「ご教示」の意味とは? 上司にも使える?
あなたは「ご教示願います」という表現を使ったことはありますか? 人に何か物事を教えてもらいたい時、あなたはどのようなお願いの仕方をするでしょうか。
親しい人であれば「教えてください」とお願いすればいいのでしょうが、初めて接触する人や普段お付き合いのない人、あるいは目上の人や上司、社会的に地位のある人へ教えを乞う場合に「教えてください」では失礼な感じがしますよね。
この記事では「ご教示」の意味や正しい使い方について、具体的な例文を示しながら解説していきます。
◆ご教示の意味
「ご教示」の読み方は、「ごきょうじ」または「ごきょうし」。
「ご教示」の意味は、漢字の通り「教え示す」という意味になります。言葉だけで教えるというより、具体的な手順や手段といったものを「このようにしてくださいね」と、実際の作業方法などを示しながら教えるという解釈もできますね。
なので、一度教えて貰えば習得できるような比較的簡単な事柄について教えてもらう場合に「ご教示」を使うことになります。
◆ご教示を使える相手
この「ご教示」ですが、上司や目上の人に対して使っても失礼にならないのでしょうか? 使い方によっては、失礼になる場合があるので注意が必要です。
基本的に「ご教示」は書き言葉なので、主にメールや文章の中で使われます。特に、上司や目上の人、あるいは社外の人へ宛てたメールなど、畏まった文書で敬意を示す表現に使用します。
その際「ご教示願います」という表現を目にしますが、シーンや相手にとっては不適切な表現になることも。その理由として「願います」は「願う」という言葉の丁寧語だからです。
上司や目上の人、あるいは社外の人へは敬語を使うべきなので、その観点からすると相手に失礼と受け取られる可能性もあり、印象を悪くしてしまうかもしれません。
では、上司や目上の人へ「ご教示」を使う場合、どの様な表現が望ましいのでしょうか? 以下の様に「ご教示願います」「ご教示ください」よりも丁寧な使い方をおすすめします。
・「ご教示を賜りたく存じます」
・「ご教示いただきたく存じます」
・「ご教示のほど、何卒よろしくお願い致します」
ご教示の使い方を例文でチェック
具体的な使い方を例文にして紹介します。
「新たに開発された品質管理システムのリリース日程についてご教示ください」
社内でも他部署へ、何か問い合わせをする際には「ご教示ください」という表現を使う事ができます。
「お時間のある時で結構ですので、経費申請書類の記入方法についてご教示願います」
この例文は、先輩へメールで社内の手続きについて尋ねる場合の文例になります。社内業務についての問い合わせなども「ご教示願います」の表現は使用することができます。
「次回の会議について、貴社のご都合の良い日程をいくつかご教示いただけましたら幸甚です」
取引先など、社外へ何かしらの問い合わせをする際にも使用できるフレーズです。会議の日程調整をする時にも使えますよ。
ご教示と間違いやすい言葉にはどのようなものがある?
「ご教示」と混同しやすい言葉を3つ紹介します。違いを知り、区別してくださいね。
「ご教授」
「ご教示」に似た表現で、勘違いや間違えて使ってしまう言葉として「ご教授」があります。読み方は「ごきょうじゅ」です。
「ご教授」とは「学問や技能・技芸を伝達する・教える」という意味です。
「教示」が尋ねることで直ぐに習得ができる「方法」や「情報」を指すの対して、「教授」は長期間にわたり学問や技能・技芸を継続的に教わる事を意味します。
このように「ご教授」と「ご教示」では、教えてもらう内容や期間が大きく異なります。
「ご享受」
「ご教示」と同音異義語であることから、間違えやすい言葉が「ご享受」です。「ご享受」の読み方は「ごきょうじゅ」と読みます。
「ご享受」の意味は、「用意されて与えられたものを自分のものとして受け入れ、楽しむこと」ということになります。「ご教示」とは、まったく異なる意味にるので、間違えないように気をつけましょう。
「ご指南」
「ご指南」は「ごしなん」と読みます。この「ご指南」は、武術・芸能などを教え示すこと。指導することという意味になります。
「指南」はただ「教える」ということではなく、剣道や華道などといった武術や芸能を伝授するという意味合いもあります。具体的には「剣道を指南する」「将棋のご指南願います」などの表現に用います。
従って、知識や学問について教えてもらうという場合に「指南」は使用することはできません。
最後に
知っているつもりでも、改めて調べてみると自分の理解している内容が間違っていることがあります。特に、人から聞いて覚えた言葉は要注意。「人が使っているから正しいだろう」といって安易に使うと恥をかくことにも…。聞き慣れない言葉や初めて聞く言葉については、必ず自分自身で調べるようにしましょう。今回ご説明した「ご教示」も、ビジネスシーンでは頻繁に使われている言葉なので、ぜひ正しい使い方を身に付けていきたいですね。
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