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「目の敵」の意味とは
「目の敵(めのかたき)」とは、人を憎んだり敵として見たりすることです。また、憎む相手そのものを指すこともあります。
会話のなかでは、「目の敵にする・される」「目の敵のような存在」のように用いるのが一般的です。
め‐の‐かたき【目の敵】
出典:小学館 デジタル大辞泉
憎んで敵視すること。また、その人。「—にする」
「目の敵」と「敵視」に具体的な違いはある?
「目の敵」は「憎い」という感情が先走り、理屈抜きに相手を敵とみなし、また具体的な行動をとることもあるでしょう。一方「敵視」の場合は、相手に対して論理的な感情を持ち合わせているといえます。あくまでも敵として見る行為そのものを指し、ただ自身に不利益な相手として認識していることです。
両者を比較すると、「目の敵」のほうが相手への憎しみの感情が強く、何かしらの行動を指す言葉とも考えられます。2つはよく似た言葉ですが、使用時はそれぞれのニュアンスの違いを踏まえるとよいでしょう。
てき‐し【敵視】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[名](スル)相手を敵として見ること。敵とみなして憎むこと。「他人をむやみに—する」
参考:小学館 類語例解辞典

「目の敵」の使い方と例文
「目の敵」は他者への憎しみや、それに付随する行動を指す言葉です。ネガティブなニュアンスが強いため、会話では使い方に気を付けましょう。
- 何が気に入らないのかわからないが、彼女からいつも目の敵にされている
- どんな理由があろうとも、人に対して目の敵にするような態度をとるべきではないよ
- これ以上、私だけを目の敵にするのはやめてください
- 私が彼を目の敵にしているなんて、何かの誤解です
- いつもトラブルを持ち込む彼は、私にとって目の敵のような存在だ
「目の敵」の類語や言い換え表現
「目の敵」には、以下のような類語や言い換え表現があります。
- 忌み嫌う(いみきらう)
- 嫉む(そねむ)
- 白い目で見る
行為の内容によっては、「目の敵」よりこれらの語句のほうが適しているケースもあるかもしれません。正しい意味を知り、状況に応じて使い分けましょう。

「忌み嫌う(いみきらう)」
「忌み嫌う」の「忌む」とは、相手を嫌って避けることです。「忌む」に「嫌い」という言葉を重ねた「忌み嫌う」は、相手に対する強い嫌悪感を表します。具体的には、相手を避けたり、ひどく嫌がったりする様子に適しているといえるでしょう。
「忌み嫌う」は、あくまでも相手を避ける様子を指します。「目の敵」のような「憎い」という感情よりも、「嫌だ」という感情に沿った言葉といえます。
- 何があったのか知らないが、彼女は彼のことを忌み嫌っている
「嫉む(そねむ)」
「嫉む」とは、相手の長所や幸せを羨むことです。自分より優れた物事に対する嫉妬のような感情を表します。
人によっては、相手を羨ましいと嫉む感情が憎しみにつながることもあるかもしれません。ただし「嫉む」には、「目の敵」のような強い憎しみの感情は含まれないケースがほとんどです。
- いけないとわかっていても、優れた才能をもつ彼女を嫉む気持ちが抑えられない
「白い目で見る」
悪意のこもった目で他者を見ることは「白い目で見る」と表現します。「白眼視(はくがんし)」と呼ぶこともあります。
「白い目で見る」場合は、「目の敵」のような憎しみの感情よりも冷淡な感情が勝るといえるでしょう。おもに、相手に対する思いやりのなさや、同情心のなさを表す点が特徴です。
- 裏切りが発覚した彼は、周囲から白い目で見られるようになった
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「目の敵」のような「目」にまつわる言葉
ここからは、「目の敵」のような「目」にまつわる言葉についてみていきましょう。
- 目が利く
- 目が曇る
- 目が肥える
体の一部である「目」は、慣用句として用いられることの多い語句です。会話や文章に慣用句を使うと、表現の幅が広がります。それぞれの正しい意味とともに、具体例も参考にしてください。

「目が利く」
「目が利く」とは、物事のよし悪しを見分ける力をもっていることです。その能力を備えた人や鑑定することは、「目利き(めきき)」と呼ばれます。
また、「利く」には「目」ではなく「口」と組み合わせた「口を利く」という慣用句もあります。「口を利く」は、口達者だったり、うまくいくよう世話をしたりすることです。
「目」を「口」とするだけで、まったく異なる意味になることを押さえておきましょう。
- 美術史を専攻してきた彼女は、美術品に関して目が利くと評判だ
「目が曇る」
見方に偏りがあることは、「目が曇る」と言い表されます。何かしらの理由で適切な判断ができない状況を指す言葉です。
また「曇る」には「顔」と組み合わせた「顔を曇らせる」という慣用句があり、こちらは表情を暗くする様子を表しています。
- いつも的確な判断を下す彼だが、身内が関係する案件については目が曇っていた
「目が肥える」
「目が肥える」は、よし悪しを見分ける力が増すことです。「目が利く」状態が、さらに向上した様子を表します。
また「肥える」は、体重が増えるという意味以外に、物事のよし悪しを判断する力が豊かになるという意味をもつ言葉です。そのため、「目」ではなく「口が肥える」とすることで、味のよし悪しがわかることを言い表せます。
- 古い茶碗や掛け軸などを仕事で取り扱ううちに、古美術品に関する目が肥えたように思う
「目の敵」や類語を正しく使い分けよう
「目の敵」は、憎い相手に対する感情や、何かしらの行動を表す言葉です。似た意味をもつ「敵視」とは、行動の有無や感情の内容が異なります。
「目の敵」には、類語も多数あります。日常生活では、状況に応じた使い分けが大切です。いずれもネガティブなニュアンスを含む言葉のため、使用時は相手との関係性やシチュエーションに配慮しましょう。
「目」に関する慣用句なども参考に、「目の敵」をはじめとする語句を日常生活やビジネスで正しく活用してください。
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