「金の切れ目が縁の切れ目」とは?
「金の切れ目が縁の切れ目」は、損得勘定的な人間関係を表現したことわざです。日常会話でもよく使われ、ドライな人間関関係を表します。
この記事では、「金の切れ目が縁の切れ目」の意味や言い換え表現、英語での表現などを紹介します。使う時の参考にしてみてください。
まずは、「金の切れ目が縁の切れ目」の意味について確認しておきましょう。「金の切れ目が縁の切れ目」とは、金銭で成り立っている関係はお金がなくなれば終わるということを意味します。関係が切れるのがスピリチュアルな要因ではなく、あくまでお金ですので、ドライと言えばドライですね。
「彼氏の生活が苦しくなり、お金を使えなくなったので自分から振って恋愛を終了した」、「仕事が順調だった時は仲のいい友人も多かったが、不調になるとみんな離れていった」…。そんな話はよくありますよね。
自分がお金をたくさん持っていれば、下心を持った人が集まってくることがあります。持っている本人ではなく、あくまでお金が目当てというわけですね。なので、お金が無くなれば「もう用はない」とあっさりと離れていくことに…。
お金に限らず、権力や威信などについても同じことが言えるかもしれません。歓待の仕方に金額などに応じて細かいグレードが設定されていることも、本音を言えば「あなた本人ではなく、あなたが持つ財貨や威信に対して敬意を表しているのである」とも読み取れます。なぜなら、その人がお金や肩書などを失えば、そのサービスを受けることはできないからです。
最近は生活が苦しくなってきているので、目先のお金に目がくらむような人も増えていますが、「そのような姿勢でいいのだろうか」と立ち止まってみるのもいいでしょう。
「金の切れ目が縁の切れ目」の言い換え表現
「金の切れ目が縁の切れ目」の言い換え表現には、どのような表現があるのか確認しましょう。
1:「富貴(ふうき)には他人集まり、貧賤には親戚も離る(はなる)」
お金がある人には、縁もゆかりもない他人が得をしようと集まるけれど、貧賤な人には親戚さえも来ないという意味です。「富貴なれは他人集り貧賤なれは親族遠かる」とも表現されます。実際、困窮している人の中には、家族とも全く連絡を取っていないケースもあるため、いろいろ考えさせられることわざです。
2:「愛想尽かしは金から起きる」
女が男につれなくなり愛想をつかすようになるのは、金銭上の問題からだということ。恋愛関係や夫婦関係といった、男女関係に使われるのが一般的です。
「金の切れ目が縁の切れ目」を使った例文
それでは、「金の切れ目が縁の切れ目」の例文を見て、使い方を確認しましょう。
1:仕事が順調で稼ぎがよかった時は、自分の周りにどんどん人が寄ってきた。しかし、仕事がなくなり、お金に困るようになると、どんどんみんな去っていった。まさに「金の切れ目が縁の切れ目」だ。
芸能人でも人気がある時は人が集まるものですが、芸能界で干されることになり、困窮するようになると、次々と人が去っていくことは珍しくありません。本人は自分が尊敬されていると思っていたのかもしれませんが、実は他人は財力や名声を尊敬していたのでしょうか。
2:ビジネスは基本的に「金の切れ目が縁の切れ目」と言える。会社は基本的に、お金を稼ぐために活動するものであり、そのために構築された会社間のつながりもお金によるものが大きい。
ビジネスはお金を稼ぐことが基本的になりますので、そのために構築されたネットワークもある意味「金の切れ目が縁の切れ目」と言えます。ビジネスのために、すなわちお金を稼ぐために役に立たなくなったと見なされれば、簡単に切られてしまいます。
会社間に限らずに、社員についても稼げないと見なされれば、やがて解雇されたりするものです。これも「金の切れ目が縁の切れ目」の一つの形態でしょう。
ただし、商業全般が純粋に経済的合理性だけで動いているわけではありません。いわゆる「義理と人情」の論理で動いている世界もあります。個人事業主や中小企業などでは、顕著かもしれませんね。
「義理と人情」の論理は、人との有機的な結びつきが強い点に強みがあります。経済的合理性だけ考えれば、稼げなくなった相手とは縁を切る方がいいのかもしれませんが、長期的な視点・非常時の視点に立つと、縁を継続する方が合理的な場合もあります。自分も稼げなくなって立場が弱くなった時に、助けてもらえるかもしれないからです。
3:あれほど自分をちやほやしていた人たちが、会社を辞めた途端、全く見向きもしなくなった。これが「金の切れ目が縁の切れ目」ということか。
会社で立派な肩書を持っていて、お金をたくさん持っていた時は周囲の腰が低かったことでしょう。しかし、その理由はあなた自身に対して敬意を払っていたのか、あるいはあなたが持つ権威やお金に対して敬意を払っていたのか、わかりません。そして、本当の理由というのは、自分が平凡になった時に判明することでしょう。
上記のことから考えますと、今「成功者」と見なされている人たちも、尊敬されているのは本人自身に対してなのか、権威や財力に対してなのか、わかりません。
「金の切れ目が縁の切れ目」の英語表現
「金の切れ目が縁の切れ目」は英語でどのように表現するのか、見ていきましょう。
1:When poverty comes in, love flies out.
直訳すると、「貧乏が入ってきた時に、愛情は飛び出す」。貧乏がやってくる、つまりお金が無くなった時に、愛情は終わるといったニュアンスでしょうか。少し抽象的ですね。
2:Money gone, friends gone.
直訳すると、「お金が無くなって、友達がいなくなった」という意味になります。ただし、「友達にお金を貸してはいけない」というニュアンスもあるようです。
最後に
以上、「金の切れ目が縁の切れ目」について見てきました。ビジネスがそうであるように「金の切れ目が縁の切れ目」という考え方は、かなり身近なものです。自分が成功したとして人が寄ってきても、それは自分自身ではなく、財力や名声が目当てなのか意識しておいた方がいいかもしれませんね。
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