「両刃の剣」とは?
「両刃の剣」という言葉を見て、すぐに読めたり、意味がわかったりする人は多くないでしょう。日常的に使われている言葉ではありませんが、意味や読み方を一緒に見ていきましょう。まずは、辞書で調べた内容を紹介します。
辞書で調べた意味と読み方
【両刃の剣】
読み方:りょうばのつるぎ
「諸刃(もろは)の剣(つるぎ)」に同じ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「両刃の剣」を調べたところ、読み方は「りょうばのつるぎ」であることがわかりました。意味は「諸刃の剣」と同じようですね。
「諸刃の剣」とは?
「諸刃の剣」の意味を同じ辞書で確認しました。
諸刃の剣
読み方:もろはのつるぎ
《両辺に刃のついた剣は、相手を切ろうとして振り上げると、自分をも傷つける恐れのあることから》一方では非常に役に立つが、他方では大きな害を与える危険もあるもののたとえ。両刃の剣。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「諸刃」とは、刀や剣などで、両辺に刃がついているものを指します。この刀や剣を使うとなると、相手だけでなく自分を傷つけるかもしれません。
この意味が転じて、非常に役にたつことがある反面、他方では非常に危険であるものをたとえる際に用いられています。
「両刃の剣」「諸刃の剣」どちらが正解?
「両刃の剣」と「諸刃の剣」は同義語ですので、どちらを使っても問題ありません。一般的に知られているのは「諸刃の剣」です。「両刃の剣」という言葉は知らない人が多いかもしれませんね。それを踏まえると、「諸刃の剣」を使うほうが意味は通じやすいでしょう。
「両刃の剣」の類語
ここからは「両刃の剣」の類語を見ていきましょう。3つの言葉を紹介します。例文をあげますので、参考にしてください。
「リスキー」
英語の「risky」が由来の「リスキー」は、危険の多いさまや冒険的という意味を持ちます。日常的に使うことも多いので、なじみのある言葉かもしれませんね。「リスキーな〜」のように用いることが多いでしょう。
《例文》きわめてリスキーな投資だと思うが、賭けてみる価値は十分にあるだろう
「ハイリスクハイリターン」
「ハイリスクハイリターン」は、高い収益を得ることもできるが、損失を被る危険性も高いという意味の言葉。英語の「high risk high return」が由来とされているカタカナ語です。「ハイリスクハイリターンである」と使うことが多いでしょう。投資のジャンルでよく登場する言葉です。
《例文》ハイリスクハイリターンであるほど、テンションが上がる投資家もいる
「一長一短」
長所がある一方、短所もあることを意味する「一長一短」。この言葉もおなじみかもしれませんね。読み方は「いっちょういったん」。「一長一短がある」「一長一短だ」のように使う言葉です。
《例文》どの案も、実用化の点では一長一短があるというのが正直な感想だ
「両刃の剣」の対義語は?
「両刃の剣」の対義語も見ていきましょう。
「ローリスクローリターン」
損失を被る危険性は低いが、高収益を得ることも少ないという意味の「ローリスクローリターン」。英語の「low risk low return」が由来のカタカナ語であり、「ハイリスクハイリターン」の対義語でもあります。
《例文》ローリスクローリターンの資産運用には、どのような種類があるか教えてください。
「両刃の剣」の使い方:注意点
「両刃の剣」の使い方を見ていきましょう。まずは注意点を紹介します。
書き間違いや変換ミスに注意
「両刃の剣」を使う際、もっとも注意したいのが、書き間違いです。書く際は、「両刃」を「両刀」と間違えないようにしたいもの。「刃」と「刀」は似ていますが、読み方と意味が異なります。2つの漢字を混同しないようにしてください。
また、スマホやPCに入力する際は、変換ミスのないようにしたいですね。
「両刃の剣」の使い方:例文
「両刃の剣」の具体的な使い方を紹介します。例文を参考にチェックしてみてください。
《例1》即効性のある薬は、効果がある反面、強い副作用が起こるリスクがある。両刃の剣とはこのことだ。
この場合の「両刃の剣」は、高い効果を発揮する反面、同時にリスクを伴うという意味で使われています。その代表といえるのが、劇薬かもしれませんね。場合によっては悪化するおそれがあるものの、効果を発揮する可能性は高いというのが特徴です。
《例2》産業発展は人々に大きな恩恵をもたらすが、同時に環境破壊につながるリスクが高いので、両刃の剣といえる
産業が発展することで生活が整い、活動しやすくなりますが、同時に環境破壊というダメージを受けることになります。環境破壊が人間に与えるダメージは相当であることがわかりつつありますよね。
例文の「両刃の剣」は、高い利益がある分、ダメージも伴うことを表しています。
「両刃の剣」を会話で使う場合
「両刃の剣」は会話で使うこともできます。ここからは会話例を見ていきましょう。オフィスで先輩と後輩が話しています。
後輩「先輩、新しく来たAさんについてどう思われますか?」
先輩「優秀な人だとは思うけど、どうして?」
後輩「確かに優秀な人ですが、あまり周りのことを考えないところがありませんか?」
先輩「そうなんだよね。仕事は早いし正確なんだけど、自分のことしか考えていないのかなと思わせる言動が多いよね」
後輩「Aさんと一緒に働いていた同期がいるので聞いてみたら、問題になっていたそうです。人の手柄を自分のものにして平然としているとか、そういうこともあったみたいです」
先輩「なるほどね。仕事はよくできるけれど、自分勝手なところがあるのね。両刃の剣とはこのことだね」
会話の中に登場するAさんは、仕事面では驚くほど優秀なのに、人間性に問題がありそうですね。Aさんのような人物は割といるため、悩みの種になっている人もいるかもしれません。
最後に
「両刃の剣」について、意味や使い方、類語などを紹介しました。「諸刃の剣」と同義語で、一般的に知られているのは「諸刃の剣」のほう。「両刃の剣」は知らない人が多いかもしれません。会話などで使う場合は「諸刃の剣」を用いるほうがいいでしょう。「両刃の剣」は、あまり見聞きしない言葉です。使う際は、書き間違いに注意したいですね。
TOP画像/(c)Adobe Stock