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古くから日本人の生活に根付いてきた「糊口を凌ぐ」という言葉。どんなに苦しい時でも、粥一杯で生き延びる姿を表現したこの言葉は、現代においても力強さを感じさせます。
この記事では、「糊口を凌ぐ」の意味や使い方に加えて、生活に役立つ豆知識や歴史的背景も一緒に紹介します。読み終えた後には、生活やビジネスに少しでも活かせる新しい視点が見つかるかもしれません。
「糊口を凌ぐ」とは?|意味、読み方、使い方まで徹底解説
「糊口を凌ぐ」の成り立ちや本来の意味を知ることで、日常生活に役立てられる言葉として理解が深まります。ちょっとした場面で使えば、会話にも奥行きを与えられそうですね。
「糊口を凌ぐ」の意味と読み方
「糊口を凌ぐ(ここうをしのぐ)」は、収入が乏しく、わずかな糧で生計を立てる意味です。やっとの思いで暮らしを立てていく姿が思い浮かぶのではないでしょうか。
「糊口を凌ぐ」の成り立ちと由来
「糊口」とは、粥(かゆ)をすすることを表しています。転じて「暮らしを立てること」「生計」を指すようになりました。「凌ぐ」は「耐え忍ぶ」という意味がありますから、2つを組み合わせた「糊口を凌ぐ」は「どうにか暮らしを立てる」という意味になることがわかります。
「糊口を凌ぐ」を使う場面は?|シーン別に例文で学ぼう
生活の厳しさを表現するこの言葉、どのような場面で使われるでしょうか? 具体例を知ることで、日常生活やビジネスシーンでも自然に使いこなせるようになります。例文を参考にしながら、シーンごとのニュアンスもつかんでください。
生活費が高騰し、若者たちは糊口を凌ぐのが精一杯だ。
生活費が上がる中で、特に収入の少ない若者が日々の生活に苦労している様子を表現しています。経済的な困難に直面している状況を伝える表現です。
彼女は二つの仕事を掛け持ちし、糊口を凌ぐために奮闘している
「糊口を凌ぐ」は、奮闘して生活を支える様子を示す場面にもぴったりです。一生懸命働いている様子が伝わってきます。
フリーランスとして働き始めたばかりで、今はまだ糊口を凌ぐのが精一杯だ。
仕事を始めたばかりで収入が安定せず、生活費をなんとか賄っている状況を表現しています。独立した人や新しい環境に挑戦する人が直面する生活の厳しさが伝わってくるようです。
景気が悪く、多くの人が糊口を凌ぐのに苦労している。
不景気の中、人々が生活費を確保するのに苦労している様子を表しています。経済的に困難な社会情勢を背景に使われることが多い表現です。
「糊口を凌ぐ」に似た表現・言い換え表現は?|類語で幅広い表現力を
「糊口を凌ぐ」には、他にも似た表現や言い換えがいくつか存在します。場面に応じた使い分けができれば、適切にニュアンスを伝えられるようになり、さらに表現の幅が広がりますよ。
口を糊する(くちをのりする)
「口を糊する」は、「糊口を凌ぐ」と同じく「やっと暮らしをたてる」という意味として使うことができます。「アルバイトを掛け持ちして、口を糊する」というように、特に苦しい状況を象徴する場面で活用できるでしょう。
例文:借金を抱え、わずかな収入でどうにか口を糊するしかない。
口凌ぎ(くちしのぎ)
「口凌ぎ」は、「何かをちょっと食べて一時的に空腹を凌ぐこと」を意味します。転じて、「暮らしを一時的に凌ぐこと」「一時凌ぎの仕事」という意味も持っていますよ。「口凌ぎで日雇いの仕事をしている」などというように使います。
例文:彼女は少ない給料で、節約しながら口凌ぎを続けている。
「食うや食わず」
「食うや食わず」は、食事も満足にとれない様子や、貧しく暮らしている様子を表します。やっとの思いで生活していることが伝わる言葉でしょう。「食うや食わずの生活から、やっとの思いで抜け出した」などというように使います。
例文:戦後の混乱期、彼らは食うや食わずの生活を強いられていた。
「糊口を凌ぐ」を英語で表現すると?
「糊口を凌ぐ」を英語で表す場合、“live from hand to mouth”や“scrape a living”といった表現が適しています。“scrape”には「かつかつで生活する」という意味がありますよ。
どちらも「どうにか生計を立てる」という意味で、英語圏の人にとってもニュアンスが伝わりやすいでしょう。これらを知っておくと、海外の方と生活に関する会話をするときにも役立ちます。
以下では例文も紹介します。
(例文)“She lives from hand to mouth to pay off her debts.”
彼女は借金返済のために、糊口を凌いでいる。
(例文)“Since losing his job, he has been scraping a living. ”
失業してからというもの、彼は糊口を凌いでいる。
最後に
厳しい現実を表す「糊口を凌ぐ」という言葉は、ただ困難を語るだけでなく、生き抜くための強さも含まれているように感じられます。あなたの日常の中で、この言葉が少しでも励みや支えになれば幸いです。
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