「ありがた迷惑」とは?
例えば、職場で頻繁にお菓子を配ってくれる人がいるなど、「ありがたいけど…」という体験をしたことはありませんか? 反対に、「なんでもしてあげたい」「尽くしてあげたい」という気持ちであれこれ世話をしたくなる人もいるかもしれません。
しかし、一旦立ち止まって考えてみましょう。それは、「ありがた迷惑」になっていませんか? まずは、「ありがた迷惑」の意味をおさらいして、自分の行動を振り返ってみてください。
「ありがた迷惑」の意味
「ありがた迷惑」とは、「ありがたい」と「迷惑」を組み合わせた言葉です。「ありがたいようで迷惑」という複雑な心境を表現しています。一般的には「ありがた迷惑」と表記することが多いですが、漢字で書くと「有難迷惑」です。
親切をしている側にとっては、「ありがたいと思っているに違いない」と思いがちですが、親切をされた側にとっては「お節介だな」「迷惑だな」と感じるさまを「ありがた迷惑」といいます。
「勘違いした親切」ということで、英語では「mistaken kindness」と表現することも。
「ありがた迷惑」の使い方を例文で紹介
次に、「ありがた迷惑」や、「ありがた迷惑」の類語表現の使い方を例文を用いながら紹介しましょう。「ありがた迷惑」の類語としては、「お節介(おせっかい)」や「余計なお世話」などが挙げられます。
「こんなに重くて大きなプレゼントは、正直ありがた迷惑だ」
使いやすさや、相手への配慮が欠けた贈り物は貰っても素直に喜べないことも。自分のエゴや見栄えばかりを気にした贈り物にならないように気をつけましょう。
「お節介な親戚が、会うたびに結婚相手を紹介しようとする」
「お節介」とは、「必要以上に口出ししたり、世話を焼いたりすること」です。また、そのようなことをする人のことを指す場合もあります。「ありがた迷惑」と同じように、一方は善意で行った行動でも、もう一方は嫌な気持ちになっている場合に使われる言葉です。
「余計なお世話とは思いますが、よろしければお手伝いしましょうか?」
「余計なお世話」も、「ありがた迷惑」や「お節介」などと同じように、「行き過ぎた親切」や「必要以上の口出し」を意味する表現です。相手のそういった行動に対して、「余計なお世話です」ということもありますが、「余計なお世話かと思いますが…」というように、自分がへりくだって相手に提案する際にも用いられることがあります。
この場合の、「余計なお世話」は若干ニュアンスがカジュアルです。ビジネスシーンやかしこまった場面でこのようなことを伝えたい場合には、「差し出がましいようですが」や「僭越(せんえつ)ながら」という表現がおすすめ。「ありがた迷惑」のように押しつけがましい親切にならないよう、予めへりくだることができます。
「ありがた迷惑」をする人の特徴とは?
「ありがた迷惑」をする人にはどのような特徴があるのでしょうか。「ありがた迷惑」をしてしまう人は、実は自覚なくそのようなことしてしまう人が多いようです。次に、「ありがた迷惑」をする人の特徴について紹介します。
1:お人好し
「ありがた迷惑」をしてしまう人は、とても素直でお人好しな人が多い傾向にあります。「自分はこう思うから、相手もこうされたいに違いない!」と、まっすぐに思ってしまうことも。加えて、お人好しなため隅から隅まで手助けをしてしまいたくなることが多いようです。
2:自分よりも周りを優先しがち
「ありがた迷惑」をする人は、自分のことよりも、相手のことを優先する人が多い傾向にあります。そのため、自分の仕事や約束をすっぽかしてしまうなんてこともしばしばです。
3:自己中心的
先述したように「こうに違いない!」と決めつけたり、自分の都合の良いように解釈して相手に世話を焼くため、「親切」と「押しつけ」を混同してしまうことも。良いことをしている、と自分に酔っている可能性もあるため、本当に相手にとって役立つことなのかを見極めなくてはいけません。
「ありがた迷惑」をする人への対処法はあるの?
「ありがた迷惑」は、している側にとっては「迷惑なこと」だなんて思っていません。善意によって行動しているからこそ、されている側は邪険にしにくいですよね。では、どのように対応したら良いのでしょうか。最後に、「ありがた迷惑」をする人への対処法について紹介します。
1:一旦受け入れる
相手はこちらを思いやって行動してくれている場合が多いです。そのため「余計なお世話です」とつっぱねてしまうと「親切にしてあげているのに、どうして?」と不満に思ってしまうことも。
「迷惑だな」と思ったとしても、親切にしてくれたことに対して、まずは感謝の気持ちを述べるようにしましょう。そして、フォローを入れた後で、理論的になぜ嬉しくないのかを伝えるようにすると、険悪な雰囲気にならずに自分の気持ちを伝えられるのではないでしょうか。
2:断りたいときははっきり伝える
言いにくいかもしれませんが、不要な手助けの場合は、必要ないことをはっきり口に出してみましょう。その際のポイントとしては、「気遣ってくれたことに対して感謝しながら、丁寧に」断ることです。
明らかに迷惑そうに断ってしまうと、反感を抱かれる恐れも。お節介がエスカレートしないうちに、気持ちを口に出すことが大切です。
3:自分の情報を話し過ぎない
「ありがた迷惑」をする人の中には、自分の優越感を満たしたい、人助けをすることで充実感を得たいという人もいます。そのため、自分の悩み事をあれこれと話し過ぎてしまうと、お節介のターゲットになってしまうことも。
「この人だったら信頼できる」という相手かどうかを見極めて、相談することが大切といえるのではないでしょうか。
最後に
「ありがた迷惑」とは、「ありがたい」と「迷惑」を組み合わせた言葉で、意味は「自分は親切をしたつもりでも、相手にとっては不要な手助けであること」。似たような言葉には「お節介」や「余計なお世話」などが挙げられます。
自分は善い行いをしているつもりでも、相手にとってはそうではないこともあります。客観的な立場から、物事を冷静に判断できるようになると、「ありがた迷惑」を避けられるのではないでしょうか。
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