休めることが、調子を取り戻すカギになり得ます。
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『精神科医が教える 笑顔うつから抜け出す方法』(精神科医 しょう著/あさ出版)
・ゆううつな気持ちがずっと続いていたり体が重くなっているにもかかわらず、会社の人や友人たちには明るい表情で接して悟られないようにしてしまう……。
・1人になったら悲しくもないのに涙が止まらなくなる。
・最近うっかりミスが増えてきた。
・やらなきゃと思うのに、体が動かない。
・外ではきちんとできるのに、家の中はめちゃくちゃ。
・しんどくても元気にふるまっているのに、「気持ちの問題だよ」「まじめにやってよ」「誰でもそんなことあるよ」と言われて、理解してもらえない……。
こんなことはないでしょうか。もしかするとそれは「笑顔うつ」のサインかもしれません。
この本では、まわりから理解されにくい「笑顔うつ」をイラストでわかりやすく解説。
「ホントはしんどいのにまわりに言えない人」に向けて、精神科医が体と心のケアの仕方を紹介します。