目次Contents
「しなやかな股関節」を手にいれるメリットとは…?
脚を横にグーンと大きく開いて、上体を前にペタッと倒す開脚前屈。「いつかはできるようになりたい!」と、股関節のストレッチを頑張っている方は多いのではないでしょうか。
ですが、この開脚前屈…実はちょっと注意が必要なのです。なぜなら、股関節の関節可動域である90度(脚を左右に開脚したとき、それぞれ45度ずつであるため)を大幅に超えることになるから。日常生活を送るうえで、股関節をそこまで広げる必要はないのです。
とはいえ、股関節周辺の筋肉にしなやかさがあったり、ある程度の関節可動域があったりすることでメリットもあります。血液・リンパ液の流れが促されて、脚がスッキリするといった効果を期待できるのがひとつ。股関節まわりのストレッチは、主に下半身のダイエットをサポートしてくれる一面もあるのです。
開脚前屈を深めたい! 押さえておきたい3つのポイント
では、股関節の関節可動域を広げて、無理のない範囲で開脚前屈をするためにはどんなことを意識したらいいのでしょうか。
押さえておきたいポイントは、3つあります。
骨盤まわりの筋肉をほぐす
骨盤まわりの筋肉が硬くなると、開脚の動きの妨げになります。特に、デスクワークが長めの方は、ここの筋肉が硬くなりがち!
骨盤を立てることを意識する
骨盤がうしろに倒れていると、脚をスッと横に広げにくくなります。椅子や床に座っているときは、左右の座骨(お尻の下のほうにある尖った骨)に均等に体重を乗せて骨盤を立てると◎。
太ももの内側の筋肉を柔らかくする
→太ももの内側の筋肉が硬いと、脚を左右に開くときに痛みや突っ張り感が強くあらわれます。また、この筋肉が硬くなると腰が丸まりやすくなるので、脚を横に広げにくくなります。
次項では、自分の股関節が柔らかさをセルフチェックをしていきましょう。
股関節の柔軟性:セルフチェックのやり方
まず、足の裏同士を合わせた“合せき(がっせき)”の姿勢で座ります。それから左右の座骨に均等に体重を乗せて、骨盤を立てましょう。女性の場合、お尻のお肉が厚くついているのが一般的なので、手で外にかき出すようにすると感覚をつかみやすいですよ。続けて、両手で足の甲をつかみ、かかとを股関節に引き寄せます。
手を使わずに、ひざをグーッと下げて床に近づけてみましょう。チェックポイントは、ひざの下~床までのスペースです。
このとき、ひざの下~床とのあいだにこぶし1個分以上のスペースがある場合、やや股関節が硬めだというひとつの目安になります。また、左右でひざの高さが違う場合は、歪みが隠れているサインかもしれません。
一方で、こぶし1個分以内のスペースであれば、十分な関節可動域があると考えられます。
では、ここからは開脚前屈を深めるためのストレッチ5種類のやり方を紹介していきます。
【座りながら】まずはこれ! 初心者さんでも簡単ひざ下げストレッチ
STEP 1:合せきの姿勢で座る
▲股関節の柔軟性セルフチェックのときと同じ、“合せき”の姿勢からスタート! ポイントは、骨盤をしっかり立てておくことです。太ももを外側に回転させ、下腹部から引き上げるようにして背筋を長く保ちましょう。
STEP 2:ひじで脚を押す
▲手で足の甲を持ったまま、ひじをひざの内側にセットします。ひじで脚を押すようにして、股関節の広がりをじわじわと感じましょう。〈回数:5~10呼吸〉
STEP 3:手でひざを押す
▲手をそれぞれのひざの上にセットします。手でひざをグーッと押し、床に近づけましょう。〈回数:5~10呼吸〉
【座りながら】上半身の重さを使ってほぐす方法
STEP 1:合せきの姿勢で座る
▲引き続き、合せきの姿勢でストレッチをおこなっていきます。肩をうしろに引き、左右の肩甲骨を中央に寄せて胸を開くと◎!
STEP 2:上体をグルグルまわす
▲上体を前後・左右に傾け、円を描くようにグルグルと動きます。手で足の甲をしっかり持ち、バランスを取りながら大きな円を描きましょう。呼吸は、自分のペースで楽に繰り返します。〈回数:内まわり・外まわり各5周ずつ〉
【片脚開脚】で前屈のストレッチ
STEP 1:あぐらの姿勢から、右脚を横に伸ばす
▲あぐらで座ったら、右脚を横に伸ばします。開脚の幅は、無理のない範囲から! 右つま先を天井に向け、足の裏3点(親指と人差し指の下、薬指と小指の下、かかと)をグッと突き出し、脚の背面の伸びを意識すると◎。左のかかとは股関節に引き寄せます。
STEP 2:【息を吐きながら】浅い前屈をする
▲両手を体の前についたら、吐く息に合わせて軽めの前屈をします。まずは、ひじを床につけた姿勢をキープして、右股関節周辺のストレッチ。ここでも、右つま先を天井に向けた姿勢を維持しましょう。〈回数:5呼吸〉
STEP 3:【息を吐きながら】前屈を深める
▲手の位置をさらに前に移動させたら、吐く息に合わせて前屈を深めます。このとき、お尻が前に引っ張られないように注意。痛みが強い場合、無理をせず気持ちよく伸ばせるところに姿勢を整えましょう。STEP 2~STEP 3の反対側も同様におこないます。〈回数:5呼吸〉
【寝ながら】重力に任せて股関節を開くストレッチ
STEP 1:仰向けになる
▲手は体の横、脚は腰幅に開きます。恥骨を軽く突き上げて、お尻の上のほうかえら腰をしっかりと床につけましょう。腰が床から浮きやすい場合は、下に丸めたタオルやブランケットを置いてもOK。
STEP 2:左ひざを立てる
▲ここでも、できるだけ腰が浮かない姿勢を意識しましょう。
STEP 3:左足を右鼠径部の近くに乗せる
▲左足首を右鼠径(そけい)部の近くに乗せたら、左ひざを床に下ろします。手で左足の先を引っ張るようにして位置を調節してもいいでしょう。重力のままに自然に、左の股関節周辺の広がりを感じます。姿勢がツラい場合、左足の位置を調節してみて! 反対側も同様におこないましょう。〈回数:5~10呼吸〉
【横向き】で股関節の外側をストレッチ
STEP 1:右体側を下にして、横向きになる
▲右体側を下にして横向きになったら、両脚を重ねます。右前腕(ひじ~手首)と手のひらを体の少し前につき、上体を支え、左手は腰に添えましょう。腰が丸まらないように、姿勢をキープ!
STEP 2:【息を吐きながら】右ひじを伸ばして、上体を起こす
▲右手で床を強く押し、ひじを伸ばします。上体を起こしてきましょう。ストレッチされるのは、右股関節の外側。体の向きを変えたら、反対側も同様におこないます。〈回数:5呼吸〉
股関節の外側には、太ももを横に持ち上げる筋肉が集まっています。開脚のストレッチと合わせて、より効果的に股関節まわりの柔軟性を高めていきましょう。
最後に
「ストレッチの効果って、いつから出てくるの?」について――。
効果を実感するまでの期間には個人差がありますが、毎日ストレッチをおこなった場合、早い方で2~3か月ほどで筋肉に変化があらわれると言われています。
ただし、股関節のような大きな筋肉に囲まれた部位は、変化があわられるまでに時間がかかるのが一般的なので、オーバーストレッチにならないように気をつけながら、おこなってみてくださいね。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。