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頭の中が忙しくて眠れない…質の良い睡眠をとる方法って?
世界で最も睡眠時間が短いといわれている日本人。特に子どもたちや就労者に顕著です。
「就労者の睡眠時間の国際比較(※)」によると、日本人女性の1日の睡眠時間は7時間33分。最も睡眠時間が長いフランス人女性の8時間38分と比較すると、1時間近く差があることがわかります。
※ 「睡眠と生活習慣病との深い関係」- eヘルスネット(厚生労働省)
しかし、しっかり眠りたくても「なかなか寝付けない」、「夜中に何度も目が覚めてしまう」、「翌朝すっきり起きられない」という人もいるでしょう。私たちは頑張って起きていることはできても、頑張って眠ることは難しいのです。
というのも、眠ろうと思えば思うほど緊張感が高まって交感神経が優位になり、どんどん覚醒してしまうケースもあるから。また最近では、脳が疲れすぎていて休息モードに入れない―というケースも珍しくありません。
原因のひとつには、現代の情報量の多さが関係しています。
「インプット過剰」で脳が疲労困ぱい。休息モードに入れない
私たちは五感を使って情報収集をしますが、そのうちの8割は視覚からだといわれています。
例えばパソコンやスマートフォンを操作している時、テレビを観ている時、本を読んでいる時。さらには、ただ街中を歩いている時でさえ無意識のうちに資格は情報を集め続けています。それを処理しようと、脳はフル回転状態です。
このように、日中働きっぱなしの脳のスイッチがなかなか休息モードに切り替えられないことも、睡眠の質を下げる原因のひとつになると考えられています。
では、脳を働かせすぎて疲労が生じている時に安眠する方法はあるのでしょうか?
今回は、頭の中が常に考えごとでいっぱい…という人に向けた安眠(※)ストレッチ&ヨガ、さらに脳疲労を癒すヘッドマッサージのやり方をご紹介していきます。
※ 安眠とは:「安らかにぐっすりと眠ること」。悩みや不安などがなく、落ち着いて眠ること。
朝までぐっすり寝る方法【立ったまま】「前屈」で深いリラックス感を得る
背中を中心に体の背面を伸ばす前屈の姿勢には、高いリラクゼーション効果があります。頭を心臓よりも下に向け、視界を閉ざすことで心の落ち着きを得やすくなるので、気持ちが高ぶっている時にもおすすめです。
STEP 1:脚を揃えて立つ。
▲親指の付け根を揃えて、重心はややかかと寄り。尾骨(背骨の1番下、しっぽのような骨)を引き込んで、骨盤を起こしましょう。
STEP 2:【息を吸いながら】両腕を頭上に伸ばして、手のひらを合わせる。
▲吸う息に合わせて、両腕を横からまわし上げます。頭の上で手のひらを合わせましょう。
STEP 3:【息を吐きながら】前屈をする。
▲吐く息に合わせて両腕をまわし広げながら、上体を前に倒して前屈します。股関節から体を折るようにして、手のひらをペタッと床につけましょう。ひざを曲げて、お腹を太ももの上に預けます。
STEP 4:手でひじを持つ。
▲STEP 4の姿勢が安定したら、手を放してひじをつかみます。首・頭は完全に脱力させ、背骨にぶら下がる感覚で体や心の力みを下に向けて丁寧に手放していきましょう。〈回数:5呼吸〉
上体を左右に揺らしてもOK。
朝までぐっすり寝る方法【仰向け】でおこなうヨガ「鋤のポーズ」
ヨガの「鋤のポーズ」は、脚の位置が頭よりも上にくる“逆転のポーズ”のひとつ。脚が顔の上にきて自然と視界が閉ざされることで、脳がリラックスでき、落ち着きと静寂を得られる寝る前におすすめのポーズです。
STEP 1:仰向けになり、ひざを立てる。
▲脚を揃えてひざを立てたら、手は体側に添わせます。
STEP 2:脚を持ち上げ、足先を頭の先の床につける。
▲脚をゆっくり持ち上げてきたら、お尻~腰の順に床から浮かせます。手で腰をサポートしながら、足先を頭の先の床に下ろしましょう。
脚は股関節から折り曲げ、腰を肩の真上に引き上げます。
STEP 3:床の上で、手の指を組む。
▲手を腰から離したら床に下ろし、ひじを伸ばして指を組みます。肩を耳から離すようにして、肩甲骨を引き寄せましょう。
肩で体重を支え、頭は床に置いておくだけです。〈回数:5呼吸〉
※ STEP 3の姿勢がツラい場合はSTEP 2の手を腰に添えた姿勢、もしくは足先の下にヨガブロックのような厚みのある物を置いて呼吸を繰り返しましょう。
深く眠るための「ヘッドマッサージ」:乾いた頭皮をそのままほぐす簡単な方法
「頭皮の癒しは最高の癒し」だといわれています。頭皮を柔らかくほぐすヘッドマッサージには、ストレスの軽減や視界のクリア感、肩こり緩和など、ほかにも高いリラクゼーション効果があると考えられているのです。ここでは特別な道具は使わず、乾いた頭皮にそのままできるマッサージをおこなっていきます。
STEP 1:手のひらを側頭部に添え、前~うしろに向けて円を描くようにマッサージする。
▲手のひらに軽く力を入れて、前からうしろに外回りに円を描きながらマッサージをします。頭頂部寄りや耳の周りなど、手の位置を移動させて凝っている部分を入念にほぐしましょう。〈回数:10回×3セット〉
STEP 2:手の指を熊手の形にして耳の周りに添えたら、小刻みに動かしてマッサージをする。
▲手の指先を使い、耳の周りをまんべんなくマッサージします。手を熊手の形にして耳を包むように指先を添えたら、上下に小刻みにほぐしたり、前からうしろに円を描くようにマッサージしたりしましょう。
手の位置を少しずつ変えて、凝っている部分は入念に! 〈回数:10回×3セット〉
STEP 3:親指と人差し指で耳たぶをつまんだら、軽く引っ張る。
▲まずは耳の上部から、斜め上に向けて軽く引っ張ります。次は中央をつまんで横に、下部は下ではなく斜め上に引っ張りましょう。〈回数:3セット〉
3セットほどおこなったら、耳の上部をつまんで円を描くようにほぐします。〈回数:5周〉
ただし、妊娠中の人や血圧が高い人、飲酒後、頭痛がする時、気分が優れない時、頭皮に炎症がある時のヘッドマッサージはNGなのでご注意を。体調を確認したうえで、安全におこないましょう。
最後に
慢性的な睡眠不足は、日中の眠気や意欲低下、記憶力減退など精神機能の低下だけでなく、体内のホルモン分泌、自律神経機能にも大きな影響を及ぼすといわれています。快適な睡眠をとる方法のひとつとして、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。