えこひいきとは?
特定の人だけが優遇されることに対して「あの人はえこひいきされている」と言うことがありますよね。この言葉を使うシーンは、どちらかと言えばネガティブなシーンであり、不公平感を感じさせるものです。この記事では、そんな「えこひいき」という言葉の意味や言い換え表現などについて深掘りしていきたいと思います。
まず、「えこひいき」という言葉の由来について見ていきましょう。「えこひいき」は漢字で書くと「依怙贔屓」になります。
「依怙(えこ)」とは、頼ることや頼むこと、さらには頼るべきものや頼りにするものという意味。これが転じて、一方に肩入れすることを意味するようになったとも言われています。
「贔屓(ひいき)」は「大いに力を入れること」。その後、対象が限定されることによって「自分の気に入った者に特に肩入れする」という意味に変化し、「依怙」「贔屓」がほぼ同じ意になり、重ねて用いる用法が生じたのではないかという説があります。
「えこひいき」の意味は、自分のお気に入りの者や関係のある者だけに肩入れすること。よく似た言葉に「ひいき」がありますよね。こちらには「自分の気に入った者を引き立て、特に力添えする」という意味があります。
違いがないように見えますが、「えこひいき」は気にいった者「だけ」を支援するという点において、不公平感を持っているのが特徴。気に入らない者は冷遇するかもしれませんよね。そのため、使われる時は何かネガティブな使い方が多く見られます。
えこひいきの言い換え表現や関連語
次にえこひいきの言い換え表現や関連する言葉について見ていきましょう。
1:「身(み)びいき」
「身びいき」とは、身内といった自分に関係がある者に対して、特別にひいきすること。不正をした身内を優遇した場合などに使われます。
2:「愛顧(あいこ)」
「愛顧」とは、商人や芸人、あるいは目下の者をひいきにし、ひき立て、かわいがって面倒を見ること。
目下の人から、目上の人に対して「本年も変わらぬご愛顧を受け賜りますよう、よろしくお願いいたします」といったように使われることがあります。ストレートに言えば「ごひいきに感謝します。これからも変わらずに目をかけてください」ということになるのでしょう。
3:「分け隔て(わけへだて)」
「分け隔て」とは、相手によって接し方・扱い方に差別をつけること。「分け隔てなく接する」とは、相手を差別することなく、平等に扱うということですね。
4:「判官贔屓(はんがんびいき、ほうがんびいき)」
「判官贔屓」とは、不遇な者や弱い者に同情し肩を持つこと、またはその感情を意味します。判官であった源義経を薄幸な英雄として尊敬、同情するところから由来しているとか。野球の試合などで、劣勢のチームを観衆が応援するような判官贔屓はよくありますよね。
えこひいきを使った例文
類義語や関連語について見てきたところで、次はえこひいきを用いた例文を紹介します。使う時の参考にしてみてください。
1:社長のえこひいきが度を越えていたため、みんなが出世のために、社長に取り入るしかないと考えるようになった。その結果、組織の中で不正が横行するようになった。
職場でもえこひいきってありますよね。最近はハラスメントに対する世間の目が厳しいので、露骨なえこひいきはできませんが、なくなったわけではありません。気を付けたいものです。
2:あの教師は自分が気に入った生徒に対しては宿題を忘れても叱らないが、それ以外の生徒は叱られる…。それって、えこひいきではないのか。自分たちは冷遇されているようで、本当にストレスだ。
会社に限らず学校でも、えこひいきはあるのではないでしょうか。会社よりも学校は閉じられている傾向にあるので、用心したいですね。
3:同じ大学の卒業生をえこひいきする人の心理を知りたい。
学閥など、同じ大学の卒業生を優遇する人っていますよね。これには、自分と同じカテゴリーに属す人が評価されることで、自分も同じように評価されたと認識する心理が働いているのではないかという指摘があります。
えこひいきの英語表現
えこひいきの英語表現についても確認します。
1:favorite
「favorite」には「お気に入りの」という意味があります。そこから、えこひいきにつながるわけですね。
例文:
「My parents play favorite with the youngest child.(両親は末っ子をえこひいきする)」
「He is a favorite with the teacher.(彼は先生にえこひいきされている)」
2:partial
「partial」には「部分的な、偏った」という意味があるので、えこひいきの表現に使えます。
例文:
「a partial witness(一方に偏った証人)」
「The umpire is partial to the home team.(審判は地元のチームをえこひいきしている)」
最後に
以上、えこひいきについて意味や類語などを紹介しました。えこひいきは、自分が気に入る人だけを優遇するというニュアンスがあり、あまりいいものではありません。自分としてはえこひいきではなく、ひいきしているつもりでも、他者からは「えこひいきじゃないか」と嫉妬されるかもしれません。誰かの肩を持つ時は、周囲がどう感じるかを想像することも大事ですね。
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