目次Contents
産後のストレッチ、いつから始めていい?
妊娠してから出産するまでの期間は、約10ヶ月。そのあいだ、体にはさまざまな変化が現われます。そして、出産後には「少しでも早く出産前の体に戻したい」という方も少なくありません。
例えば、妊娠中に蓄えられた皮下脂肪。皮下脂肪は、通常でも落ち始めるのに3ヶ月~半年はかかります。また、出産に向けて開いた骨盤が正常に戻るまでは約10ヶ月という長い期間を要すると言われていることからも、産後の体を戻すのには時間がかかるのが一般的です。
そのサポートをしてくれるのが運動なのですが、産後は“いつから”体を動かしていいのでしょうか?
◆産後の運動、目安は「3ヶ月後」から
出産後の体調が快方に向かうペースには、個人差があります。そのため、“いつから運動OK”といった明確な決まりはありませんが、だいたい3ヶ月後あたりからというのが目安になるでしょう。運動よりも軽めのストレッチの場合は1~2ヶ月後くらいから始めてもいいと言われています(医師に相談してからだと、より安心です)。
※ 産後すぐの産褥期(産後6~8週間)は、自分の体を休ませることが大事な期間なのでハードな運動はNG。
◆運動時の注意点
次に、運動をするときの注意点です。
・体調のいいときにおこなう
・自宅でできるような、簡単なストレッチやヨガのポーズなどからスタート
・時間は短めに! 休憩を挟みながら、30分以内で終わらせる
産後の運動は無理をしないことが大事。ここからは、緩やかに体を動かすストレッチとヨガのポーズを紹介していきます。
産後ストレッチ|肩や腰まわりがツラいとき
肩こりや腰痛が気になるとき、また気分をリフレッシュさせたいときにおすすめのストレッチを2つ紹介します。
◆仰向けでおこなうストレッチ
STEP 1:仰向けになりひざを立てる。
脚は腰幅程度に開きましょう。ひざの下にかかとをセットすると、恥骨への負担が軽くなります。両手は体の横。腰が反りすぎないように、ヘソを引き込みましょう。
STEP 2:お尻を高く持ち上げる
背中~腰~お尻の順に、床から持ち上げます。ひざから肩までが斜め一直線になる姿勢を意識しましょう。首ではなく、肩で体を支えます。
STEP 3:【息を吸いながら】両腕を床から持ち上げ、【息を吐きながら】頭の先の床に下ろす
両手の指先を遠くに伸ばし、肩まわりや脇の下、腰、お腹を中心に心地よい伸びを感じましょう。お尻の位置が下がってこないように、姿勢を保ちます。お尻を持ち上げた姿勢がツラい場合、床に下ろした状態でおこなってもOK。【回数:呼吸を5回】
◆うつ伏せでおこなうストレッチ
STEP 1:うつ伏せになり、左ひざを曲げて脚を外側に開く
手を重ねた上に、額を乗せます。左ひざの位置は股関節の高さ、姿勢がツラい場合はもう少し下げて緩めます。
STEP 2:【息を吸いながら】上体を起こす
手を床につき、ゆっくりと上体を起こします。腰に痛みがある場合は、ひじをついた姿勢でキープ。反対側も同様におこないましょう。【回数:呼吸を5回】
産後ヨガ|「椅子のポーズ」で体力・筋力を回復
ヨガ「椅子のポーズ」には、肩こり解消のほかにも脚の引き締めや体幹の強化といった効果に期待できます。体力や筋力の回復に役立てることができるでしょう。
STEP 1:脚を揃えて立ち、手を腰に添える
足裏3点(親指と人差し指の下、薬指と小指の下、かかと)で床を押しながら、重心はかかと寄りにして立ちます。みぞおちを緩め、腰が反りすぎないように、尾骨(背骨の延長線)を引き下げましょう。
STEP 2:【息を吐きながら】股関節とひざを曲げる
股関節とひざをそれぞれ90度に曲げて、腰を落とします。背中を反らせないように上体を起こし、頭頂~お尻までを斜め一直線に保ちましょう。ひざの内側同士を合わせると、内ももの筋肉に効いてきます。
STEP 3:【息を吸いながら】両腕を頭の先に伸ばす
手の指先~お尻まで、斜め一直線の姿勢を意識します。目線を落とさないようにして、呼吸を繰り返しましょう。【回数:呼吸を5回】
産後の尿漏れ|骨盤底筋群のトレーニング
産後は、骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)のトレーニングもおすすめ。骨盤底筋群とは、骨盤の底にある筋肉の総称のことで、膀胱や尿道、子宮、直腸などの腹部の臓器を下から支える働きをします。骨盤底筋群のトレーニングやコツなどを紹介します。
骨盤底筋群の衰えは尿漏れの原因?
出産で筋肉・靭帯が伸びてしまったり、日ごろの姿勢のクセや加齢によって筋肉そのものが衰えてしまったりすることで、その働きが低下すると、尿もれ、頻尿、膣のゆるみ、腰痛、内臓の下垂といった症状が現われるようになるのです。
トレーニングのやり方とコツ
骨盤底筋群をトレーニングするときのポイントは、「膣と肛門に力を入れて締める」こと。慣れるまでは感覚がつかみにくいので、排尿時、途中で止めるという訓練(最終的にはしっかり排尿を済ませましょう)をしてみるといいでしょう。
体のトレーニングとあわせておこなうときは、息を吐きながら膣・肛門を“締める”、息を吸いながら“緩める”とより効果的です。
トレーニング1
STEP 1:仰向けになり、ひざを立てる
最初に紹介したストレッチと同様に、脚は腰幅程度に開きます。ひざの下にかかとをセットしましょう。両手は体の横につきます。腰が反りすぎないように、ヘソを引き込みましょう。
STEP 2:お尻を高く持ち上げる
ひざ~肩までを斜め一直線にして姿勢をキープ。首に負担がかからないように気をつけましょう。
STEP 3:【息を吐きながら】右脚を床から持ち上げる
右脚を床から持ち上げたら、ひざを伸ばします。足先~肩までが斜め一直線になる姿勢を意識! 反対側も同様におこないます。【回数:呼吸を5~10回】
トレーニング2
STEP 1:両脚を伸ばして座り、ひざを立てる
両ひざを立てて座り、手を体のうしろについて上体を軽く倒します。指先はお尻に向けましょう。ポイントは、腰を丸めないこと!
STEP 2:お尻を持ち上げる
ひざの下にかかと、肩の下に手をセット。肩~ひざまでが一直線、床と水平になるように姿勢を保ちます。首に力が入りすぎないように! 【回数:呼吸を5~10回】
余裕がある場合、片方の脚を床から持ち上げてひざを伸ばしてみましょう。
肩を外側にまわし、左右の肩甲骨を中央に寄せるようにして胸を開くと、呼吸が深まって〇。反対側も同様におこないます。【回数:呼吸を5~10回】
最後に
産後の運動は、体の引き締めだけでなく、気分をリフレッシュさせたり、凝りや不調の改善に役立ったりもします。体調にあわせて無理のない範囲で、ストレッチやヨガを取り入れてみてはいかがでしょうか。
ヨガインストラクター 高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。