「呆気」とは? 言葉の基礎知識をまとめて解説
「呆気」の読み方は「ほうき」ではありません。「呆気ない」や「呆気に取られる」といった表現を見ると、読み方をイメージしやすくなるのではないでしょうか。
それでははじめに、呆気の読み方や意味を紹介します。「~ない」「~に取られる」などを続ける場合の意味も、あわせて確認していきましょう。
呆気の読み方
呆気の正しい読み方は「あっけ」です。つまり、「呆気ない」は「あっけない」、「呆気に取られる」は「あっけにとられる」と読みます。
呆気の意味
意味は、「意外な出来事に遭遇して、驚きやあきれを感じるような状態」です。また、「驚いたことなどの影響でぼんやりしているような状態」のことも指します。
多くの場合、「呆気に取られる」という形で使う傾向にあります。
あっ‐け【×呆気】
出典:小学館 デジタル大辞泉
(多く「あっけにとられる」の形で)意外な事に出会い、驚きあきれる状態。「突然走り出した彼を呆気にとられながら見送った」
呆気の語源・由来
呆気は、語源・由来が諸説あり、ぼんやりとしたさまを示す擬音語である「開口(あんけ)」という古語から転じたという説や、口を明けることを指す「明(あけ)」が促音化したものという説がその一つです。
促音化とは、言葉の一部分が小さな「ッ」になること。例を挙げると、「洗濯機」を「せんたくき」だけではなく「せんたっき」とも読んだり、「1学期」を「いちがっき」と読んだりすることを促音化といいます。
つまり「明(あけ)」が促音化して小さな「ッ」が入り、「あっけ」になったともいわれているのです。

「呆気ない」の意味
「~ない」と続けた場合の意味は、「思ったより内容が貧弱または単純で、おもしろみがないこと」「期待外れでもの足りないこと」です。
たとえば「呆気ない幕引きだった」「社内コンテスト優勝を目指して頑張っていたのに、呆気なく敗れてしまった」などと使われます。
また、「呆気なし」や「呆気なさ」などの形で表現する場合もあります。「呆気なさ」というフレーズは、名詞として用いる表現です。
あっけ‐な・い【×呆気ない】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[形][文]あっけな・し[ク]思ったより内容が貧弱または単純で、おもしろみがない。期待外れでもの足りない。「―・い結末」「―・く敗れる」
「呆気に取られる」の意味
「~に取られる」と続けた形で使用する場合の意味は、「驚き呆れるさま」「びっくりしてぼんやりとするさま」「呆然(ぼうぜん)とするさま」などです。たとえば「新入社員の一人があまりに突拍子もない発言をしたため、一同呆気に取られてしまった」などと用いられます。
なお、「あっけに取られる」「呆気にとられる」と表記する場合もあります。
呆気に関連する2つの表現
ここからは「呆れる」「呆ける」という、呆気と同じ漢字を用いた表現の読み方や意味などを解説します。それぞれの言葉の意味は、以下のとおりです。
・呆れる:あまりにもひどい事柄に驚くこと
・呆ける:頭の働きや感覚などがにぶくなること
なお、「呆」という漢字自体に、「おろか」や「ぼうっとする」といった意味が込められています。
それでは、呆気に関連する3つの似た表現もあわせて確認していきましょう。

1. 呆れる
「呆れる」の読み方は「あきれる」です。意味は2通りあります。
1つ目は「思いがけない事態に直面し、どうしたらいいのかわからなくなること」「途方にくれること」です。2つ目の意味は「あまりにもひどいことに驚く」「呆気に取られる」状態を指します。
たとえば、以下のように用いられます。
・彼が「今回の提案なら絶対にA社のほうから提携を依頼してくる。期待していて! 」と言っていたが、提案内容を確認したらあまりにも一方的で呆れてしまった
2. 呆ける
「呆ける」の読み方は「ほける」で、こちらも複数の意味があります。
1つ目の意味は「頭の働きや感覚などがにぶくなる」「ぼんやりする」「もうろくする」ことです。2つ目の意味は、「色が薄れてはっきりしなくなる」「色がさめる」ことを指します。
たとえば、以下のように用いられます。
・いつもシャキッとしていた上司の調子が最近変だと思ったら、どうやら呆けてしまったようで、私も大きなショックを受けた
なお、同じ意味で「ほげる」と表現する場合もあります。また、「ぼける」を「惚ける」と漢字表記する場合もあるため、あわせて押さえておくとよいでしょう。
呆気を理解しよう!
呆気は、読みにくい漢字のひとつです。言葉の指す意味も、そのあとに「~ない」が続くのか、「~に取られる」が続くのかによって異なることに注意が必要です。
また「~者」と続けて呆気者と表記した場合には、読み方も意味も大きく変わります。理解して使用するには、さまざまな点に気をつけたいもの。
さらに「呆れる」と「呆ける」も、表記はほとんど変わらないのに、読み方と意味が異なります。間違えて表記すると相手に正しく伝えられない恐れがあるため、呆気に関連するこれらの表現を用いる際は注意して、正しく書くようにしましょう。
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