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梅雨の時期になると、道端や庭先に色鮮やかな花を咲かせる「タチアオイ」。太くまっすぐな茎に、次々と花を咲かせることから、一度見たら記憶に残る特徴のある花でもあります。今回は、そんな「タチアオイ」の特徴や歴史、育て方、そして怖い花言葉があるのかどうかチェックしてみましょう。
「タチアオイ」ってどんな花?
「タチアオイ」は、アオイ科の越年草。地中海地方原産で、英名では「ホリック」と呼ばれます。梅雨の時期になると、高さ2mほどの茎に赤やピンク、白などの大振りの花を咲かせます。ラッパ型の花はハイビスカスにも似ていますが、どことなく和の雰囲気が漂いますね。鑑賞用に庭に植えられる他にも、田舎の畑の近くや寺院の周辺に咲いていることも多いです。
太くしっかりとした茎が一本まっすぐ立っている姿が特徴的で、茎の至る所にたくさんの蕾がつき、下から上へ順に開きます。咲きはじめは梅雨の始まりで、てっぺんの花が咲くと梅雨が明けると言われているとか。葉は大きなハート型で、細かい毛に覆われています。シンプルな一重咲きからフリルのような華やかな八重咲きもあるので、好みの品種を見つけて育ててみたいですね。
「タチアオイ」の花言葉
「タチアオイ」の花言葉は、「豊かな実り」「気高く威厳に満ちた美」など。どれも「タチアオイ」の見た目の特徴からつけられた花言葉が揃っています。早速チェックしてみましょう。
1:大望、豊かな実り
「タチアオイ」は、蕾をたくさんつけることから、「大望」「豊かな実り」というポジティブな花言葉がつけられています。蕾が次々と色鮮やかな花を咲かせる姿は、エネルギーに満ちていますね。
2:気高く威厳に満ちた美
「タチアオイ」には、「気高く威厳に満ちた美」という花言葉も。太い茎が太陽に向かってまっすぐに伸びているさまは、堂々とした威厳が感じられます。大ぶりで真っ赤な花も自信に満ちた女王様のようですね。
「タチアオイ」に怖い花言葉はあるの?
花によっては、怖い花言葉がつけられているものもありますよね。しかし、「タチアオイ」に関しては怖い花言葉は見つかりませんでした。ただし、同じアオイ科に属する「ハナオクラ」には、「恋の病」「恋によって身が細る」などのネガティブな花言葉がつけられています。
また、南欧や北アフリカに自生する「ゴジアオイ」には、「私は明日死ぬだろう」という不吉な花言葉が。これは、「ゴジアオイ」が正午に咲き、夕方には萎んでしまう短命な習性を持っていることからつけられたようです。
「タチアオイ」の歴史
薔薇や百合、ガーベラなどに比べると認知度の低い「タチアオイ」ですが、その歴史は古く、人類が利用した最も古い植物の一つとされています。イラク北部のシャニダールの洞窟では、5万年前に生きていたネアンデルタール人の埋葬骨とともに、タチアオイ属の花粉が発見されているとか。
また、中国では「タチアオイ」は、「戎葵(じゅうき)」「蜀葵(しょくき)」と呼ばれ、唐の時代にボタンが台頭するまでは主要な植物だったそう。日本には、平安時代頃に渡来したようで、当時の書物には「加良保比(からほひ)」や「加良阿布比(からあふひ)」の名で記されています。
園芸ブームが起こった江戸時代には品種が増え、八重咲きの花や、「むらさき」「うすずみ」「雪白」「くれない」などの色名が残されていることから、「タチアオイ」が古くから人々に馴染んだ花だったことが分かりますね。
「タチアオイ」の種類
「タチアオイ」は好きだけど、種類までは知らないという方も多いはず。ここでは「タチアオイ」の中でも、華やかな品種を3つ紹介します。
1:サマーカーニバル
聞くだけで賑やかな姿を連想させる「サマーカーニバル」。花径12cmの大輪で、八重咲きの花をたくさん咲かせます。草丈も約150cmと大柄。赤やピンク、黄色などが乱れ咲く混合種です。
2:マジョレット・ミックス
まるでフリルのような八重咲きの花を咲かせる「マジョレット・ミックス」。赤やピンク、白の他にもクリーム色などのパステルカラーの花色もあります。可愛らしく華やかで、梅雨時期の花壇を彩りたいときにぴったり。草丈は90cmほどで、開花期はやや遅く7月〜9月頃です。
3:クロタチアオイ
「クロタチアオイ」は「ブラック・ホリホック」と呼ばれることも。その名の通り、黒褐色の花を咲かせます。その花弁はビロードのような光沢があり、高級感を漂わせているのが特徴的です。開花時期は5月〜7月で、他の品種に比べるとやや早め。存在感のある品種なので、ガーデニングのアクセントに植えてみるといいでしょう。
4:アルセア・ブラックナイト
こちらも黒褐色の品種。花径8cm程で、一重咲きです。5月頃からぐんぐんと伸び、見事な花を咲かせます。背が高く、花も大きいため、他の花の後方に植えるとバランスがいいでしょう。
「タチアオイ」の育て方
農家の庭先や道端などに咲いているイメージのある「タチアオイ」ですが、タネを撒いて育てることもできますよ。基本的には3月〜4月頃に植え付けると、6月〜8月頃に開花します。種類によっては秋に種を撒くこともできるようです。
草丈も品種によって60cmの小型のものから、2mもの大型もあるため、植える場所やスペースを決めてから植えると安心です。日なたを好むため、日当たりの良い場所を選んで植えることもポイント。水捌けがよく、腐葉土などの有機物を含ませるとよく育ちますよ。
鉢植えの場合は、土が乾いてきたらたっぷりと水をあげましょう。庭植えの場合は、根が張った後はほとんど水やりをする必要はありません。
最後に
まっすぐ伸びた茎に、赤やピンクの花を咲かせる「タチアオイ」。派手な印象もありますが、田舎の原風景や軒先に群れて咲くことから、見つけるとどことなく懐かしい気持ちになる方もいるはず。「タチアオイ」は、梅雨の時期に花を咲かせる稀有な花。紫陽花などとともに、梅雨の庭を彩る植物として植えてみてはいかがでしょうか?
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