「カンナ」ってどんな花?
真夏になると赤や黄色、オレンジなどのオリエンタルな花を咲かせる「カンナ」。花屋さんで見かけたことはあっても、育てたことはない方も多いはず。お庭に植えたり、おうちに飾ると南国気分が味わえますよ。今回はそんな「カンナ」にまつわるエピソードや育て方、花言葉を紹介しましょう。
「カンナ」は熱帯アメリカ、熱帯アジア原産。熱帯地域の植物らしい色鮮やかな花を咲かせます。見た目は菖蒲やあやめに似ていますが、花の色は暖色系で、中には葉に模様があるものも。開花時期は6月から10月と長く、真夏の時期が最盛期となります。高温多湿に強いので、花の少ない夏の時期に植えることができることも嬉しいポイントですね。花壇やコンテナに植えたり、切り花にして家に飾るなど、意外と幅広く楽しめます。
普段花屋などで目にしている「カンナ」は、後年作られた園芸品種で、今や1000種ほどあるとか。派手な色合いで大ぶりの「フレンチカンナ」や「イタリアンカンナ」が代表的です。対して、江戸時代に渡来した原種の「カンナ」は、花が小さく観賞価値が低いため、現在ではあまり栽培されていません。
「カンナ」の花のエピソード
熱帯地域に咲く「カンナ」の花には、インドの釈迦伝説にまつわるこんなエピソードも。ある時、釈迦の弟子の一人がお釈迦様を殺そうと企みました。そして、山道を歩いているお釈迦様の上に大岩を突き落とし、その命を奪おうとしたのです。さいわい、岩は釈迦の足元に落ちて死は免れましたが、足の指に岩の破片が当たり、血が流れ出してしまいました。
その血は大地に流れ込み、やがて芽を出し真っ赤な「カンナ」の花になったのだとか。そこから、「カンナ」の花はインドでは、お釈迦様が流した血の色と言われ、仏教にゆかりのある花として親しまれるようになりました。
「カンナ」の花言葉
「カンナ」には、派手な見た目や色合いからイメージされた花言葉がつけられています。贈り物をする時の参考にしてみてくださいね。
1:情熱・快活
「カンナ」には、「情熱」「快活」という花言葉があります。どちらも、真夏の中でもへこたれずに元気いっぱいに咲く姿から付けられたそう。炎天下の中、赤やオレンジの大振りの花を咲かせる「カンナ」は、見ているだけで元気がもらえそうですね。
2:妄想
「カンナ」には、「妄想」という花言葉も。詳しい由来は定かではありませんが、色鮮やかで幻想的な見た目からこのような花言葉がつけられたそう。うだるような暑さの中、目に入る色鮮やかな色彩には、幻のような美しさが宿っているのかもしれません。
「カンナ」の種類
「カンナ」の園芸種は、原種の「カンナ」と区別するため「ハナカンナ」と呼ばれています。1848年にフランスで作られた「フランスカンナ系」には、「アメリカンレッドクロス」や「アンアーファン」。19世紀末にイタリアで作られた「イタリアンカンナ系」には、「キング・ハンバート」があります。ぜひ、お気に入りを見つけて自宅のお庭で育ててみてくださいね。
1:トロピカル
「トロピカル」は、矮性品種で草丈40cmほど。花の色は、赤や黄色、コーラル、ホワイトなどです。「カンナ」は通常大きな葉の間から花が咲くことが多いのですが、こちらは葉の上から突き出して咲きます。そのため、花がよく目立ち、観賞しやすいのも高ポイント。色違いを植えることでお庭もパッと華やぎますよ。
2:アメリカンレッドクロス
赤とオレンジ色の混じったような、朱色の花を咲かせる品種。草丈は100cm〜150cmと大きめ。お庭に植えたり、コンテナに植えるほか、切り花として楽しむこともできます。存在感のある花姿は、夏場の花壇の主役になってくれそうです。
3:カンナ・ダーバン
「カンナ」の中でも、美しい柄の葉を持つものを「カラーリーフ・カンナ」と分類して呼んでいます。その中でも珍しい品種が「カンナ・ダーバン」。最初は葉の色が真っ赤な縞模様ですが、成長するにつれ、緑色の縞模様に変化するのです。お庭に植えて、葉の柄の変化を観察するのも面白そうですね。
4:アンアーファン
黄色に赤い斑点が入った花を咲かせる「アンアーファン」。草丈が100cmから150cmと大型なので、花壇の後方に植えるのがおすすめです。インパクトのある花なので、ガーデニングやアレンジメントに使うと目を引きます。
5:キング・ハンバート
紫色の葉に、濃い赤色の花を咲かせる「キング・ハンバート」。大人っぽい魅力のある品種です。年上の女性への花束に加えると、オシャレで落ち着いた印象に。一味違ったアレンジメントにしたい方は、選んでみてはいかがでしょうか?
6:バンコック
「バンコック」は、草丈60cmほどの矮性品種。黄色い花の真ん中に白い斑点模様が入っています。葉は、緑色と黄色の縞模様でおしゃれな雰囲気。「バンコック」とその他の「カンナ」を寄せ植えすれば、いつもと違う雰囲気を演出できます。
「カンナ」の育て方
「カンナ」は熱帯原産の植物なので、寒さに弱い面がありますが基本的に育てやすい品種です。4月下旬から5月に植えると、夏場に花を咲かせます。庭植えする際には、日当たりと水捌けのいい場所がおすすめ。庭植えでは水やりはほぼ必要ありませんが、鉢植えの場合は乾いたら水をあげましょう。
寒い時期がきたら、鉢ごと室内に取り込んだり、庭植えの場合は株を掘り上げ、ピートモス(泥炭を乾燥させて砕いたもの)に埋めて貯蔵するといいでしょう。背が高くなるため、早めに支柱を立ててあげると倒れる心配もありません。
最後に
熱帯の植物ならではのオリエンタルな魅力のある「カンナ」。花屋などで見かけるものの、日常生活ではあまり馴染みがない方も多かったのではないでしょうか。「カンナ」は意外にも、花壇で育てたり切り花としてアレンジメントにも使えるので、自分に合った楽しみ方ができます。夏が来たら自宅の庭に「カンナ」を植えて南国気分を味わってみてはいかがでしょうか?
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