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「ご留意」の意味とは? ビジネスでの使い方には注意
「ご留意ください」という言葉、ビジネスシーンでよく耳にしますね。しかし、例えば上司に「ご留意ください」というのは失礼に当たるということをご存知でしょうか?
「上司にも“ご留意ください”と使ってしまっていた…!」と心当たりのある方は、ぜひこの記事を読んで「ご留意ください」の使い方をマスターしてくださいね。では早速、解説をしていきましょう。
◆「ご留意」の意味
「留意」(りゅうい)とは、「ある物事に心をとどめて、気をつけること」です。また「ご~ください」で、相手に何かを要望・懇願する意味を表します。
このことから「ご留意ください」とすることで、「心に留めておいてください」「気を配ってください」という意味を持つ敬語となります。
メールや書面はもちろんのこと、会話の中でも使うことができます。
◆「ご留意ください」だけだと上司には失礼にあたる
さて、冒頭でも触れましたが「ご留意ください」だけを伝えてしまうと、上司や目上の人には失礼に当たります。
「~ください」は、尊敬語です。しかしながら、相手に何か事物を請い求める意味を含んでいるため、目上の人には使うべきではないのです。
「ご留意くださいませ」というように、「ませ」を付け加えて丁寧な表現にした場合はどうでしょうか? 表現は柔らかくなりますが、「ご~ください」と本質的には変わりません。したがって「ご留意くださいませ」としたとしても、上司や目上の人などには使わない方がいいでしょう。
「ご留意」と混同しやすい言葉とは?
「ご留意」と似た表現として、「ご注意」や「ご承知おき」が挙げられます。それぞれの違いについて、ご説明していきましょう。
◆「ご留意」と「ご注意」の違い
「注意」の意味について改めて確認してみましょう。
1:気を配ること
2:悪いことが起こらないように用心すること
3:気をつけるように忠告すること
4:ある一つの対象に意識を集中すること
「留意」「注意」ともに「気を配る」という意味は共通していますね。しかし「注意」と違って、「留意」には「用心する」といった要素は含まれません。
2つの例文を比べて、より理解を深めましょう。「今後の天候にはご留意ください」といった場合は、「天候が崩れそうなので気にかけておいてください」という意味にとどまります。
「今後の天候にはご注意ください」といった場合には、「今後の天候にはしっかり警戒しておいてください」というニュアンスが含まれます。台風や大雨など緊急性がある場合には「ご注意」を使うのが適切でしょう。
◆「ご留意」と「ご承知おき」の違い
「承知」の意味は「事情などを知ること」です。なので「ご承知おき」という場合には、「事情などをわかっておいてください」という意味になります。
「ご留意」は未来に向けて気に留めておいてくださいというニュアンスに対し、「ご承知おき」はあらかじめご理解くださいというニュアンスになります。この点が異なりますね。
「ご留意」の使い方を例文でチェック
続いて、具体的な例文をご紹介します。日常の中で使うイメージを膨らませてみてくださいね。
「猛暑が続いています。体調管理には十分ご留意ください」
「ご留意ください」の一番ベーシックな使い方です。この例文の場合は「猛暑が続いているので体調管理には十分気を配ってくださいね」という意味になります。
「ご留意くださいますようお願い申し上げます」
こちらの例文は主にビジネスメールの締めに使えるので、覚えておくと便利でしょう。「ご留意のほどよろしくお願いいたします」と言うこともできますよ。「心に留めておいてくださいね」ということを丁寧に伝えることができます。
「マニュアルの変更点については、十分ご留意いただきたく存じます」
「いただく」は「もらう」の謙譲語です。話し手がへりくだった表現をすることで、相手に敬意を表します。なので「ご留意いただく」と表現すれば、上司や目上の人、取引先の人にも使うことができます。相手を敬いながら、気に留めてもらうようお願いしたいときに使える便利な言葉なので、覚えておいてくださいね。
「ご留意ください」の類語や言い換えとは?
「ご留意」を言い換えるとしたら、どんな表現があるでしょうか? 3つご紹介いたします。
「ご自愛」
「自愛」の意味は、「自分を大切にすること」「自分の健康状態に気をつけること」を指します。手紙やメールの文末に、相手を気遣う言葉として使われることが多いですね。「時節柄、ご自愛ください」などというように使います。
「ご配慮」
「配慮」の意味は、「心を配ること」「心遣い」を指します。「ご留意」よりも、気持ちの面での気遣いがより強調されます。「正式発表があるまでは、情報の取り扱いについてご配慮ください」などというように使うことができますよ。
「ご考慮」
「考慮」の意味は、「物事を様々な要素を含めてよく考えること」。どちらかというと頭で考えておいてくださいね、という意味が強調されます。「予算についてご考慮ください」などというように使うことができます。
「ご留意ください」の英語表現もチェック
「ご留意ください」はとても便利な表現ですね。英語表現もあわせて覚えておけば、いざという時の助けとなります。
pay(give) attention to
「attention」には、「注意」や「配慮」といった意味があります。「pay(give) attention to」と表現すれば、「気を配る」という意味になります。
例文▶︎Please pay attention to safety.(安全にはご留意ください)
note[that/wh-節]
「note that節/wh-節」で「~ということに気をつける」という意味になります。
例文▶︎Please note that the bank is closed on holidays.(その銀行は休日休業となるのでご留意ください)
bear(keep)~ in mind/bear(keep) in mind[that/wh-節]
「bear(keep)~ in mind/bear(keep) in mind[that/wh-節]」で「~を心に留めておく」という意味になります。
例文▶︎Please bear in mind what he said.(彼が言ったことにご留意ください)
最後に
冒頭でご紹介した「ご留意ください」が上司や目上の人には使えない理由について、腑に落ちたでしょうか? 上司や目上の人には、例文でご紹介した「ご留意いただく」を上手に使えると◎。
「ご留意」は相手への配慮や気遣いを表す言葉として、会話のみならず、メールを含めて、ビジネスシーンで広く使える言葉です。類語や英語も押さえておくことで、ボキャブラリーの幅が広がることでしょう。日々使いながら身につけていきましょう。
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