目次Contents
この記事のサマリー
・「金の切れ目が縁の切れ目」とは、金銭で成り立っている関係は、金がなくなれば終わるということ。
・男女関係に限らず、広く一般的な付き合いに対して使うことができます。
・類語には、「愛想尽かしは金から起きる」などがあります。
お金が絡むと、家族や友人との距離がふと変わってしまう… そんな経験はありませんか? 「金の切れ目が縁の切れ目」ということわざは、まさにお金と人間関係のシビアな一面を言い表した言葉です。
この記事では、意味や実際の用例を手がかりに、「金の切れ目が縁の切れ目」が示す関係性のリアルと、日常での受け取り方・使い方を整理していきます。
「金の切れ目が縁の切れ目」とは? 意味と背景を解説
まずは、辞書の記述をもとに、「金の切れ目が縁の切れ目」とはが何を示しているのか、背景を含めて確認していきましょう。
意味
「金の切れ目が縁の切れ目」とは、「金銭によって成り立っている人間関係は、金がなくなれば付き合いも終わる」ということを意味します。辞書では次のように説明されていますよ。
金(かね)の切(き)れ目(め)が縁(えん)の切(き)れ目(め)
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
金銭で成り立っている関係は、金がなくなれば終わるということ。
「金の切れ目が縁の切れ目」が使われてきた背景
「金の切れ目が縁の切れ目」は、主に男女関係において多く使われてきた言葉だと『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)では説明されています。とはいえ、恋愛関係だけに限定された言葉ではなく、広く一般的な付き合いでも使われることが解説されていますよ。
なお、「金銭がなくなった途端、愛想がなくなること」を意味することもあります。
家族・恋愛・友人関係でどう使われる? ケース別で意味を深く理解する
辞書が示す意味を前提に、どういう場面で「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉は使われるのか、どんな心情が背景にあるのかをケース別に整理していきましょう。
家族・親子間での使用ニュアンス
家族のあいだでも、金銭が関係の行く末に影響することは少なくありません。家族関係は感情が優先される場面も多いものですが、援助を断たれた側・続けられない側の双方に複雑な思いが生じることもあるでしょう。
家族や親子の場合は、関係が「切れる」というよりも、「距離が生まれてしまった」という実感として使われることがあります。
夫婦・恋人間での使用ニュアンス
先述したように、この言葉は恋愛関係で語られることが多いことわざです。交際や結婚生活では、金銭事情の変化に伴って関係の在り方が揺らぐ瞬間があるでしょう。太宰治の『人間失格』にも「金の切れ目が縁の切れ目」というフレーズが登場するように、恋愛における「金銭と情」の結びつきは昔から注目されてきました。

友人・人間関係での使用ニュアンス
友人間でも、金銭が関係に影響を及ぼす場面は少なくありません。金銭の貸し借りが原因で友人関係が崩れてしまうこともあるでしょう。
もちろん友人関係のすべてが金銭を軸にしているわけではありませんが、「相手の態度が急に変わった」「金銭的な余裕がないと関係が保てなかった」と感じる瞬間に、このことわざが引用されることがあります。
例文で理解を深める
言葉の理解を深めるには、実際の文脈でどのように使われるのかを見るのが一番です。ここでは、恋愛・家族・友人・ビジネスの4つの場面に分けて自然な例文を紹介します。
例文と解説
【恋愛】
「支え合ってきたつもりだったけれど、収入が不安定になった途端、距離を置かれてしまった。まさに金の切れ目が縁の切れ目だと感じた」
恋愛関係への適用がそのまま反映されています。
【家族】
「援助をお願いしていたけれど、断られてから急に連絡が減った。金の切れ目が縁の切れ目という言葉が胸に刺さる」
金銭上の利益が見込めなくなった時に縁が遠くなったことを表しています。
【友人】
「お金の貸し借りをきっかけに気まずくなり、自然と会わなくなってしまった。金の切れ目が縁の切れ目とはよく言ったものだ」
「金がなくなった途端に愛想が悪くなる」という説明に沿う使い方です。
【ビジネス】
「ビジネスシーンで『金の切れ目が縁の切れ目』と言ってしまうと、人間関係を実利で測っているように聞こえるため注意が必要だ」
ことわざの意味を踏まえつつ、「使うべきでない場面」を示しています。

類語や言い換え表現と対義語
関連する類語や対義語を知っておくと、「金の切れ目が縁の切れ目」が示す人間関係の構造がより立体的に理解できるようになります。ここでは、意味の近いことわざと、反対の立場にあることわざを紹介します。
類語|富貴(ふうき)には他人集まり、貧賤には親戚も離る(はなる)
お金に恵まれている人には、縁もゆかりもない他人まで集まってくる一方、貧しい立場になると親戚でさえ離れていく… という人間関係の現実を表すことわざです。「富貴なれば他人集まり貧賤なれば親族遠かる」ともいいます。
金銭と距離感が変化する様子が端的に示され、「金の切れ目が縁の切れ目」と通じる部分がありますね。
類語|愛想尽かしは金から起きる
男女関係にまつわることわざで、女性が男性に対して冷たくなったり、愛想をつかしたりする理由は、多くの場合「金銭上の問題にある」という意味です。
対義語|腐れ縁(くされえん)
腐れ縁とは、離れようとしても離れられない好ましくない関係を指します。金銭が途切れると関係も途切れる「金の切れ目が縁の切れ目」とは対照的に、理由がどうであれ「縁が切れない」状態を表す言葉です。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
英語表現
「金の切れ目が縁の切れ目」に近い意味を持つ英語表現もいくつか見られます。いずれも、「金銭が関係性に影響を与える」という点を端的に示す慣用句です。
When poverty comes in, love flies out.
(貧しさが入り込むと、愛情は飛び去ってしまう。)
Money gone, friends gone.
(お金がなくなると、友人もいなくなる。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「金の切れ目が縁の切れ目」に関するFAQ
ここでは、「金の切れ目が縁の切れ目」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. このことわざは、恋愛にだけ使うものですか?
A.家族・友人・一般的な人間関係にも広く用いられます。恋愛に限定された言葉ではありません。
Q2. どんな場面で使われることが多いですか?
A.「金銭上の利益が見込めなくなった時に関係も終わる」と感じられる場面です。
援助が続けられない、態度が急に変わるなど、金銭が関係の変化に影響する場面で使われます。
Q3. 使うと失礼になることはありますか?
A. 相手に向かって直接言うと、「あなたとの関係は金次第」と受け取られる可能性が高く、強い不快感を与えてしまうでしょう。
最後に
「金の切れ目が縁の切れ目」は、金銭が人間関係に影響を与える現実を端的に表したことわざです。辞書の記述をたどることで、恋愛だけでなく家族・友人など幅広い関係で当てはまる言葉だと分かります。誰かとの距離が揺らいだ時、自分がどんな関係を築きたいのかを見つめ直すきっかけにしてみてください。
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