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二日酔いを早く治したいとき…「ヨガ」ってしてもいいの?
お酒を飲み過ぎた翌日に起こる、二日酔い。その原因は明確に解明されていないものの、アルコールを分解する過程でできるアセトアルデヒドという有害物質が体内に残っていることで起こると考えられています。吐き気や胃もたれ、胸やけ、頭痛…これらの不快な症状は、少しでも早くスッキリさせたいですよね。
そこで気になるのが、二日酔いの解消法。安静に過ごす、市販薬を飲む、水分を摂る、肝臓の解毒作用を高める貝のみそ汁を飲む、などなど。このほかに、「運動や筋トレで汗を流すのがいい」とか「ヨガが効く」なんて話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
運動はキツそうだけれど、ヨガくらいならできるかも!と思ったそこのあなた。それって、本当に正解?
体調次第だけれど、基本的には✕
ゆったりとした呼吸を中心に、体を伸ばしたり縮めたりしてさまざまなポーズを取っていくヨガ。ヨガをすることによって血流が促される、内臓機能が活性化するなどといった効果が期待できます。
では、二日酔い解消のためにヨガをしてもいい―? 現役ヨガインストラクターの筆者の答えは、「基本的にはバツ」です。
というのも、ヨガには頭を下げる、脚を上げるなどの動きが多く含まれるため、血圧が大きく変動して体に負担がかかることがひとつ。さらに、汗をたくさんかいて脱水症状がひどくなることも考えられるでしょう。高温多湿の環境でおこなうホットヨガはもちろん、常温のスタジオでも動きが多い・大きいクラスへの参加は、治りかけていた二日酔いを悪化させる恐れもあります。また、腹部を強く伸ばす・ねじる・圧を加えるような動きも多いため、気分が悪くなる心配も…。
これらの理由から、二日酔いの症状がツラいときのヨガはおすすめではないのです。もしヨガをするのなら、体調が回復するのを待ってからにしましょう。内容としては、安静に過ごしていた体をリフレッシュさせることを目的とした軽めのヨガポーズをいくつかおこなう程度が安心です。
ここからは、二日酔いの回復後におすすめのヨガポーズを、姿勢別に3つご紹介します。
【寝ながら】完全に脱力! 最高のリラックス感を得る「シャヴァ・アーサナ」
ここではヨガブロックを使っていますが、ある程度の厚みがあれば畳んだ毛布やブランケット、クッションで代用しても問題ありません。
STEP 1:ヨガブロックを縦に置く。
▲ヨガブロックのサイズは、約225×150×75mm。ブランケットを同じくらいの大きさにたたむか、厚みのある本を重ねた上にブランケットをかけてもOKです。
STEP 2:ヨガブロックの上に仰向けになる。
▲肩甲骨の間にヨガブロックがくるように、体を預けて仰向けになります。胸を開いて呼吸を深め、腹部には適度な伸びを感じられるように姿勢を整えましょう。お尻は床につけておきます。
腕は脇の下に卵1個分のスペースを開け、手のひらは上向き。脚は腰幅より広くし、つま先を外に倒して全身の力を抜いたら目を閉じて心身をリラックスさせましょう。〈回数:5~10分〉
【ひざ立ちで】上半身を緩やかに反らせて内臓機能UP「ラクダのポーズ」
STEP 1:ひざ立ちになる。
▲脚を肩幅に開き、股関節の下にひざをセット。太ももは床に対して垂直に立てます。ポーズの完成まで、足の甲の中央で床を押し続けましょう。
尾骨(背骨の一番下、しっぽのような骨)を引き込んで腰が反りすぎないようにしたら、手を添えます。
STEP 2:上体を軽く反らせ、片手ずつかかとをつかむ。
▲尾骨を下げ、骨盤を立てたままゆっくり上体を反らせます。片手ずつ離してかかとをしっかりつかんだら、両腕を外側に回転させ、胸を開いて引き上げましょう。
太ももは内側に回転させ、脚が開かないようにします。
STEP 3:【息を吐きながら】頭をうしろに倒す。
▲胸を真上に突き上げ、頭をうしろに倒します。首の前側や胸、腹部に伸びを感じながら呼吸を繰り返しましょう。〈回数:5呼吸〉
つま先を立ててもOK。
▲足の甲を寝かせたままだと姿勢がツラい場合、STEP 1のスタートからつま先を立てて高さを出してみましょう。プロセスは同じです。
腰や首に不安がある場合、手を腰に添えたまま上体を反らす。
▲「ラクダのポーズ」は、後屈をするポーズです。腰や首などに不安があるときは、無理をしないこと。STEP 1のあと、手を腰に添えたまま上体を軽く反らすだけでもOK。
【デスクワーク中:椅子に座りながら】肝臓を労わる「座位の三日月のポーズ」
体の側面をストレッチをして、アルコールの分解で活躍した肝臓を優しく刺激します。ポイントは、強く伸ばしすぎないこと!
STEP 1:椅子に浅く座り、胸の前で手のひらを合わせる。
▲左右の座骨(お尻の下のほうにある尖った骨)に均等に体重を乗せ、骨盤を立てて座ります。合掌したときの手の親指は、胸の中心に下ろしましょう。
息を吐いて、肩の力を抜きます。
STEP 2:【息を吸いながら】腕を頭上に伸ばす。
▲吸う息に合わせて、手の指先を天井に向けてスーッと伸ばしていきます。ひじは軽く緩めましょう。
腕が前に倒れたり、腕をうしろに引きすぎて腰が反ったりしないように、耳の横あたりでキープします。
STEP 3:【息を吐きながら】上体を右に倒す。
▲上体を深く倒すよりも、指の先へと伸びるイメージで心地よく体側をストレッチします。目線は左腕の先、もしくは顔を正面に向けていてもOK。〈回数:5呼吸〉
STEP 4:反対側もおこなう。
▲息を吸いながら上体を起こしてきたら、次の吐く息で上体を左に倒します。側屈をしている間も、両方のお尻に均等に体重を乗せるとgood!
例えば左に側屈しているとき、右のお尻が浮きやすくなるので座面をしっかり踏むこと。そうすることで、無理なくストレッチを深められます。〈回数:5呼吸〉
体調が完全に回復したら…
▲椅子に座り直します。
【息を吐きながら】上体を左にねじる。
▲左手をひじ置き、もしくはうしろの座面に置いたら上体を左にねじります。右手は左ひざの外側に添えましょう。
ねじるときのポイントは、左右の座骨でバランスよく座面をとらえ、土台を安定させること。それから背筋を伸ばし、みぞおち~胸~首の順にねじります。反対側もおこないましょう。〈回数:左右各5呼吸〉
内臓を優しく刺激するねじり系のポーズは、体調が完全に回復してからおこないます。
二日酔いのときに「やらないほうがいい」ポーズ:具体例3つ
最後は、二日酔いのときにやらないほうがいいポーズの具体例を3つあげていきます。
ポーズ1:「ダウンドッグ」
▲「ダウンドッグ」は、頭を心臓よりも下に向ける逆転のポーズ。血圧に影響しやすいポーズなので、控えましょう。
ポーズ2:「ねじった椅子のポーズ」
▲「ねじった椅子のポーズ」では、上体を前に倒して腹部を圧迫します。そこにねじりも加わって、内臓を強く刺激することになるので気分が悪いときはNG。
ポーズ3:「コブラのポーズ」
▲「コブラのポーズ」もまた腹部をグンと引き伸ばすため、気分が悪いときや胃腸の調子が悪いときは控えましょう。
二日酔いのときは、安静な過ごし方をして体調の悪化や回復の遅れを防ぐことが重要です。ヨガをする場合は、体調回復後の気分転換や軽めのメンテナンス程度にとどめるといいでしょう。
※ 二日酔いの症状や回復にかかる時間には、個人差があります。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。