真面目だからこそ誰かに頼ってみて
人から、「真面目だね」と言われることは多いですか? 真面目さは良い面でもありますが、行き過ぎると辛くなってしまうこともあるかもしれませんね。特に仕事となると、真面目な人は、ついつい責任を背負いこんでしまうことも多いのではないでしょうか。この記事では、こんな真面目な人のお悩みについて、社会保険労務士の塚原美彩さんと一緒に考えていきましょう。
ちょうど先日、Oggiブレーンの方から、こんなお悩みのお声をいただきました。
「社員の話を聞いて解決したりしているのですが、自分のエネルギーが奪われる感覚があります。吐き出す先がなく、自分が病んでしまいそうで困っています」(Tさん・43歳・女性/神奈川県)
このように、真面目になり過ぎるあまり、精神的に追い詰められてしまう方も、少なくないと聞きます。塚原さんにお話をおうかがいしました。
「Tさんは、責任感が強く、職場で頼りにされる存在なのだと思います。なんとか社員の方々の力になってあげようと、色々と動いてあげているのでしょう。
これはとても素晴らしいことですが、ご本人もおっしゃっているように、メンタル面が心配ですね。というのも、このように、日頃から人に頼りにされて、色々と解決をしてあげるタイプの方は、どんどん仕事や相談を抱え込んでしまうことも少なくありません。その結果、うつ病などに発展してしまうケースも。
とはいえ、『もっとゆるく考えよう』としても、性格を急に変えるのは、難しいですよね。
まず、Tさんにお勧めなのは、気持ちを吐き出す場所を作ることです。一番手軽にできるのは、自分の感情や思考をノートなどに書いていく、『ジャーナリング』と呼ばれる方法。心理学的にも、辛い気持ちを書いて吐き出すことは、ストレスの低減効果があると言われています。
反対に、気持ちをため込んでいると、頭の中でぐるぐると不安なことが思い浮かぶ『反芻』という現象も起きやすいので要注意。もし思い当たる節があれば、心からのSOSサインかもしれません。早めに何かしら吐き出すことをしてみましょう。
書くことに加えて、カウンセリングなど、第三者機関の力を借りてみるのもいいかもしれません。カウンセリングというと、大げさに捉えてしまうかもしれませんが、実は身近な存在になりつつあるのをご存知でしょうか?
例えば、厚生労働省の『働く人のこころの耳相談』では、無料で電話相談を受け付けています。こういったサービスを活用してみるのも一つの手ですよ。
このように、気持ちを外に出すことや、誰かに相談することは、決して弱さではありません。早めに対処した方が、問題は小さくて済みます。結果的に、自分の為だけでなく、人の為にもなるでしょう。『自分のケアも仕事のうち』と、考えてみてはいかがでしょうか」(塚原さん)
真面目過ぎる人の特徴とは?
真面目過ぎる人には、どのような特徴があるのでしょうか? もちろん個人差はあると思いますが、よくある特徴をピックアップして解説します。「もしかして私って真面目過ぎる?」と思った人は、チェックしてみてくださいね。
1:責任感が強い
責任感の強さは、真面目過ぎる人によくある特徴です。良いことでもありますが、重圧で辛くなってしまうことも。特に仕事となると、責任感の強さから周りに頼られてしまい、精神的に限界になってしまうこともあるでしょう。
2:人に迷惑をかけないようにしている
「人に迷惑をかけてはいけない」という思いが、人一倍強いのも特徴です。これは、幼い時からの教育や環境の影響もあるかもしれませんね。迷惑をかけたくないという思いから、本当は助けてほしい時に、なかなか言い出せないことも。結果的に、悩みを人に打ち明けられず、一人で抱え込んでしまう人も多いようです。
3:自分を後回しにしてしまう
真面目な人は、自分のことを後回しにしてしまう傾向も。真面目な人は、「私は後でいいよ」や、「みんなを優先しよう」という発想になってしまいがちのようです。
この特徴の人は、人を利用しようとする「テイカー」と呼ばれるタイプの人に、注意した方がいいでしょう。
辛くなってしまった時はどうすればいい?
真面目過ぎて、ストレスをため込んでしまうこともありますよね。辛くなってしまった時には、どのようにしたらいいのでしょうか?
まずは、辛い気持ちに蓋をせず、書き出すことで、感情をデトックスすることがお勧めです。真面目過ぎる人は、なかなか人には悩みを打ち明けられないという人も、多いのではないでしょうか? 書くという方法なら、一人でできますので、人に話すことに抵抗がある人は、まず試してみてくださいね。
その時、意識してほしいのは、自分の感情や考えを否定しないこと。「こんなことを考えてはいけない」などと自分を責めるのではなく、自分に優しく接するようにしましょう。
また、書くことで、客観的に自分を見ることができるようになります。その結果、「職場で今度こうしてみよう」などと、具体的な解決策が思い浮かびやすくなるという効果も。論理的ではなくてもいいので、まずは素直な気持ちを書いてみてくださいね。
心がけたいポイント
真面目過ぎる人に、ぜひ心がけてほしいのは、「自分も人も大切にする」ということです。
真面目な人は、自分を犠牲にして、人を優先しがちなのではないでしょうか? その結果、精神的に限界に達してしまうことも多いかもしれません。さらに、真面目過ぎる人は、何事も思い詰めてしまい、「もうすべてが嫌」というような、極端な考えに走ってしまうこともあるようです。
また、「自分の真面目な性格を変えたい」と思うかもしれません。とはいえ、急にいいかげんになることや、わがままにふるまうことも問題ですよね。限界になる前に、「自分も大切にする」という発想を取り入れてみましょう。
自分を大切にすることに、罪悪感は不要。なぜなら、精神的に参ってしまった方が、周りにも影響が大きいからです。「自分を大切にすることは、人を大切にすることにもつながる」という風に考えてみてくださいね。
最後に
この記事では、真面目過ぎる人の特徴、真面目になり過ぎて辛い時の対処法を解説しました。「私って真面目過ぎるかも」という人は、参考にしてみてください。
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※本記事はOggiブレーン会員に対して、2022年10⽉に⾏った「働き⽅アンケート」に回答いただいたOggi読者の回答をもとにしています。
塚原社会保険労務士事務所代表 塚原美彩(つかはら・みさ)さん
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。ライター所属:京都メディアライン