ビジネスシーンでは、会議や面接などで「今後の展望」を述べる場面も多いのではないでしょうか? 特に、会議でプロジェクトについて発表する際には、「今後の展望」を伝えることを求められることもあるでしょう。しかし、そもそもの「展望」という意味を、曖昧にしたまま使っている方もいるのでは?
そこで本記事では、「展望」の意味やビジネスでの使い方、英語表現などを解説します。正しい意味をしっかり覚えて、職場で自信を持って使いこなせるようになりましょう。
展望とは?
まずは、「展望」の意味をチェックしてみましょう。
1 遠くまで見渡すこと。また、そのながめ。見晴らし。「―がきく」「屋上から市街を―する」
2 社会の動き、人生の行く末などを見渡すこと。見通すこと。見通し。「将来に対する―がない」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「展望」には2つの意味があります。1つは遠くまで見渡すこと。眺めのいい山の頂上には「展望台」があることが多いですよね。「展」には「どこまでも伸び広がる」。「望」には、「遠くを見渡す」「待ち望む」などの意味があります。元々は、文字通り「遠くまで見渡す」という意味でしたが、やがて範囲が広くなり、先の将来や未来を見通す際にも、「展望」が用いられるようになりました。
ビジネスでの使い方を例文でチェック!
「展望」は、ビジネスシーンでたびたび使われる言葉ですよね。ここでは、「展望」が使われるケースを例文で紹介していきます。
1:新事業を発表した社長に、記者が「今後の展望は?」と訊ねた。
企業のトップや芸能人などの社会的に影響力が高い人は、「今後の展望」について聞かれる機会が多いもの。特に画期的な商品を開発したり、常人では思いつかないようなアイデアを出す人は、「次に、この人は何をするつもりなのだろう?」と世間からの注目が集まります。そんな期待の意味も込めて「今後の展望」という表現が使われることが多いですね。
2:今後の展望につきましては、成長が見込まれる市場への進出を計画しております。
会議において今後の方針を伝える際に、「今後の展望」というフレーズは欠かせません。企画の趣旨を伝えるためには、今やっているプロジェクトが、どのような方向性に向かって進んでいるのかを伝える必要があります。そのためにも、会議や発表会などの機会を通じて、上司や他の部署の人と情報を共有することが大切なのです。
3:新しいプロジェクトリーダーには、将来に対する展望がない。
「展望」という言葉は、ネガティブなニュアンスで、「展望がない」と表現されることもあります。例えば、仕事に対する目標がなく、成長する見込みがなさそうな人に対して、「将来に対する展望がない」と不満を漏らすような場面で使われます。特に、チームを引っ張るリーダーがそのような人だと困ってしまいますよね。
類語や言い換え表現は?
「展望」は、「見通し」や「方針」「ビジョン」という言葉に言い換えることもできます。シーンに応じて、適切な言葉を使ってみてはいかがでしょうか?
1:見通し
物事の成り行きや、将来のことを予測することを、「見通し」といいます。職場でよく使われる例としては、「この作業がどのくらいで終わるか、見通しをつけてください」などと言われたことがある方も多いのではないでしょうか? ある程度見通しをつけることで、効率よく作業を進められるなどのメリットがありますね。
(例文)
・地震の影響で水道管が破裂し、未だ復旧の見通しがつかない。
・月初めにスケジュールを立てることで、1か月間の仕事の見通しをつけることができるようになった。
2:方針
「方針」とは、物事や計画を実行する際の、およその方向のこと。ビジネスでは、あらかじめある程度方針を固めてから動き出すことが一般的です。物事の方向性や目標を定めておかないと、ノルマを達成することは難しいと言えるでしょう。
(例文)
・今日はメンバー全員で集まって、新商品を開発する上の方針を決めた。
・私の父と母は、子供の教育方針が合っていない。
3:ビジョン
「ビジョン」とは、「将来の構想」や「展望」のこと。面接の時に、面接官から「あなたのビジョンを教えてください」と言われることがありますよね。これは、自分の将来設計やこれから何をやっていきたいと考えているのか、という意味になります。会社のビジョンとあなた自身のビジョンが重なれば、お互いにとってメリットのある関係が築けるはずです。
(例文)
・今年のプロジェクトリーダーには、ビジョンがないよ。
・まずは、貴社のビジョンを聞かせてください。
英語表現とは?
海外のビジネスパーソンとのやりとりをする時には、「今後の展望やビジョンを聞きたい」というケースも現れるはず。そんな時に使える単語やフレーズを紹介します。
「将来への見通し」を意味する「展望」の英語表現には、「vision」「prospects」などがあります。「vision」は、類語の欄でも説明した通り「将来の構想」という意味。「grand vision(壮大なビジョン)」や「unique vision(ユニークなビジョン)」「global vision(世界的ビジョン)」は、言い換え表現として覚えておくと役立ちます。
また、「prospects」は、「(成功の)見込み」「可能性、将来性」という意味。どちらかというと、仕事が軌道に乗っていて、今後の展望が明るい時に使われる傾向があるようです。「have prospects」で、「可能性を持っている」。「realistic prospects」で、「現実的な見通し」というフレーズもビジネスシーンで使えそうですね。
(例文)
・What is your vision for the future?(あなたの今後の展望を教えてください)
・The engineers had a clear vision of what they wanted to achieve.(そのエンジニアたちには、自分たちが何を成し遂げたいのか明確なビジョンがあった)
・We will review our business strategy based on future prospects.(今後の展望を踏まえて、経営戦略を見直します)
最後に
ビジネスにおける「展望」とは、「将来への見通し」や「今後の目標」などを表します。もし、面接などで「あなたの展望は?」と聞かれたら、そのような意図で使われていると理解するといいでしょう。この機会に言葉の意味と使い方を覚えて、実際の現場でも役立ててみてくださいね。
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