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「大同小異」の意味や読み方とは?
「大同小異」とは、物事に大差がないことです。「だいどうしょうい」と読み、「大同」には、だいたい同じという意味があります。
「小異」とは、少しの違いのことです。違いを表す語句ですが、「小違」と書き間違えないように気を付けましょう。
「大同小異」の由来は、中国の哲学者である荘子(そうじ)が記した書物にあります。
荘子は自らの書において、「大同而与二小同一異、此之謂二小同異一。万物畢同畢異、此之謂二大同異一」と記しました。
これは「物事を大きく見ると、些細な部分が同じだったり異なったりする。一方で、普遍的な意味ではすべて同じ」という哲学的な考えを述べたものです。
古い文章の言葉をよりどころとする「大同小異」は、故事成語(こじせいご)と呼ばれます。
現代社会では、似たり寄ったりというニュアンスで用いられるのが一般的です。
だいどう‐しょうい〔‐セウイ〕【大同小異】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[名・形動]小さな違いはあっても、大体が同じであること。また、そのさま。「—な(の)意見」

「大同小異」の使い方と例文
「大同小異」は、日常生活やビジネスシーンで以下のように活用できます。
・どの企画案も大同小異で、取り立てて目を引くところがない
・新商品のデザイン案が送られてきたが、どれも無難で大同小異という印象だった
・彼女より優れていると思っているのは自分だけで、周囲から見たら大同小異なのかもしれない
・手持ちのアイテムでコーディネートを考えたが、大同小異といったところで今ひとつピンとこない。次の休みは新しい洋服を買いに行こう
・スマホの買い替えについて友人に相談したが、「大同小異、どれも大して変わらないよ」と言われてしまった
「大同小異」の類語や言い換え表現
以下の語句は、「大同小異」と似た意味をもつといえます。
・五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)
・団栗の背比べ(どんぐりのせいくらべ)
・同工異曲(どうこういきょく)
・似たり寄ったり(にたりよったり)
会話の幅が広がるよう、ここではそれぞれの意味と使い方を確認していきましょう。

「五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)」
「五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)」は、「大同小異」のように似たり寄ったりという意味をもつ言葉です。中国の思想家である、孟子(もうし)が記した書の一節に由来しています。
書のなかで、孟子は王様に対して「戦で五十歩逃げた者が、百歩逃げた者を自分より臆病だと笑ったとしたらどうか」と問いを投げかけます。これに対し王は「百歩逃げなかったというだけで、五十歩でも逃げたことには変わりがない」と答えました。
「五十歩百歩」という言葉には、少しの違いはあっても本質的には同じ、という意味が込められています。会話でも「大同小異」に近いニュアンスで使用できるでしょう。
〈例文〉
・さっきから互いの契約数を比べて言い争っているようだが、2件と3件では五十歩百歩といったところだよ
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「団栗の背比べ(どんぐりのせいくらべ)」
「団栗の背比べ(どんぐりのせいくらべ)」は、対象物がどれも平凡で、とくに優れたものがないときに用いられます。
どれも同じで代わり映えしないことを、形が同じ団栗に見立てたことわざです。
似たり寄ったりという意味では「大同小異」と同じです。「団栗の背比べ」の場合は、「いずれも優れていない」という意味合いが強くなるといえます。
〈例文〉
・たとえ団栗の背比べと周囲に笑われても、同期のAには負けたくないという気持ちが自分にはある
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「同工異曲(どうこういきょく)」
「同工異曲(どうこういきょく)」とは、音楽を奏でる人や、詩を書く人の技術が同じであっても、作品の味わいや趣は異なるという意味の四字熟語です。
そこから転じて、「見た目は異なるようであっても、中身はだいたい同じ」という意味をもちます。
「同工」の「工」は、巧みさや技量のことです。メールや手紙などでは、「同項」や「同口」などの書き間違えに注意しましょう。
〈例文〉
・新商品のデザイン案を募ったが、同工異曲といったところで見た目は違っても根本は同じ。斬新なものは見当たらなかった
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「似たり寄ったり(にたりよったり)」
「似たり寄ったり」は優劣がつかない状態に適した表現で、「大同小異」と同じように使用できる言葉のひとつです。
〈例文〉
・「今度のランチ会の場所は決まった?」
「うーん、ひと通りリストアップしたけど、どれも似たり寄ったりで決め手に欠ける感じかな」
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「大同」や「小異」を使ったことわざ
「大同」や「小異」を使ったことわざには「小異を捨てて大同に就く(しょういをすててだいどうにつく)」があります。
「大同小異」とは意味が異なるため、使用の際は注意が必要です。正しい意味を例文とともに確認していきましょう。

「小異を捨てて大同に就く」の意味
「小異を捨てて大同に就く」とは、小さな意見の違いがあったとしても、大勢が支持する意見に従うことです。
部分的な食い違いがあっても、基本的な部分が一致していれば問題ない、という意味もあります。
「小異を捨てて」というと少数意見をないがしろにしているようにも聞こえますが、小さな違いを乗り越え、共通の目標に向かう姿勢を大切にしよう、というのが本来の意味です。
異なる意見をもつ者同士が協力し、チームで何かを成し遂げる際にも、必要な考え方といえるかもしれません。
「小異を捨てて大同に就く」の例文
・小異を捨てて大同に就き、チームが一丸となることで今回の目標が達成できた
・各々の意見を尊重したいところだが、今回は小異を捨てて大同に就く、という考えでプロジェクトを進めていければと思う
・小異を捨てて大同に就き、それぞれが協力しあえば困難を乗り切れるはずだ
優劣をつけがたいことは「大同小異」と表そう
「大同小異」とは、大差がないことを表す言葉です。似た意味の言葉には、「五十歩百歩」や「団栗の背比べ」などが挙げられます。
四字熟語の「大同小異」を使えば、状況や心境を端的に表せます。日常生活やビジネスシーンで優劣をつけがたい物事を表す際は、「大同小異」を活用してみてください。
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