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「言行一致」の意味や読み方
「言行一致」とは、発言と行動とに矛盾がないことです。「げんこういっち」と読み、主張通りに行動するさまを表します。
反対に、主張と行動が矛盾する場合は「言行不一致(げんこうふいっち)」と言い表します。
そもそも「言行」とは、言葉と行いを指す言葉です。類語には「言動(げんどう)」があり、いずれも人前で何かを言ったり、行ったりすることを意味します。
げんこう‐いっち〔ゲンカウ‐〕
出典:小学館 デジタル大辞泉
口で言うことと行動とに矛盾がないこと。主張しているとおりに行動すること。
「言行一致」を使った例文
「言行一致」は、以下のように日常生活やビジネスシーンで活用できます。上記の正しい意味をふまえ、例文を参考に、ぜひ会話に取り入れてみてください。
・約束を守るのは社会人としての基本だ。言行一致してこそ、他者からの信頼が得られる
・言行一致を信条とする上司は、部下からの信頼も厚い
・今年も年頭に掲げた目標が達成できなかった。来年こそ言行一致、目標に向け努力を重ねたいと思う
・ビジネスにおける言行一致の重要性は理解しているが、実現はたやすいことではない
・言行一致の精神で、自分の発言に責任を持った行動をとりたい
「言行一致」の類語・言い換え表現「形名参同」
「言行一致」の類語・言い換え表現は「形名参同(けいめいさんどう)」です。「形」は行動、「名」は発言を表します。
また、「賛同」はそれぞれが一致することです。もともとは中国で生まれた言葉で、「言行一致」と同様に以下のように活用できます。
・彼はどのような仕事においても形名参同、一度発言したことはやり抜くタイプだ
・取引先からの信頼を得たいなら、形名参同であるべきだ
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「言行一致」と反対の意味を持つ言葉
以下の2つの言葉は、「言行一致」と異なり、主張と行動に矛盾があることを意味します。
・言行相反(げんこうそうはん)
・言行齟齬(げんこうそご)
ここでは、それぞれの意味と使用例について見ていきましょう。
言行相反(げんこうそうはん)
「相反」とは、反対の関係にあることです。「言行相反」とすることで、発言と行動とが一致していないことを表します。
「言行相反」は、以下のように「言行一致」とはまったく異なるニュアンスで用いることを覚えておきましょう。
・いつだって君は言語相反じゃないか。だから取引先からの信頼が得られないんだ
・メンバーのモチベーションが上がらないのは、リーダーの言行相反な態度も理由のひとつじゃないだろうか
・トラブルがあればすぐにでも対応すると言っていたのに、緊急時に連絡がつかないなんて言行相反ではないのか
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言行齟齬(げんこうそご)
「齟齬」とは、物事がうまくかみ合わないことです。「言行齟齬」は、発言と行いとがかみ合わず、食い違っていることを意味します。
本来なら一致すべきものが、ちぐはぐな状態にあるときに適した表現です。日常会話やビジネスシーンでは、以下のように活用してみてください。
・働き方改革を進める傍らで残業を強いるなんて、まるで言行齟齬な話じゃないか
・デザートビュッフェを楽しみながら「ダイエットしたい」と友人に話したら、どれだけ言行齟齬なんだと笑われてしまった
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「言行一致」のような行いに関する四字熟語
「言行一致」は、発言や行いに関する四字熟語です。以下の四字熟語も同様に、人の行いに関係しています。
・遮二無二(しゃにむに)
・乾坤一擲(けんこんいってき)
・進取果敢(しんしゅかかん)
四字熟語を使うと、その場の状況や気持ちを端的に表現できます。それぞれの意味を知り、日常会話に取り入れてみましょう。
遮二無二(しゃにむに)
「遮二無二」とは、ひとつのことをがむしゃらにすることです。「遮二」には、「二」を断ち切るという意味があります。また、「無二」は「二」が存在しないということです。
目の前にあるひとつのことだけに着目した「遮二無二」は、前後の見通しを考えず突き進むことも意味します。類語には「無二無三」があり、こちらも同様に他に代わりがなく、ひとつのことに打ち込むさまを表しています。
・彼女は実験の成功を信じ、遮二無二になってデータ収集に没頭した
・失敗を恐れず遮二無二に努力する彼の姿は、多くの人々の心を動かした
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乾坤一擲(けんこんいってき)
「乾坤一擲」の「乾」は天、「坤」は地のことです。一度だけ投げる「一擲」と続けることで、サイコロを投げる大勝負を表します。転じて、運命をかけた大勝負を意味する言葉です。
類語は「一六勝負(いちろくしょうぶ)」です。「一六勝負」は、サイコロの一または六の目にかける勝負のことで、「運まかせの冒険」といった意味を持ちます。
・駅前の開発事業は、我が社の命運がかかった一大プロジェクトだ。乾坤一擲、全力を投じる精神で臨まなくてはならない
・母校の野球部はこの夏、乾坤一擲の決戦を制し甲子園初出場を果たした
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進取果敢(しんしゅかかん)
「進取果敢」とは、自ら進んで物事を実行することです。決断力の強さや、大胆さなども意味します。
行動にぶれが生じない点では、「言行一致」とニュアンスの近い言葉といえるでしょう。より積極的で、勇敢な行動については「進取果敢」という四字熟語を当てはめてみてください。
・進取果敢な彼女の取り組みは、上層部から高く評価されている
・自分はいつも消極的で、どのようなことにもつい尻込みしてしまう。今後は、進取果敢な先輩の姿を見習いたい
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「言行一致」を日常会話で正しく活用しよう
「言行一致」とは、発言と行動が一致していることです。矛盾がある場合は、「言行不一致」「言行相反」「言行齟齬」などと言い表します。
また、行いに関する四字熟語には、「言行一致」のほかにも「遮二無二」や「乾坤一擲」など、さまざまな種類があります。日常会話やビジネスシーンでは、その場に応じた使い分けが大切です。
「言行一致」を含めたそれらの意味や活用法を知り、日々の会話に取り入れていきましょう。
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