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2026.05.10

「心頭滅却すれば火もまた涼し」の意味と由来は? 誤解されやすい使い方と類語をチェック

「心頭滅却すれば火もまた涼し」とは、「どんな苦難にあっても、無の境地に至れば苦しいとは感じなくなる」という意味。本記事では、言葉の意味や由来、使い方、類語、よくある疑問と回答について解説します。

この記事のサマリー

・「心頭滅却すれば火もまた涼し」は、苦難を超越する心境を表すことわざです。
・本来の意味は、無念無想の境地に至れば、火も暑く感じなくなるということです。
・快川紹喜(かいせん・じょうき)の言葉として伝わりますが、『甲乱記』では異なる伝承も示されています。

「心頭滅却すれば火もまた涼し」と聞くと、暑さや我慢を思い浮かべる人もいるかもしれません。けれど、この言葉には、字面だけでは見えにくい深い背景があります。

誰の言葉として伝わるのか、どんな場面で使うと自然なのか?

知っているつもりのことわざほど、意味や由来をたどると印象が変わるもの。使い方を誤る前に、少し立ち止まって、言葉の奥行きを見ていきましょう。

「心頭滅却すれば火もまた涼し」の意味とは?

まずは意味から確認していきます。

意味

「心頭滅却すれば火もまた涼し」は、無念無想の境地に至れば、火の熱ささえも苦しいとは感じなくなるというたとえです。

どのような苦難にあっても、それを超越した心境に至れば、苦しさに心を乱されないという意味で使われます。単に気合いや我慢で暑さに耐えるという意味ではありません。

辞書では次のように説明されていますよ。

心頭(しんとう)を滅却(めっきゃく)すれば火(ひ)も亦(また)涼(すず)し
無念無想の境地に至れば、火も熱くは感じなくなる。どんな苦難にあっても、それを超越した境地に至れば、苦しいとは感じなくなるものである。甲斐恵林寺の快川紹喜が、織田信長に攻められ火をかけられた時に、この偈(げ)を発したという。

引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

由来

「心頭滅却すれば火もまた涼し」は、甲斐国(現在の山梨県)恵林寺(えりんじ)の快川紹喜(かいせん・じょうき)にまつわる言葉として広く知られています。

天正10年(1582)、織田信長の勢力によって恵林寺が焼き打ちにあった際、快川紹喜が「心頭滅却すれば火もまた涼し」の言葉を残し、火中に没したと伝えられています。

ただし、『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)の補説では、『甲乱記』において、快川と問答をした高川和尚の発言としても記されています。諸説あると把握しておくと、より正確でしょう。

参考:『デジタル大辞泉』、『故事俗信ことわざ大辞典』(ともに小学館)

(c) Adobe Stock

使い方を例文でチェック!

「心頭滅却すれば火もまた涼し」を会話の中で使うとしたら、どのように使うことができるのでしょうか? 主な例を3つ紹介します。

厳しい稽古に音を上げそうになったが、師匠は「心頭滅却すれば火もまた涼し」と言って、精神を集中する大切さを説いた。

つらい練習や修行でも、心を乱さず集中すれば、苦しさを乗り越えられるという意味で使っています。肉体的な苦痛よりも、心の持ち方が大切だという文脈です。

受験勉強が思うように進まず焦っていたが、「心頭滅却すれば火もまた涼し」の気持ちで、目の前の一問に集中することにした。

不安や焦りにとらわれず、無心で努力を続ける姿勢を表しています。困難な状況でも、心を落ち着けることで苦しさを和らげようとする使い方です。

真夏の炎天下での作業は厳しかったが、職人たちは「心頭滅却すれば火もまた涼し」とばかりに、黙々と仕事を続けていた。

暑さという実際の苦しさを、精神力で乗り越えようとする様子を表しています。ただし、本当に暑さを感じなくなるというより、苦境に耐える心構えをたとえた表現です。

類語や言い換え表現は?

「心頭滅却すれば火もまた涼し」に近い心境を表す言葉として、「明鏡止水」「無念無想」「堅忍不抜」などがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

明鏡止水

「明鏡止水」は、わだかまりがなく、澄みきって静かな心の状態を表す言葉です。「心頭滅却すれば火もまた涼し」とは、心が乱れていない状態を表す点で通じる部分があります。

(例文)
・座禅をすると、明鏡止水の心境に近づいていくように感じた。

(c) Adobe Stock

無念無想

「無念無想」は、無我の境地に入り、無心になることを表します。

「心頭滅却すれば火もまた涼し」の意味にも「無念無想の境地」が含まれるため、関連性の高い表現です。

(例文)
・不安にのみ込まれそうなときほど、無念無想の心境を思い出したい。

堅忍不抜

「堅忍不抜」は、「けんにんふばつ」と読みます。困難にあっても心を動かされず、耐え忍ぶ態度を表す言葉です。「心頭滅却すれば火もまた涼し」とは、苦難に対して心を乱されないという点で近さがあります。

(例文)
・困難な状況でも、堅忍不抜の態度で取り組み続けた。

「心頭滅却すれば火もまた涼し」に関するFAQ

ここでは、「心頭滅却すれば火もまた涼し」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。

Q1.「心頭滅却すれば火もまた涼し」とは、どんな意味ですか?

A. 無念無想の境地に至れば、火の熱ささえも苦しいとは感じなくなるというたとえです。そこから、どのような苦難にあっても、それを超越した心境に至れば、苦しさに心を乱されないという意味で使われます。

Q2.「心頭滅却すれば火もまた涼し」は誰の言葉ですか?

A. 甲斐恵林寺の快川紹喜にまつわる言葉として広く知られています。ただし、『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)の補説では、『甲乱記』において、快川と問答した高川和尚の発言として記されていることも示されています。

Q3.「心頭滅却すれば火もまた涼し」は暑さを我慢する意味ですか?

A. 実際の暑さを精神力で我慢する意味ではありません。字面から火や暑さを連想しやすいものの、苦難を超越した心境を表す言葉です。

最後に

「心頭滅却すれば火もまた涼し」は、苦しさを無理に押し込める言葉ではなく、心が波立つときに静けさを思い出させてくれる表現だといえます。由来や意味を知ると、ただ耐えるためではなく、心を整える言葉として受け止めやすくなりますね。

TOP・アイキャッチ画像/(c) Adobe Stock

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