「留意点」とは?基礎知識を解説
「留意点」の読み方は、<りゅういてん>です。ビジネスシーンや看護、介護などの現場でよく使われる表現で、「留意<りゅうい>」だけでも使われます。また、似ている言葉に「注意点」がありますが、用いる際はニュアンスが異なることを理解しておくと良いでしょう。
それでは「留意点」とはどのような意味か、よく使われる場面、注意点との違い、ビジネスシーンで使いやすいかどうかなどを解説します。さらに、留意点の使い方と例文も確認しましょう。
留意点とは「心にとどめて気をつける点」
留意点とは、「心にとどめて特に気をつける点」のことです。留意とだけ用いる場合には、「ある物事に心を留めること」を意味し、「留意する」「ご留意ください」などと使います。
「留意」とは、「意<い>」を「留める<とどめる>」ことです。意は「意識」や「心」、留めるは「動かないようにおいておく」といった意味があり、あわせて「ある物事に心をとどめて、気をつけること」を指します。
留意点は看護などで多用される言葉
留意点は、看護や介護、保育の現場などで多用される言葉です。これらの現場では仕事をする上で心に留めておくべきことが多いため、気をつけなければならないことを伝える際によく「以下のようなポイントに留意しましょう」などと使います。
たとえば看護の現場では、患者の感情やプライドに十分配慮する必要があります。x患者さんの同意を得ること、プライバシーに配慮すること、意見・要望を確認することなどに留意しなければなりません。
注意点との違い
留意点と似た言葉に、注意点があります。注意点とは、「ある物事に対して気をつけること」「悪い事態にならないように用心すること」などの意味がある言葉です。
留意点も注意点も、なにかに気をつけることという部分は変わりません。辞書によっては、意味を説明する文章にそれぞれの言葉が載っていることもあるほど、同じような意味のある言葉です。
ただし、留意点と注意点には、どの程度気をつけるのか、意識の状態に違いがあります。留意とは「心に留めて気にしておく状態」を指す言葉です。一方で、注意とは「ある物事に強く意識を向け、集中している状態」を意味します。
つまり、留意点と注意点は、「対象となる物事にどの程度の強さで意識を向けているのか」に違いがある言葉なのです。また、留意点のほうがより継続的に気を配るニュアンスがあります。
ビジネスシーンで使いやすいのは留意点?注意点?
留意点と注意点では、留意点のほうがビジネスシーンで使いやすいといわれています。先述のとおり、注意点は留意点よりも気をつける程度が強い表現です。上司や取引先などに対して「注意してください」というのは、強いニュアンスになってしまい、伝えにくいものです。
一方で、留意を使うと注意よりも柔らかい表現になります。そのため、留意点のほうが、ビジネスシーンでも使いやすいのです。
留意点の使い方・例文をご紹介
それでは、簡単な例文で留意点の使い方をチェックしましょう。
・今回のプロジェクトに関する留意点は、以下のとおりです。
・小さな子どもを預かる際は、次の留意点があります。
・次回の会議はいつもと時間が異なるため、ご留意願います。
このほかにも、「ご留意ください」「留意事項」「留意いたします」などと表現できます。
留意点の類語・言い換え表現と対義語
留意点の類語・言い換え表現と対義語の例は、以下のとおりです。
<留意点の類語・言い換え表現>
・諸注意
・注意事項
・要点
・配慮点
・考慮点
<留意の対義語表現>
・油断
・失念
また、先述した注意点も、使うシーンによっては留意点との言い換えが可能な表現です。類語・言い換え表現と対義語に関して、それぞれの言葉を確認しましょう。
留意点の類語・言い換え表現
留意点や留意の類語・言い換え表現は、以下のとおりです。
・諸注意
・注意事項
・要点
・配慮点
・考慮点
諸注意とは、「いろいろな注意点」のことを指します。気をつけるべきことが複数ある場合に使う言葉です。注意事項は、注意点や諸注意と同じように使えます。
要点とは、「ある物事の重要なところ」のことです。物事の重要なポイント自体を指すため、「気をつける点」を指す留意点とは少々意味が違います。
また、配慮は「良い結果になるように心を配ること」、考慮は「いろいろな要素をよく考えてから物事の判断をおこなうこと」を意味します。
「用心」や「警戒」も、留意の類語・言い換え表現です。ただし、言い換える際は、留意よりも用心や警戒のほうが強いニュアンスがあることを理解しておくと良いでしょう。
留意の対義語表現
一方、留意の対義語表現は以下のとおりです。
・油断
・失念
油断とは、「たかをくくって気を許すこと」を指します。「お得意様だからと油断していたら、A社に契約を取られてしまった」などと使います。
また、失念は「忘れる」の謙譲語で、意味は「うっかり忘れること」です。「3時からミーティングがあることを失念してしまいました」など、自分をへりくだって表現する際に使います。
留意点や関連する言葉を正しく理解しよう
留意点とは、「心にとどめて特に気をつける点」のことです。「留意する」「ご留意ください」など、点を付けずに留意とだけ用いる場合もあります。
留意点と似た言葉に、「ある物事に対して気をつけること」「悪い事態にならないように用心すること」などの意味がある注意点があります。留意点と注意点は、どちらも気をつける点を意味する言葉です。しかし、意識する状態の強さや継続的に気を配るニュアンスがあるかどうかなどに違いがあります。
また、諸注意や注意事項、考慮点なども、留意点の類語・言い換え表現です。
言葉の詳しい意味や使い方、関連する表現などをあわせて確認し、多くの言葉を正しく使えるようになりましょう。
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