【目次】
・【原因】生理前に眠れないのはどうして?
・【対処・予防法】日常の習慣が大切
【原因】生理前に眠れないのはどうして?
【1】変化しやすい女性の体
教えてくれたのは… 成田亜希子先生
[一般内科医。日本内科学会・日本感染症学会・日本公衆衛生学会所属]
女性は生理前など性周期によってホルモンバランスが乱れやすく、日常のストレスが相まって自律神経が乱れやすい人が多い傾向にあります。
自律神経の乱れは、ストレスやホルモンバランスの乱れ・疲れ・睡眠不足など様々な要因によって引き起こされます。
【2】イライラ期が始まる
『月経周期による「エストロゲン」の減少により、生理時はイライラしがち。エストロゲンは生理開始3日ほど前から急激に減少し始め、生理開始5日目あたりから徐々に増加していきます』(成田亜希子先生)
日常のストレスがさらにイライラにつながり、眠れなくなることも。普段から規則正しい生活を心がけていることも大切です。
【対処・予防法】日常の習慣が大切
【1】安眠のための基本ルーティーン
教えてくれたのは… 梶本修身先生
[大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授。東京疲労・睡眠クリニック院長。医学博士]
女性の場合30歳になると、自律神経の機能が20歳のときの約3/4程度にパワーダウンします。睡眠のリズムも自律神経が司っているので、寝不足になって自律神経に疲れがたまると睡眠の質も悪くなるんです。
睡眠不足を蓄積したまま生理を迎えないよう、「疲れをとってスッキリ目覚めるための5ルール」をおさらいしましょう。
1. 暑さで汗をかいて自律神経を消耗させないよう、夏は夜通しエアコンをつけて寝る。
2. 起床してから14~16時間後に眠気を促すメラトニンが分泌されるよう、太陽の光で目覚める。
3. 脳が睡眠モードになりにくくなるため、ベッドにスマホは持ち込まない。
4. 自律神経の疲労を軽減し回復を促す、抗酸化作用のあるイミダペプチド。その成分を含む食品「鶏むね肉」を食べるようにする。
5. 相手の体温や寝返りが睡眠の質を下げてしまうため、パートナーとは別々に寝る。
【2】女性ホルモンのバランスを整える
減少する「エストロゲン」を増やそうとするよりも、“分泌のバランス”が重要な女性ホルモン。その女性ホルモンのバランスを整えるためには、どんなことをすればよいのでしょうか?
教えてくれたのは… 杉山力一先生
[杉山産婦人科グループ3院の理事長。医学博士]
1. カラダ全体のめぐりが活性化→ストレスを解消するために、適度な運動を習慣にしましょう。心地よい疲労からぐっすり眠れるようになり、睡眠の質が徐々に向上していきます。
2. 栄養成分を常に補うことは、女性ホルモンのバランスを安定化させることにつながります。バランスの取れた3回の食事を意識しましょう。
3. 夏場でも冷たい飲み物・薄着はできるだけ避け、体を保温するよう心がけましょう。
【3】睡眠時のNGな冷え対策
「“体の冷え”が良くないから、靴下を履いて寝る」というのはNG!
手足からの熱の放散があると眠くなることがわかっています。靴下を履いて寝ると手足から熱が逃げず、結果としてよく眠れないことも。なので眠るときは靴下は履かないようにしましょう。
【4】おすすめの漢方薬
『生理前などに起こりやすい自律神経の高ぶり。夜なかなか寝つけなかったり、イライラ感や焦燥感などを引き起こす原因にもなります。
このようなときには、自律神経のバランスを整える「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」や「加味帰脾湯(かみきひとう)」などの漢方薬がおすすめです』(成田亜希子先生)
【5】飲む温活
冷たい飲み物がNGな生理期間におすすめのホットドリンクの作り方を、杉山力一先生に教えていただきました。
カラダを冷やさないことは、生理期間を心地よく過ごせるポイントになります。体内の余分な老廃物・毒素をデトックスする作用もある、「スパイス白湯」で温活を始めてみましょう。
白湯にスパイスをブレンドするだけで、スパイスによる保温・温感作用が高まり、生理期間の体の不快感やこわばりを穏やかに解きほぐしてくれる効果が期待できます。
白湯にブレンドする特におすすめのスパイス
・サフラン→ 眠りの質を高める効果が期待できる
・シナモン→ 血行を促進し、各臓器の機能を高める
・クミン→ 胃腸のはたらきを整え、生理期間に感じやすいムカムカ・不快感を緩和する
身近なお店でも手軽に買えるスパイス。カラダの内側からも、自分自身をいたわる意識を持ってみましょう。
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