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気分が落ち込みがち… 「猫背」が関係しているかも!
猫背は、お尻~背骨にかけてのS字湾曲が失われ、背中がアルファベットの“C”の字のように丸くなった状態。現代人に多い不良姿勢のひとつで、特に、長時間前かがみになって過ごす人によく見られます。
猫背の姿勢で過ごしていると、背中の筋肉が張りやすくなり、肩こりや頭痛の原因になります。前傾姿勢で内臓を圧迫するため、胃痛・胸やけ、食べたものの消化吸収の妨げになるなど、さまざまな不調を引き起こすことも。
それと、猫背とは関係がなさそうに思える気分の落ち込みも、この丸くなった背中が影響している可能性があります。
猫背で気分が落ち込むのは、なぜ?
猫背の姿勢をしているときというのは、背中が丸くなり、胸が閉じています。胸が閉じた状態では、呼吸をするときに使われる筋肉・呼吸筋(横隔膜や肋骨のあいだにある筋肉など)の動きが制限されてしまい、浅い・速い呼吸を繰り返しがちです。
呼吸が浅いと、脳への酸素供給量が減り、体だけでなく心へのストレスも蓄積されていってしまいます。
浅い・早い呼吸は不安やストレスを感じやすくさせる一方で、深い・ゆっくりとした呼吸はリラックス感を高めてくれるため、猫背の姿勢を改善して、呼吸を深めること=気分を切り替えることにもつながるのです。
ここからは、猫背の改善・予防にアプローチするストレッチと筋トレのやり方を紹介していきます。
硬くなった肩甲骨まわり・背中の筋肉をほぐすストレッチ
猫背の姿勢が続くと、肩や背中のまわりの筋肉が緊張して硬くなる~猫背の姿勢が定着するという悪循環に陥ることがあります。まずは、硬くなった肩甲骨・背中周辺の筋肉をほぐしていきましょう。
立ったままできるストレッチ
STEP 1:壁の横に立ち、手のひらを壁に添える
壁側の右手のひら全体を、壁にピッタリ押しつけます。左手は腰に添えましょう。
STEP 2:【息を吐きながら】体を左側に開く
右手のひらで壁を押し、体を左側に開きます。左肩をうしろに引き、左右の肩甲骨をグッと寄せて、胸を開くことを意識しましょう。体の向きを変えて、反対側も同様におこないます。【回数:呼吸を5~10回】
座ったままのストレッチ
STEP 1:あぐらで座り、頭のうしろで手の指を組む
骨盤を立て、左右の坐骨(お尻の下のほうにある尖った骨)に均等に体重を乗せて座ります。頭のうしろで手の指を組んだら、無理のない範囲でひじを外側に開きましょう。
STEP 2:【息を吐きながら】右ひじを引き下げる
左の前腕(手首~ひじまで)が頭のうしろにくる位置を目安に、右ひじを引き下げましょう。頭の重さを左前腕にかけ、胸を突き出し、丸まりがちな背中をシュッと引き伸ばします。
首や肩に痛みがある場合は、無理に頭を倒さないこと。反対側も同様におこないましょう。【回数:呼吸を5回】
「ワニのポーズ」で姿勢改善&呼吸を深める
ヨガ「ワニのポーズ」では、左右の肩を床につけ、胸を開いた状態でねじりを加えるため、姿勢の改善だけでなく呼吸を自然に深める効果にも期待できるでしょう。
STEP 1:仰向けになる
腰が床から浮きすぎないように、ヘソを内側に引き入れる&恥骨を軽く突き上げておきます。あごを引き、首のうしろを伸ばしましょう。
STEP 2:【息を吸いながら】右ひざを曲げ、胸に引き寄せる
両手で右ひざを抱えて、胸に引き寄せます。ひざが内・外側に倒れないように、真っすぐ引き寄せましょう。
STEP 3:右手を肩の高さで横に伸ばす
右ひざは、左手だけで抱えます。右手は肩から真横に伸ばし、床に下ろしましょう。
STEP 4:【息を吐きながら】右ひざを左側に倒す
両方の肩が床についたままの姿勢を保ちます。右ひざが床から浮いていてもOK(ひざの下にブランケットを置くと、姿勢が楽になります)。腰に負担がかからない範囲で、ねじりを調節します。目線は右手の先に向けましょう。反対側も同様におこないます。【回数:呼吸を5回】
猫背改善・予防には、筋トレも効果的!
背中まわりの筋肉が衰えて、姿勢の維持が難しくなることでも猫背のリスクは高まります。ここでは、運動が苦手な方でも比較的簡単にできる肩・背中まわりの筋トレをご紹介。
STEP 1:四つ這いになる
手は肩幅、脚は腰幅に開き、肩の下に手首、股関節の下にひざをつきます。腰が反りすぎないように、ヘソを引き上げて背中を平らにしましょう。
STEP 2:左手を腰にまわす
左手のひらを上に向けて、腰に添えます。
STEP 3:【息を吸いながら】上体を左側に開く
腰やお尻の位置はできるだけ変えず、左肩をうしろに引くようにして体を左側に開きます。目線は後方に向け、首がツラくない姿勢をキープしましょう。反対側も同様におこないます。【回数:呼吸を5回】
最後に
猫背は、日々のちょっとした姿勢の癖だけでなく、テレワークの普及やそれにともなう運動不足、筋力低下との関係も大きく、少しずつ体に定着していきます。体の不調のほかに、「最近、気分が落ち込みがち…」と感じている方は、猫背になって呼吸が浅く、速くなっていないかをチェックしてみてください。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。