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「もしくは」と「または」はどう違うの?
みなさんは普段、意識して「もしくは」や「または」を使い分けられていますか? とはいえ、気にしている人は多くないかもしれません。「もしくは」も「または」も同じニュアンスに感じますよね。
基本的に、日常会話であればどちらを使っても問題ありません。しかし、じつは使い分けがあるって知っていましたか?
本記事では、そんな「もしくは」と「または」の違いについて見ていきましょう。どんな場面で使い分けが必要になるのかや、「もしくは」と「または」の使い方、言い換え表現などについても紹介します。
「もしくは」の意味
まずは、「もしくは」から見ていきましょう。「もしくは」には大きく分けて2つの意味があります。
1つ目は、「選択肢のうち、いずれかを選択するために用いる語」としての「もしくは」。2つ目は、「もしかすると」という可能性をあらわす使い方です。「または」と似たニュアンスを持っているのは、1つ目のほうですね。
「もしくは」は、漢字で「若しくは」と書きます。漢文訓読から発生した言葉です。
「または」の意味
つぎに、「または」について紹介します。「または」は「もしくは」と同じように、選択肢でいずれかを選択するために用いる役割をする言葉です。漢字では「又は」と書きます。
「もしくは」と「または」のまとめ
以上から分かるように、「もしくは」と「または」に大きなニュアンスの違いはありません。日常会話においては、使い分けずに使うことができますよ。
例えば、「新幹線もしくはバスでの移動を考えています」と表現することもできますし、「新幹線またはバスでの移動を考えています」と伝えることも可能です。
どのような場合に使い分けるの?
では、「もしくは」と「または」が使い分けられるケースとは、どのような場合なのでしょうか? それは、法令用語として用いるときです。
法律や契約などに関する書類の文章には「甲」「乙」などの文言があるほか、言い回しが難しくてややこしいイメージがありますよね。この機会に、「もしくは」「または」の使い分けを押さえておきましょう。
より大きな段階に「または」、小さな段階に「もしくは」
例えば、「1・2・3」というAグループと「4・5」というBグループがあったとします。これらを選択肢として提示すると、以下のようになるのです。
「1、2もしくは3、または4もしくは5」
選択肢として、AグループとBグループがここでは「大きな段階」に該当します。そして、1・2・3と4・5という数字が、それぞれのグループにおける選択肢ですので「小さな選択肢」になるわけですね。
このように、選択肢に段階が2つあるとき、法令用語では「大きな段階」に「または」、「小さな段階」に「もしくは」を用いて使い分けています。
「もしくは」と「または」の使い方を例文で紹介
それぞれの意味や使い分ける場合について、整理できたでしょうか? ここでは、さらに使い方について例文を用いながら紹介します。
繰り返しになりますが、日常会話では基本的にどちらを使っても構いません。例文の「もしくは」や「または」を入れ替えたりしながら、実践で応用してみてください。
1:「この天気では、同窓会を中止するか、もしくは延期にしたほうが良いだろう」
2つの選択肢がある場合、「もしくは」や「または」で提示することができますね。この例文では、どちらか一方しか選ぶことができない状態をあらわしています。
2:「キャロットケーキかザッハトルテ、どっちを買うべきだと思う? または両方買っちゃうのもアリだよね」
カジュアルな会話のなかでも使うことができますよ。最初の例文と異なり、「どちらか一方のみ」という選択肢だけでなく、「両方選ぶ」という選択肢も提示しています。
3:「もしくは、彼女が犯人ではなく真犯人が別にいるのではないか?」
「もしくは」にのみ使える用法も紹介しましょう。「もしくは」の意味で説明した、2つ目の意味の使い方です。「もしくは」には、「もしかすると」「ひょっとしたら」というニュアンスで用いられることもあります。
「もしくは」や「または」のように使える言い換え表現とは?
最後に、「もしくは」や「または」のように使える表現について紹介します。繰り返し同じ表現を使うとくどい印象になりますので、そんなときには言い換え表現を使ってみてください。
1:あるいは
「あるいは」には、「または」のように「同じような事柄を挙げ、さまざまな選択肢があることを示す」という意味があります。さらにもう1つ、「ある事柄が起こる可能性を指す」という意味もあるので覚えておきましょう。後者の方は「もしくは」の2つ目の意味と似通っていますね。
2:ないし
ややかたいニュアンスで「ないし」という言葉もあります。意味合いは基本的に使われる「もしくは」「または」と同じです。また、数量などの上限と下限を示し、その範囲を指すときにも使います。例えば、「5年ないし10年かかってやっと昇格できると言われている」などと使われることも。
最後に
「もしくは」も「または」も日常生活においては選択肢のうち、どちらかを選択する際に用いる言葉です。ただし、「もしくは」には「もしかすると」という可能性を示す用法もあります。
また、法令用語としては、「小さい段階」を「もしくは」、「大きい段階」を「または」で使い分けているので、そのような文章に触れる際は注意しながら読み込んでみてください。
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