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BEAUTY

2023.04.19

「メンタルが不調かも…」と感じたら?精神科医が指南する【心のケア方法】

新生活がスタートするこの季節は、異動や新入社員の仲間入りなど、環境が変化してメンタルへの負荷も増える時期。 元サラリーマンの精神科医が教える、「心のSOSに耳を傾ける」メンタルケアの教科書をお届け。

調子が悪いなと思ったら、心のSOSに耳を傾けて

「気分が沈みがち」「どうもやる気がわいてこない」というときは、心身のサインに耳を傾けて。特に注意が必要な環境や最近の傾向について、精神科医の尾林先生に解説していただきました。

>>まずはメンタル不調度チェックから!

教えてくださったのは…

精神科医・産業医の尾林誉史先生

精神科医・産業医|尾林誉史(おばやし・たかふみ)
1975年生まれ。VISION PARTNERメンタルクリニック四谷院長。東京大学理学部卒業後、リクルートに入社。30歳で退社し弘前大学医学部を経て医師に。著書に『元サラリーマンの精神科医が教える 働く人のためのメンタルヘルス術』(あさ出版)など。

メンタルがジワジワと削られていく原因は…?

落ち込んでいる女性のイラスト
(c)Shutterstock.com

「僕、30歳まで会社員だったんです。営業職で月100時間超の残業を慢性的にしていましたが、ろくに契約も取れなくて。肉体的にも精神的にもギリギリでした」とサラリーマン時代を振り返る尾林先生。

当時の経験から産業医を志し、現在は20弱の企業で従業員の健康管理を担当。メンタルクリニックも開業しています。

「仕事の量や質、人間関係などのストレスから抑うつ状態や適応障害に陥っている方を主に診察しています。

『今は瞬間風速的にとても忙しくてしんどいけれど、病気というほどではなさそう。今後も気をつけていきましょう』とお話しして、安心して帰っていかれる方も結構多いです。

『心の病気だったらどうしよう?』と怖れずに、クリニックは気軽に訪れていただいて大丈夫ですよ」

働く人が特に気をつけたい、「適応障害」「うつ病」とは?

頭痛に悩む女性のイラスト
(c)Shutterstock.com

精神的・肉体的なストレスでセロトニンなど神経伝達物質が枯渇し、脳がうまく働かなくなっている状態。いずれも”抑うつ状態”という症状から始まります。

「適応障害」はストレスの要因から離れることで比較的短期間で回復し、薬物療法も積極的には行われません。ストレス要因から離れても心のしんどさが続く場合には、「うつ病」と診断されます。

うつうつとした状態が2週間以上続いたら危険信号!

「『なんとなく気分が晴れない』なんてことは、だれにでもあります。ですが、うつうつとした状態が2週間以上続いているとしたら、日常生活の見直しや治療も視野に、立ち止まって考えたほうがいい。

多くの場合は、まず頭痛や耳鳴りなど体の疲れのサインが出て、それに目をつぶって頑張り続けると、メンタルヘルスにもジワジワと影響が表れてきます。『メンタル不調度チェックテスト』は、自分の不調に気づいたり、適切な対処法を思い出すきっかけにしていただきたいですね」

長時間労働が2〜3か月慢性的に続いたら注意!

仕事がキツい、やりがいがもてない、上司が苦手… 私たちの生活にはさまざまなストレスがある

疲れている女性のイラスト
(c)Shutterstock.com

「中でも長時間労働は、メンタルの不調の引き金になりやすいです。働き方改革が進んでいる職場も多いですが、目安として、ひと月の残業時間が45時間を超えると少し多め、80時間を超すと要注意、100時間を超えると明らかに是正しないといけないライン。

こういうとき、一般的には産業医から『もうちょっと休めない?』なんてアドバイスされがちなんですが、できないから心身にしわ寄せがきているわけで(苦笑)。

それに、社会人として『ここは頑張りどころ!』という時期ってありますよね。僕自身も会社員時代、集中的に働くことで、成長できた、自分の血肉になった、と実感したこともあります。

だから、残業がダメとは言いたくないし、そういうときは存分に頑張ればいい。とはいえ、長時間労働が長期間続くのはいけません。体感的には2〜3か月が限度でしょうか。

過酷な残業がそれ以上続くと生産性は落ちますし、心も疲れてしまいます。僕もPCの前で、気づくと同じ画面を見たままボーッとしていた、なんてことがありました」

真面目な性格との折り合いのつけ方

コロナ禍で「不安」を訴える人が増えた

ウイルスと女性のイラスト
(c)Shutterstock.com

この約3年は「コロナ禍で精神的にキツかった」という人も少なくありません。

「来院する患者さんの数自体が、劇的に増えたということはありません。ただ、相談内容には多少変化があって、『うつうつとする』というよりは、『先行きの見えない世の中で、自分はどうなっていくんだろう』といった“不安”を口にする方が増えました

不安はうつの初期症状なので、“プチうつ”といえる状態の人は増えているかもしれません」

リモートワークが続いて「褒めてもらえない」とネガティブな気持ちになっている人も

リモートワークをする女性のイラスト
(c)Shutterstock.com

「また、『褒めてもらえない』という相談も増加。これはリモートワークの影響が大きいでしょう。

自分の仕事に対して、面と向かって『うん、いいね』と言ってもらえば安心するところ、チャットなどテキストで『いいと思います』と言われると温度が伝わってこない

その結果、『実はダメだったのかも…』『自分は役に立っているんだろうか』とネガティブにとらえてしまう人も一定数います」

仕事を「自分でなんとかしなきゃ」と抱え込むのは、おこがましいかも?

特に、“真面目な人”ほど、メンタルのバランスを崩しやすい傾向があるとか。

「妥協ができない、また人の手をうまく借りられない方が、弱音も吐かずに抱え込んで、どんどんつらくなっていってしまうんです。

『自分でなんとか頑張ろう』という姿勢はかっこいいかもしれません。でも、残念なことにその頑張りは周囲の人にそれほど伝わっていないし、結果的に体調を崩したりしたら、もったいないじゃないですか。

患者さんには、『自分で全部できる』と考えるのはおこがましいかもしれないよ、という話もします。人ひとりができることは限られているし、周りの人にお願いして、仕事が成り立てばいいじゃないですか」

『元の生活に戻る』ではなく、新しい価値観を築き直す作業

悩んだりするのは当たり前。不調とは上手に付き合っていこう

落ち込んでいる女性のイラスト
(c)Shutterstock.com

「つらいこともあれば楽しいこともあります。生活をして仕事をしていれば、ヘコんだり悩んだりするのは当たり前。

そんなときは、『私はこういう刺激を受けると、こんなふうに反応してしまいがちだな』『こういうときは、気持ちをこう切り替えればいいんだな』と学習していけばいいんです。

メンタルヘルスを損なうと人生のレールから外れてしまう気がして、取り返しがつかないというイメージを抱いている人もいます。でも、環境を調整したり治療したりすれば、うつ病は治ります」

メンタル不調は、今をもっと生きやすくするリセットのタイミング

傘をさしてあげる女性のイラスト
(c)Shutterstock.com

「10年以上患者さんを診てきて感じるのは、メンタルの不調を乗り越えるということは『元の生活に戻る』ことではなくて、新しい価値観を築き直す作業だということ。

これまでとらわれてきた考え方、生き方から解放されて、以前よりいきいきとするようになった方をたくさん見てきました。もちろん、健康は害さないほうがいいけれど、不調に陥ったら陥ったで見えてくる景色がある。無理せず上手につきあっていきましょう」

「ちょっとつらいな」と思ったら相談先はいくつもある!

友人・同僚・家族

いちばん気軽にグチをこぼせる相手。ただし自分のパワーが落ちていると、相手のなにげない言葉に傷ついてしまうことも。たまたま相談できる人がいたらラッキー、くらいの気持ちで。

上司

仕事量や内容、勤務時間の調整などで、遅かれ早かれ関わる存在。ただ、ストレスの原因が上司本人の場合は、さらにその上の上司より、人事などの担当部署に相談するほうが穏便。

人事労務・産業医

人事労務担当部署に相談すると、産業医面談をセッティングされるのが一般的。産業医は精神科医とは限らずその場で診断・治療は受けられないが、クリニックにつないでくれることも。

クリニック

直接病院に行くのもアリ。まずは大病院ではなく、クリニックへ。心療内科・精神科・メンタルクリニックいずれでもOK。医師との相性は大切なので、2~3軒行ってみても。

2023年Oggi5月号「働く私のメンタルヘルス」より
撮影/河内 彩 構成/佐々木 恵・酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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