縦横無尽とは?
縦横無尽は、「じゅうおうむじん」と読みます。制限なく、自由に物事を行うという意味です。
ここでは、縦横無尽の意味を解説します。
言葉の意味や成り立ち
縦横無尽は、「縦横」と「無尽」という2つの言葉から成り立ちます。「縦横」はたてとよこ、東西南北を指し、あらゆる方面という意味合いの言葉。四方八方のすべての方向を指します。「無尽」は「尽きることがない」という意味で、限界がないことを表す言葉です。
これら2つの言葉を組み合わせることで、四方八方に限りがなく、自分の思うとおりに自由自在に振る舞うという意味になります。
じゅうおう‐むじん〔ジユウワウ‐〕
出典:小学館 デジタル大辞泉
[名・形動]どの方面にも限りがないこと。物事を思う存分にすること。また、そのさま。「—な(の)活躍ぶり」
ポジティブな意味で使われる
縦横無尽は、「縦横無尽に」のように副詞として使われることが多く、「縦横無尽に動き回る」という使い方をします。
「縦横無尽に駆け回る」など、四方八方に動く様子そのものを指す場合もありますが、基本的には自由自在であることを肯定的に捉え、「縦横無尽に活躍する」「縦横無尽に仕事をこなす」など、ポジティブな意味で使われることが多いといえるでしょう。
縦横無尽の使い方・例文
縦横無尽の使い方は、例文をみて確認しましょう。
・試合では、メンバーの誰もが縦横無尽に動き回り、圧倒的な点差で勝利を獲得した
・彼は我が社のホープで、縦横無尽に仕事をこなして成果を上げている
・その有名作家は縦横無尽な発想で小説を量産しており、出版された著作は次々にベストセラーになっている
・親に連れられてきた子どもは公園に着くなり、縦横無尽に走り回った
・彼女は会社の配置換えにより自分が得意な業務に携わることができ、これまでとは打って変わって縦横無尽な活躍をみせている
・彼は縦横無尽な発想力があり、起業によって成功をつかむことができた
縦横無尽の類義語・言い換え表現
縦横無尽には、次のような類義語・言い換え表現があげられます。
・自由自在(じゆうじざい)
・三面六臂(さんめんろっぴ)
それぞれの意味や例文をみていきましょう。
自由自在
自由自在とは、自分の思うままにでき、思う存分に振る舞う様子を指す言葉です。自由に思う存分に動けるという意味の縦横無尽とは、ほぼ同義の言葉といえるでしょう。
〈例文〉
・彼女は10代までイギリスで暮らしていたため、今でも自由自在に英語を使いこなしている
・彼は幅広い知識を自由自在に活用し、仕事で発生するさまざまな問題を解決に導いている
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三面六臂
三面六臂とは、3つの顔と6つの腕という意味です。そこから転じて、1人で何人分かの働きをする、もしくは多方面にわたって活躍するという意味があります。
三面六臂の「面」は顔のことで、「臂」はひじ・腕を指します。この三面六臂を形で表しているのが、奈良県・興福寺にある「阿修羅像(あしゅらぞう)」です。阿修羅像の3つの顔は、それぞれ怒りと苦悩、悟りを開いた顔を表しており、6本ある手は一人で数人分の働きをするような強い力を表現しています。
三面六臂は幅広い活躍をするという意味で、縦横無尽に通じる言葉です。
〈例文〉
・会社は今よりも業績を上げるため、営業成績トップを更新している彼が三面六臂の活躍をしてくれるのを期待している
・彼女の働きぶりはまるで三面六臂で、いつも定刻で仕事を終えて帰宅している
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縦横無尽の対義語
縦横無尽には、次のような対義語があげられます。
・手枷足枷(てかせあしかせ)
・八方塞がり(はっぽうふさがり)
対義語も一緒に覚えれば、縦横無尽の理解がより深まるでしょう。それぞれの意味を解説します。
手枷足枷
手枷足枷とは、行動の自由を束縛するという意味があります。「枷」とは、首や手足にはめて動けないようにする刑具のひとつです。その枷を手や足にはめるという意味で、自由を束縛することを表しています。思うままに動き回る縦横無尽とは、反対の意味になるといえる言葉です。
〈例文〉
・彼女は企画のアイデアをいくつか考えて提案しようと考えたが、上司や同僚の反対意見が手枷足枷となり、提案を断念することにした
・職場の机は上司からよく見える位置にあるため、いつも仕事の様子を見られているようで手枷足枷をはめられている気分だ
八方塞がり
八方塞がりとは、どの方角に向かっても、不吉な結果が予想されることを指します。中国伝来の吉凶を占う陰陽道(おんようどう)に基づく言葉です。
陰陽道で八方塞がりとは、自分の生まれ年の星が方位盤の中央に位置している状態を指します。一般的にはそれよりも広く、「どの方面にも差し障りがあり、手の打ちようがない」という状態を指して使われます。
なすすべがなく、活路が見いだせない状況のときに使われる言葉で、自由に動ける縦横無尽とは真逆の言葉といえるでしょう。
〈例文〉
・時間と予算をつぎ込んで開発した商品がいっこうに売れず、会社は八方塞がりの状態にある
・起業してから数年は順調だったものの、アイデアが煮詰まって八方塞がりの状況に陥ってしまった
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縦横無尽の意味を正しく覚えよう
縦横無尽は思うままに制限なく動き回れるという意味であり、「縦横無尽に活躍する」など、主に褒め言葉として使われます。類義語には「自由自在」や「三面六臂」があり、どれも思うままに振る舞えることを表す言葉です。場面に応じて、使い分けるとよいでしょう。
縦横無尽の対義語には「手枷足枷」「八方塞がり」があり、自由を奪われている状態を表します。
類義語・対義語を合わせて覚え、縦横無尽を正しく使いこなせるようにしましょう。
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