内ももの筋肉「股関節内転筋群」は、あまり使われない筋肉
太ももの内側・内ももには、股関節内転筋群(短内転筋・長内転筋・大内転筋・薄筋など、複数の筋肉の総称)という筋肉があります。
主な働きは、左右の太ももをお互いに引き寄せること。例えば、内ももと内もものあいだにクッションを挟んで、押しつぶすようにギューッと太ももを引き寄せるような動きで力強く働きます。
しかし、このような動きを日常生活でする機会はそう多くありません。内ももの筋肉・股関節内転筋群は、効果的に使われることが少ない筋肉であるということができます。では、筋肉は使われないとどうなるのでしょうか?
筋肉は、使われないとどうなる?
筋肉は、使われないと筋肉量が減少していきます。また、動かされない筋肉は硬い・伸びにくい状態になり、関節可動域が狭くなることや、血流が悪くなるとくなる可能性もあり、それぞれ下記のようなデメリットがあります。
〈デメリット〉
関節可動域が狭くなる:体が硬い状態、動作にスムーズさがなくなる
血流が悪くなると:体のこり・痛みやむくみ、冷えといった症状が出やすくなる
股関節内転筋群の場合、次のような特徴がみられたら筋肉が衰えているサインです。
内ももの筋肉の衰え・セルフチェック
☑︎内ももがたるむ
☑︎座っているとき、脚がパカッと外側に開いてしまう
☑︎脚の外側の筋肉を使いがちになるため、靴のかかとは外側がすり減る
ほかにも、内ももの筋肉が衰えると骨盤周辺の安定性を保ちにくくなって歪みができ、そこから体の歪みが生じることもあります。
体が硬くてもOK! 今日からできる簡単ストレッチ
ここからは、硬くなった股関節内転筋群のストレッチのやり方をご紹介。体が硬い方向け~しっかりほぐしたいときなど、柔軟性や体感ごとにぜひ、参考にしてみてください。
座りながらできる簡単ストレッチ
まずは、座りながらできるストレッチを紹介。
STEP 1:足の裏を合わせた“合せき(がっせき)”の姿勢で座る
足先を手で持ち、両かかとを股関節のほうへ引きます。骨盤を立て、左右のお尻に均等に体重を乗せて座りましょう。股関節が痛い場合、足の位置を前に戻して調節します。
STEP 2:両ひざを上下にゆっくりと揺らす
足の裏同士をしっかりとくっ付けた状態で、ひざの上げ下げをします。股関節の内側~内ももの筋肉を刺激して、ほぐしていきましょう。【回数:20~30回】
うつ伏せで「寝ながら」おこなうストレッチ
次は、寝たままおこなうストレッチ。硬い床の上に、ヨガマットやバスタオルを敷いておこないましょう。
STEP 1:うつ伏せになり、手を重ねた上に額を乗せる
肩がすくむ場合、手を動かしてリラックスできる位置を見つけましょう。脚は腰幅程度に開いておきます。
STEP 2:左ひざを曲げて、脚を外側に開く
左ひざの目安は股関節の高さですが、内ももに軽い伸びを感じられない場合や姿勢がツラい場合は、位置を上げ下げして調節しましょう。
STEP 3:【息を吸いながら】上体を起こす
手を床につき、グーッと押しながらゆっくりと上体を起こしてきます。姿勢がツラい場合、ひじを床についた状態でもOK。左内ももは床につけたまま、心地よく伸ばす&呼吸を繰り返します。反対側も同様におこないましょう。【回数:呼吸を5回】
しゃがんでおこなうストレッチ
「しっかりほぐしたい!」ときにおすすめなのは、しゃがみながらおこなうストレッチです。
STEP 1:ひざを外側に開いて、しゃがむ
立位の姿勢から、ひざを外側に大きく開いて腰を落とします。足はつま先立ち。手を体の前について、バランスを取ります。
STEP 2:右脚を真横に伸ばす
右ひざを伸ばし脚を真横に広げたら、かかとを床につけます。つま先は天井に向けましょう。【回数:呼吸を5回】
STEP 3:ひじを曲げて、上体を軽く前に倒す
ひじを曲げ、前腕(手首~ひじ)を床に近づけるようにして上体を前に倒します。同時に、右足の親指側面を床につけ、つま先を正面に向けましょう。反対側も同様に、STEP 2~STEP 3のストレッチをおこないます。【回数:呼吸を5回】
仰向けでおこなう「筋トレ」
内ももの筋肉は日常生活における動作ではあまり使われません。トレーニングは、筋肉量の減少を防ぐだけでなく、内ももの引き締めにも効果的なので、内もも痩せを狙う方はストレッチとセットでおこなうといいでしょう。
STEP 1:仰向けになり、ひざを立てる
▲脚は軽く揃えておき、かかとはひざの下あたりにセットします。腕は体の横に広げ、手のひらを床につけましょう。
STEP 2:お尻を高く持ち上げる~ひざの開閉を繰り返す。
▲背中~腰~お尻の順に床から持ち上げたら、ひざから肩が斜め一直線の姿勢を意識します。首ではなく、肩で体を支えましょう。お尻の位置はなるべく落とさず、ひざの開閉を繰り返します。【回数:20~30回】
最後に
「食事制限を頑張っているのに、なぜか内ももがスッキリしない…」という場合、内ももの筋肉が衰え、硬くなっている可能性も考えられます。1日の大半を座って過ごしていたり、脚を組んで座っていたりすることでも股関節内転筋群は衰えやすくなるので、心当たりがないかチェックしてみてくださいね。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。