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「一年の計は元旦にあり」とは? 意味や読み方
「一年の計は元旦にあり」とは、「物事は最初が肝心だ」という意味で使われる言葉です。言葉本来は「一年の計画は元旦に立てるべき」の意味ですが、なによりもまず計画立案から始めることから、初めが重要という意味で使われています。
・「一年の計は元旦にあり」の言葉に従い、お正月から日記をつけることにした
・早朝ジョギングを習慣化するという目標を立てたが、三日坊主に終わった。「一年の計は元旦にあり」といわれるが、こう早く挫折すると、この一年が思いやられる
少し長いですが、「一日の計は朝にあり、一年の計は元旦にあり」ともいいます。早朝に一日の計画を立て、元旦に一年の計画を立てるべきという意味で、「一年の計は元旦にあり」と同じく、初めが重要であることを意味します。
一日の計は朝にあり、一年の計は元旦にあり
出典:小学館 デジタル大辞泉
1日の計画は早朝のうちに立て、1年の計画は元旦に立てるべきである。物事は、最初が肝心であるというたとえ。一年の計は元旦にあり。
「一年の計は元旦にあり」は誰の言葉? 由来や続きも
「一年の計は元旦にあり」の言葉には、いくつか由来があるとされています。その中でも、よく知られている由来を2つみていきましょう。
由来1.毛利元就の言葉
「一年の計は元旦にあり」は、戦国武将の毛利元就が語ったとされる次の言葉を由来とするという説があります。
・一年の計は春にあり、一月の計は朔にあり、一日の計は鶏鳴にあり
一年の計画は春に立て、一か月の計画は朔(ついたち)に立て、一日の計画は鶏鳴(けいめい、一番鶏が鳴く早朝)に立てることを意味する表現です。
年・月・日を問わず、物事が始まるタイミングで計画を立てるべきだの意味から、最初が肝心だという戒めに使われます。
なお、毛利元就は「三本の矢」の教訓でも知られています。3人の子にそれぞれ矢を1本ずつ与えて折らせ、次に3本束ねて与えたところ、簡単には折れなかったことから、兄弟が協力する大切さを説きました。
由来2.中国の書物『月令広義』の言葉
中国明代の書物『月令広義(げつりょうこうぎ)』を由来とする説もあります。『月令広義』は伝統的な行事やしきたりを解説した書物で、その中に、「一年の計は元旦にあり」の由来になったとされる次の言葉の記載があるとされています。
・一日(いちじつ)の計は晨(あした)にあり、一年の計は春にあり
一日の計画は一日が始まる朝に立て、一年の計画は一年が始まる春に立てることから、「物事の初めに計画を立てると充実度が高まる」という意味で使われる言葉です。なお、晨は「しん」や「あした」と読み、夜明けや早朝を意味します。
「一年の計は元旦にあり」と類似する言葉を例文で紹介
「一年の計は元旦にあり」のように最初が肝心だという意味で使われる言葉としては、次のものが挙げられます。
・初志貫徹(しょしかんてつ)
・徹頭徹尾(てっとうてつび)
・首尾一貫(しゅびいっかん)
・終始一貫(しゅうしいっかん)
それぞれの言葉の意味を例文を通して紹介します。
初志貫徹(しょしかんてつ)
「初志貫徹(しょしかんてつ)」とは、物事を思い立ったときの最初の志を貫き通すことです。志を貫くことが難しいと感じられるときでも、初心を忘れずに立ち向かうべきという意味で使われます。
・困難は多かったが、初志貫徹した
・初志貫徹することだけが立派というわけではない。ときには柔軟性も大切なのではないだろうか
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徹頭徹尾(てっとうてつび)
「徹頭徹尾(てっとうてつび)」とは、最初から最後までという意味の言葉です。「あくまでも」や、「終始」と言い換えられることもあります。
・わたしは徹頭徹尾、反対の立場を貫いた
・彼の主張は徹頭徹尾変わらない
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首尾一貫(しゅびいっかん)
「首尾一貫(しゅびいっかん)」とは、方針や考え方などが始めから終わりまで変わらないで、筋が通っていることを意味する言葉です。
・彼の論理は首尾一貫している
・首尾一貫した主張を繰り返した
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終始一貫(しゅうしいっかん)
「終始一貫(しゅうしいっかん)」とは、態度・状態などが、始めから終わりまでずっと変わらないことを意味する言葉です。
首尾一貫は筋が通っているときに使われますが、終始一貫は筋が通っているかどうかにかかわらず、最初から最後まで不変のときに使われる傾向にあります。
・彼は終始一貫して主張を曲げなかった
・彼女の主張は終始一貫している
お正月関連のことわざ
一年の計は元旦にありと同じく、お正月に関することわざをいくつかご紹介します。
・一富士二鷹三茄子
・笑う門には福来る
・一升の餅に五升の取り粉
それぞれのことわざの意味を解説します。
一富士二鷹三茄子
「一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」とは、江戸時代のことわざで、縁起がよいとされる初夢を順に並べたものです。富士は日本一高い山、鷹は鳥の王、茄子は「物事が成就する(=成す)」に通じることから、縁起がよいとされています。
このことわざは、徳川家康ゆかりの駿府の名物に由来するともいわれています。なお、江戸っ子が喜んだ初物というとカツオ(初鰹)が有名ですが、初茄子も初物として喜ばれ、将軍家に毎年駿河から献上されていたそうです。
一富士二鷹三茄子には続きがあり、「四扇五煙草六座頭(しせんごたばころくざとう)」といわれました。
扇は祭りや舞踏の小道具、煙草は酒と共に祭りや祝いごとに欠かせないもの、座頭は琵琶や三味線を弾きながら歌う生業で、いずれも祝いやめでたいことと強い結びつきがあるため選ばれたと考えられます。
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笑う門には福来る
「笑う門には福来る(わらうかどにはふくきたる)」とは、笑いの絶えない人の家には、自然に幸福が訪れることを意味する言葉です。
お正月に限定されませんが、おめでたい意味のことわざです。
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一升の餅に五升の取り粉
「一升の餅に五升の取り粉(いっしょうのもちにごしょうのとりこ)」とは、メインのものよりも付随するものに材料や費用がかかることです。取り粉とは、餅にまぶす米粉を指します。
素敵な年を迎えよう
一年の計は元旦にありといいます。新しい年がよりよい年になることを願い、計画を立てることから始めてみるのもよいかもしれません。素敵なスケジュール帳を買い、新しい気持ちで新年を迎えましょう。
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