「嘘つきは泥棒の始まり」は戒めの言葉?
「嘘つきは泥棒の始まりだよ」とたしなめられたことはありませんか? 嘘はよくない、嘘をつくなといわれて育った人は多いと思います。嘘をたしなめたり、戒めたりする際に、たとえとしてもっともよく用いるのが「嘘つきは泥棒の始まり」かもしれません。
本記事では「嘘つきは泥棒の始まり」について、意味や言葉の使い方、類義語や対義語を調べました。たとえとして用いることが多いので、正しい意味を把握しておきたいですね。まずは、辞書の意味を一緒に見ていきましょう。
意味
嘘吐きは泥棒の始まり
読み方:うそつきはどろぼうのはじまり
悪いと思わないで嘘をつく人は、泥棒をするのも平気になるということ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「嘘吐き」と書いて「うそつき」と読むこの言葉は、嘘をつく人や、嘘を言うことを表します。「嘘つきは泥棒の始まり」は、嘘をついたり、人をだましたりすることを戒める言葉として、昔から使われています。
由来
「嘘つきは泥棒の始まり」の由来について、正確なことはわかっていません。しかし、1893年に発行された『古今俚諺類聚』に記載があるとされているので、この頃にはすでに存在していたことになります。
「嘘つきは泥棒の始まり」の使い方
「嘘つきは泥棒の始まり」の使い方を見ていきましょう。この言葉はどのように使うのでしょうか?
たとえとして用いることが多い
上述しましたが、「嘘つきは泥棒の始まり」はたとえとして使うことが多いでしょう。子供に嘘をつかないよう説く時や、戒める際に用いられています。
嘘をつくのは誰にでもあることですが、それが習慣や癖になるのは考えもの。デメリットはあっても、メリットは皆無です。嘘をつくことに慣れてしまわないよう、たとえとして「嘘つきは泥棒の始まり」を使うのは、今も昔も同じでしょう。
例文をチェック
「嘘つきは泥棒の始まり」の例文を紹介します。
《例1》幼い頃、とっさについた嘘がすぐにバレてしまった。母は怒ることなく「嘘つきは泥棒の始まりだよ」と言ったが、その時の悲しそうな瞳が忘れられないでいる。
子供の頃に嘘をついて大人に叱られた… そのような思い出がある人は多いでしょう。嘘をつくのはよくないと相手に諭すような場合に、「嘘つきは泥棒の始まり」を用います。
《例2》彼はいい人だけど、小さな嘘が多い。嘘つきは泥棒の始まりというし、あまり信用しないでおこう
大きな嘘をつくことはないけれど、小さな嘘を重ねる人っていますよね。あまりにも多いと、嘘をつくことに慣れていると思われるかもしれません。例文が表すのは、まさにそのようなこと。小さな嘘をつくことに慣れてしまうのは、避けたいところです。
会話例も
「嘘つきは泥棒の始まり」を会話で使うパターンを見ていきましょう。兄と妹がリビングで話しています。
妹「お兄ちゃん、さっき三丁目までおばあさんを案内していたでしょう」
兄「ああ、見られていたのか。道に迷って困っていたからね」
妹「僕の家もこっち方面なんですって嘘をついていたから、笑ってしまったわ」
兄「そうしないと、相手が恐縮するかと思ったんだよ」
妹「やさしい嘘だね」
兄「嘘はよくないけどね」
妹「嘘つきは泥棒の始まりというけれど、他人のためにつくやさしい嘘なら大丈夫だよ」
会話に出てくる「やさしい嘘」とは、自分のためではなく、相手を傷つけないためにつく嘘のこと。嘘はよくないとされていますが、やさしい嘘は許されることもあるかもしれませんね。
「嘘つきは泥棒の始まり」の類語と対義語
ここからは「嘘つきは泥棒の始まり」の類語と対義語を紹介します。それぞれ1つずつ見ていきましょう。
類語は「嘘は盗人の始まり」
人間、嘘を言うようになったらおしまいで、盗人にもなりかねないという意味の「嘘は盗人の始まり」。「うそはぬすびとのはじまり」と読みます。「嘘つきは泥棒の始まり」と意味や使い方は同じと考えていいでしょう。
《例文》嘘は盗人の始まりというが、嘘をついた時に叱ってくれる人間がいるかどうかで変わるだろう
対義語は「嘘も方便」
「嘘も方便」とは、嘘は罪悪ではあるが、よい結果を得る手段として時には必要であるということの意。「うそもほうべん」と読みます。「方便」とは、ある目的を達成するための便宜上の手段のこと。「嘘つきは泥棒の始まり」と反対の意味を表す言葉といえるでしょう。
《例文》彼女に本当のことを告げても、今は受け入れられないだろう。嘘も方便で、違う理由を伝えよう
「嘘」が関連する慣用句
「嘘つきは泥棒の始まり」のように、「嘘」に関連する慣用句は他にもあります。4つの慣用句を紹介しましょう。
「嘘から出た実」
嘘のつもりであったものが、結果的に、はからずも真実となることを表すのが「嘘から出た実」。「うそからでたまこと」と読みます。はじめは嘘として話していたのに、人から人に伝える過程で本当の話になることや、偶然にも本当に実現してしまうことを表す慣用句です。
「嘘と坊主の頭はゆったことがない」
「嘘と坊主の頭はゆったことがない」とは、これまで嘘をついたことがないという意味の慣用句。「嘘を言う」と「頭を結う」を掛けた洒落(シャレ)だと考えてください。坊主の頭には髪が生えていないので、髪を結うことができないのと同じで、嘘をつくこともないということを表しています。
「嘘吐いたら針千本飲ます」
「嘘吐いたら針千本飲ます」とは、子供が指切りをするときに唱える言葉です。「指切りげんまん」に続けて使いますよね。何かの約束をする際に、「指切りげんまん 嘘吐いたら針千本飲ます」とリズミカルに唱えます。読み方は「うそついたらはりせんぼんのます」。
「嘘八百を並べる」
多くの嘘や、まったくのでたらめばかりを言うことを「嘘八百を並べる」と言います。読み方は「うそはっぴゃくをならべる」。嘘ばかりつく人に対して用いることが多いでしょう。
最後に
「嘘つきは泥棒の始まり」について、言葉の意味や使い方、類義語や対義語などを紹介しました。嘘をつくのはいけないことだと諭したり、戒めたりする際に用いられる言葉です。小さい頃、大人に言われたことがあるという人も多いのではないでしょうか? 嘘をつくのがよくないのは大人も同じ。たとえ小さな嘘であったとしても、つかないようにしたいですね。
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