目次Contents
内臓の居心地を悪くする「骨盤後傾」って、どんな姿勢?
「胃もたれがする」「消化不良を起こしやすい」。このような不調が生じる背景には、骨盤の後傾が関係しているケースがあります。
骨盤の後傾とは、文字どおり骨盤がうしろに傾き、上半身が後方に下がった姿勢のこと。デスクワークのほかにも、1日をとおして座って過ごす時間が長いことで、骨盤がうしろに傾いた姿勢が続き、お尻~腰、背中にかけて丸くなりがちなのが主な原因です。
その結果、内臓が圧迫されたり、正しい位置を保てなくなって下垂したりして、機能低下が起こることが考えられます。
【骨盤の後傾】セルフチェックのやり方
まずは、自分の骨盤が後傾しているかを確認するセルフチェックのやり方を紹介します。
平らな床に、仰向けになりましょう。チェックするポイントは、腰と床のあいだのスペース!ここに手のひら1枚が入ればニュートラル、入らなければ骨盤が後傾している目安になります。
※ 反対にスペースが余るようであれば、骨盤が前傾気味で反り腰になっていたり、腰痛が出やすかったりします。
骨盤後傾タイプに当てはまっている場合、太ももの裏側の筋肉「ハムストリング」や、お尻・お腹の筋肉が硬くなって、骨盤をうしろに傾ける力が働くため、ストレッチを取り入れてほぐしてあげるのも有効な改善策です。
骨盤後傾の歪み改善ストレッチ
ここからは、歪み改善の期待ができるストレッチ方法を紹介していきます。
寝ながらストレッチ|ハムストリングを鍛える
STEP 1:仰向けになりひざを立てる
腕は体の横につき、脚を揃えておきましょう。あごを軽く引いて、首のうしろを程よく伸ばしてあげると姿勢が楽になります。
STEP 2:左脚は床の上、右脚は天井に向けてひざを伸ばす
左脚はソッと床に下ろし、右脚はかかとを突き出して天井方向に伸ばします。右ひざの裏に両手を添えて、脚をサポートしましょう。姿勢がツラい場合、右ひざを曲げたり、脚の位置を低くしたりして調節すると◎!
STEP 3:【息を吐きながら】右脚を体のほうに引き寄せる
右の太ももをお腹に近づけるようにして、右脚を引き寄せます。右のハムストリング(太ももの裏側)に心地よい伸びを感じながら、姿勢をキープしましょう。〈回数:呼吸を5回〉反対側も同様におこないます。
※ 体の状態に合わせて、まずはSTEP2でキープしてもOK!
座ったままのストレッチ|「ハムストリング・お尻」を鍛える
STEP 1:両脚を前に伸ばして座り、左ひざを曲げかかとを恥骨に近づける
骨盤を起こし、背筋を伸ばして座りましょう。右脚はかかとをグッと前に突き出して、脚の背面の伸びを深めます。
STEP 2:【息を吐きながら】上体を前に倒す
まずは浅い前屈から。手の位置を前に滑らせるようにして、「少し伸びている」と感じるところでストップ。ポイントは、右のかかとを突き出したまま&右ひざを伸ばしたままおこなうこと!
STEP 3:【息を吐きながら】上体を、さらに前に倒す
前屈を深めます。手が届く場合、右のつま先をつかんでもOK。吐く息で体の緊張を手放し、伸びをひとつ深めてみましょう。
〈回数:呼吸を5回〉反対側も同様におこないます。
※ 体の状態に合わせて、まずはSTEP 2でキープしてもOK!
四つ這いストレッチ:「ハムストリング・お尻」を鍛える
STEP 1:四つ這いの姿勢になる
手は肩幅、脚は腰幅に開き、肩の下に手首、股関節の下にひざをつきます。ヘソを引き上げて、背中を平らにしましょう。
STEP 2:手と手のあいだに右膝を踏み込む
右脚を大きく前に踏み込み、手と手のあいだに足の裏をつきましょう。手は、指先で床を押すカップハンズにすると、姿勢が楽になります。
STEP 3:【息を吐きながら】お尻をうしろに引く
お尻をゆっくりうしろに引き、右膝を伸ばしていきます。右つま先を上に向けるとgood! 尾骨を床に近づけるようにすると、よりしっかりハムストリングに伸びを感じられます。姿勢がツラい場合、右ひざを緩める、もしくは手の位置を体に近づけるなどして調節してみてください。
〈回数:呼吸を5回〉反対側も同様におこないます。
うつ伏せのストレッチ|「お腹」を鍛える
STEP 1:うつ伏せになり、両手を重ねた上に額を乗せて楽な姿勢からスタート
脚は腰幅に開き、足の甲は寝かせておきましょう。両手を重ねた上に額を乗せたとき、肩がつまる感じがしたら手の位置を少し前にずらします。
STEP 2:両手を胸の横につく
肩の下に手のひらがくるように、姿勢をセットします。手の指はしっかり開き、床を押す準備をしましょう。
STEP 3:【息を吸いながら】上体を起こす
ヘソは床につけたまま、腰を反らせすぎない浅い後屈をして、縮こまりがちなお腹を緩やかにストレッチします。脇を締め、肩を落として首を長くしましょう。目線は正面に向けます。〈回数:呼吸を5回〉
【姿勢の注意点】骨盤を後傾させない!
骨盤の後傾は、姿勢のクセとの関係によるところが大きいです。特に、椅子に座るときは注意が必要なので、正しい座り方のポイントをおさらいしていきましょう。
〈POINT〉
・深く腰かけて、背筋を伸ばす(背もたれと椅子のあいだにクッションを挟んでも良い)
・ひざや股関節が90度になるように意識する
・足の裏をしっかり床につける
就寝時、仰向けで片方のひざを曲げて外に開いた“4の字”の寝方をしている場合も、骨盤が後傾した状態が続きます。寝る姿勢は、意識的に変えるのが難しくもあるので、寝返りを打ちやすい寝具を使ったり、体に合ったマットレスに替えたりするのもいいかもしれません。
最後に
骨盤後傾のデメリットは、消化不良以外にもいくつかあります。背中や首の張りを強く、腰痛・頭痛を引き起こすことも…。姿勢の改善やストレッチなどをセルフケアの参考にしてみてくださいね。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。