ひとり暮らしを始める人へアドバイスしたいこと
親にあれこれ言われない。誰と一緒にいてもいい。好きなときに寝て、好きなときに起きる。自由気ままな、憧れのひとり暮らし。
でも、いざひとり暮らしをすると、毎日が失敗の連続です。ひとり暮らしは「できて当たり前」ではありません。毎日、毎日、生きるために必要な作業をたったひとりで続けていくのは、実はとても大変なことなのです。
ひとり暮らし歴の長い先輩たち約100人にアンケート調査を行ったところ「これからひとり暮らしをする人に、同じような失敗や後悔をしてほしくない」という言葉とともに、約1000件ものアドバイスが集まりました。
【人間関係編(NOと言う練習をしておく)】
◆人間関係のトラブルで自分をすり減らさないために
学校・勤務先・ご近所・友達・恋人。私たちの周りにはさまざまな人間関係があります。相手に合わせているうちに心と体が疲れてしまわないよう、自分を守る術を身につけておきましょう。
◆我慢しすぎてつらくなる前に
断るのが苦手な人は、「相手に悪いから」「相手に嫌われたくないから」と、自分が我慢してやりすごしてしまうことが少なくありません。反射的にYESと言ってしまっている可能性もあるので、まずは「少し考える時間をください」「あとからお返事します」など、返事を保留するようにしてみましょう。
それができるようになったら、次は「断るためのマイルール」を準備します。たとえば、「大勢が参加する飲み会は疲れるから断る」「金曜日の夜はひとりでゆっくり過ごす」「週末は体調を整えるために休む」など。自分の気持ちを優先するためのマイルールがあると、なんとなくYESと言ってしまうのを防ぐことができます。
信頼できる人に協力してもらって、NOと言う練習をするのも効果的です。大切なのは、練習を通して「断っても大丈夫」という新しい価値観を身につけること。価値観の小さな芽を育てていけば、やがて大きな頼まれごともスムーズに断れるようになりますよ。
【メンタルケア編(困ったときは人に頼ってみる)】
◆自分を責めそうになったらゆっくり休もう
すぐ不安になる、人と比べて落ち込む、消えてしまいたいと思う。そう感じたときは自分が思っている以上に心と体が疲れています。勉強も仕事も休んで心と体をいたわりましょう。
◆そもそも日本人は相談が苦手
アメリカの小学校にはスクールカウンセラーがいて、全生徒と定期的に面接を行うことで、相談しやすい環境をつくっています。しかし日本の学校の多くは、自分で相談室へ行かなければカウンセラーに相談ができません。その結果、大人になっても相談することに高いハードルを感じる人が多いと言われています。
自立とは、「なんでも自分で解決できる完璧な人になること」ではなく、「頼れる先を増やすこと」です。悩みを誰かに話すだけで、ストレスが減ることもあります。
困ったときには、誰かに相談してみましょう。たとえば、学校や会社に行くのがつらいとき、いきなり親や上司に「辞めたい」と言うのではなく、まずは「こういうときにつらいと感じる」と話してみるイメージです。「言われるまで気づかなかった。申し訳ない」とすぐに状況を改善してもらえることもあります。
親や上司が信頼できない、引き留められたら面倒、と思ったときは、無料の相談窓口を使うのもおすすめです。
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イラスト/OGA
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ライター 華井 由利奈(はない・ゆりな)
愛知県出身。大学卒業後、印刷会社に就職。コピーライターとしてトヨタ系企業など100社以上の取材を行う。2016年に独立。現在は、女性活躍、ビジネス、教育、生活情報など幅広い分野で執筆。大学や教育講座での講演も行う。著書に『一生困らない 女子のための「手に職」図鑑』(光文社)。