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春になると、青や白、ピンクなどの色とりどりの花を咲かせる「ヤグルマギク」。ガーデニングで植えたり、生花やドライフラワーとしても楽しめたりする人気の花です。そんな「ヤグルマギク」には変わった花言葉も? 今回は、「ヤグルマギク」の特徴や種類、育て方、花言葉などを紹介しましょう。
「ヤグルマギク」とは?
「ヤグルマギク」は、ヨーロッパ原産の花で、キク科の一年草。春になると青や白、ピンク色の花を咲かせます。その姿が鯉のぼりの棒の先についている矢車に似ていることから、「矢車菊」と名付けられました。もともとの原種は一重咲きですが、最近では観賞用の、草丈が低い品種の八重咲きが多く出回っています。
「ヤグルマギク」は、公園の花壇やガーデニングとして庭に植えられる他、切り花としてフラワーアレンジメントにも人気。花を乾燥させても色褪せにくいので、ドライフラワーにして楽しむこともできますよ。
ちなみに、「ヤグルマギク」は、山間部に自生している「矢車草(ユキノシタ科)」と間違えられることがありますが、別種です。以前は、「ヤグルマギク」のことを「矢車草」と呼んでいたそうですが、現在では使い分けられています。
ドイツとエストニアの国花にも
「ヤグルマギク」は、ドイツとエストニアでは国花になっています。「ヤグルマギク」は、欧米で「コーンフラワー(小麦畑の雑草)」と呼ばれ、エストニアではライ麦や小麦が主食であることから親しまれています。またドイツでは、ナポレオンの侵略から逃れたルイーズ王妃が王子たちを慰めるために、「ヤグルマギク」の冠を作ったというエピソードも。
その王子の中の一人が、のちのドイツの皇帝となり、皇室の紋章として掲げたことから「ヤグルマギク」は“皇帝の花”と呼ばれ、ドイツの国花になったそうです。
「ヤグルマギク」の花言葉
「ヤグルマギク」の花言葉には、「繊細」や「優美」などの美しいものから、「教育」や「独身生活」など意外なものも。古くから世界中で愛されてきたこの花に込められた花言葉を見ていきましょう。
1:繊細・優美・優雅
「ヤグルマギク」には、「繊細・優美・優雅」などの品格ある花言葉がつけられています。その由来は定かではありませんが、王族にゆかりのある花であることや、青や白など落ち着いた色合いであることなどがその理由となっているのかもしれませんね。
2:教育
「ヤグルマギク」には、高貴な身分の人から愛されていたとされるエピソードも残されています。かつてプロシアの王妃がこの花を摘みながら、息子たちに命の大切さを教えていたとか。このことから、「ヤグルマギク」には珍しい「教育」という花言葉がつけられています。
3:独身生活
「ヤグルマギク」には、「独身生活」という変わった花言葉も。これは、「バチェラーズボタン」という欧米の習慣で、独身男性が襟元にこの花を飾っていたことに由来します。「ヤグマギク」は、フラワーアレンジメントとしても使われる花ですが、プレゼントとして贈る時には気をつけたほうがいいかもしれません。
「ヤグルマギク」の学名の由来
「ヤグルマギク」属の学名、「centaurea(セントーレア)」は、ギリシア神話に出てくる半人半獣の種族ケンタウロス(centaur)が語源となっています。ケンタウロスの賢者ケイローンは、この花を薬草として用いていたとか。野生の「ヤグルマギク」の青色は、あらゆる青い花の中でも特別な色とされていました。
古代エジプトでは、魔除の力を持っているとも考えられ、ツタンカーメンの棺の上には、ハスとオリーブ、そして「ヤグルマギク」の花輪が残っていたと言われています。
「ヤグルマギク」の種類
「ヤグルマギク」属は500種あり、現在では八重咲きの園芸品種が多く流通しています。定番の青や白の他にも、ピンクや濃い赤色の花を咲かせるものもあり、花色も豊富です。お気に入りの品種を見つけて、自宅に植えてみてはいかがでしょうか?
1:スイートサルタン
「スイートサルタン」の和名は、「ニオイヤグルマギク」。花びらが繊細でふんわりとしており、芳香があります。一年草で、主に白やピンク色の花を咲かせる品種です。
2:ブルーカーペット
「ブルーカーペット」は、キク科の一年草。他の「ヤグルマギク」は、草丈30cm〜から1mほどですが、こちらは10cmと低め。青紫色の花が横に広がって咲くことから、この名がつきました。
3:アザミグルマ
「アザミグルマ」は、別名「アメリカーナ」とも呼ばれます。「ヤグルマギク」には珍しい、大輪でボリュームのある花で、草丈の高い高性種に分類されています。
4:ブラックボール
「ヤグルマギク」といえば、青や白色のイメージですが、こちらは濃い赤色。草丈は80cmから100cmと高めで、シルバーがかった葉色が花の色をいっそう引き立てます。大人っぽいおしゃれな雰囲気があるので、花束に入れると素敵ですね。
「ヤグルマギク」の育て方
「ヤグルマギク」は、日当たりと水はけの良い場所で育てることがポイント。暑さ・寒さにも強く、初心者にも比較的育てやすい品種です。ヨーロッパの麦畑などでは雑草化するほど、こぼれ種でもよく増えます。日陰や湿地は苦手なので、庭植えする時には参考にしてみてください。
水やりは、鉢植えの場合表面の土が乾いたらたっぷりと水を与えます。庭上の場合はほとんど必要ありません。基本的に青色の品種の方が繁殖力が強いので、ピンク色の花を増やしたい場合には、植える場所を分けた方がいいでしょう。
最後に
「ヤグルマギク」は、日本らしい名前がつけられていますが、ドイツの国花になっていたり、王族にゆかりがあったり、古くから世界中で愛されていた花だったようですね。コバルトブルーのような品格のある青色は、アレンジメントとして贈り物にすると喜ばれそうです。ガーデニングで植えたり、ドライフラワーにしたりして「ヤグルマギク」を身近に感じてみてはいかがでしょうか?
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