身近な人のココロが弱ってしまったらどうすれば?
“できるだけ自然な態度で見守る”が基本であり、鉄則
家族やパートナー、同僚、後輩など、自分の周囲の人の心が弱ってしまったとき、「何か手助けしたいけど、どうしたらいいかわからない」と思うのは自然なこと。
でも、一方の当事者は不安や焦り、「周りに迷惑をかけている」といった罪悪感の中にいて、いっぱいいっぱいだったりします。
そんな状況で私たちができることは、不調のサインに気づき、必要ならば適切なアクションを起こすこと、そして、当事者のつらさに目を向けつつも、ふだんどおり接すること。だれしも遭遇しうるシチュエーションだからこそ、正しい知識を身につけておきましょう。
メンタル不調のあの人に、私たちができること・できないこと
相手からのSOSを見逃さない
不調度チェックテストの結果に該当する症状に加え、周囲から見て特に気づきやすいのが上記のようなサイン。いつもに比べ“しんどそう”な症状はもちろん、髪型が乱れているなど、身だしなみに変化が表れやすいので要チェック。
「あれ?」と思ったら、まずは声かけ
休職中や治療中は「そっと見守る」
パートナー・家族
通院時は、一緒にクリニックまで行き医師の話を聞く。今どんな状況にあるのか理解したうえでサポートすることが、回復の早道。支える側が自身の悩みを相談してもOK。
職場の同僚・部下
仲のいい同僚や先輩の立場であっても、「調子はどう?」「少しは元気になった?」などと連絡をとるのはNG。しっかり休養させるためにも、治療中は一切連絡を絶つことを前提に。
不調から回復途中の人には腫れものに触るような態度をとらない
パートナー・家族
ほどよく距離をとって見守る姿勢を大切に
在宅勤務の場合、声をかけられると気が散るので、業務時間はなるべくひとりにしておく。「ごはんあるけど、疲れてたら無理して食べずに休んでいいよ」など、本人の意思に任せるような声かけにとどめ、回復をゆっくり見守って。
NG行動:「調子はどう?」などと、必要以上に心配したり探りを入れる
職場の同僚・部下
簡単でもいいので、具体的に仕事を与える
周囲が特別視して何もさせないのは逆効果。居場所を奪うようなことをすると、「やっぱり自分は役に立たないのか」と余計傷つくもの。簡単な仕事を振り、仕事と向き合う時間をもってもらうことが復職の入口。
NG行動:「何かあれば言ってね」と言って放置する
教えてくださったのは…
精神科医・産業医|尾林誉史(おばやし・たかふみ)
1975年生まれ。VISION PARTNERメンタルクリニック四谷院長。東京大学理学部卒業後、リクルートに入社。30歳で退社し弘前大学医学部を経て医師に。著書に『元サラリーマンの精神科医が教える 働く人のためのメンタルヘルス術』(あさ出版)など。
2023年Oggi5月号「働く私のメンタルヘルス」より
撮影/河内 彩 イラスト/オカヤイヅミ 構成/佐々木 恵・酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部