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2024.05.12

イタリア人精神科医が回答! 「同調圧力」に負けない方法

「同調圧力」の罠にかかりそうになったら? 書籍『イタリア人精神科医 パントー先生が考える しあわせの処方箋(Tips)』(あさ出版)より、一部引用・再編集し、全4回でお届け!

“日本人のあたりまえ”が生きづらさの原因に!?

日々、なんとなく生きづらさを感じているという人は少なくないはず。それにはさまざまな背景があると思いますが、日本人の“あたりまえ”が原因になっている可能性が……!

「“日本人のあたりまえ”はわかりやすい例でいえば、『本音と建前』『察する(空気を読む/暗黙の了解)』『周りと合わせる』『極端に人の目を気にする』など。

日々日本で診療をしていると、これらは優れた社会スキルとして機能している反面、しがらみとなり、日本人の心の不調や生きづらさの原因となってしまっていることが、多いのに気づかされます」

————そう語るのは、イタリア人精神科医のパントー先生。パントー先生は、イタリアと日本の医師免許を取得。今は日本で日々精神科医として診療(カウンセリング)などをしているそう。

そこで、パントー先生の著書『イタリア人精神科医 パントー先生が考える しあわせの処方箋(Tips)』より、イタリア人(外国人)そして精神科医の視点から、カウンセリングを通じて見えてきた、日本人の心の特性や日本特有の文化についてご紹介。

計4回にわたる連載を通して、日本社会で暮らしながら、どうすれば日本人はもっとしあわせになれるのかについてのヒントを探っていきます。

※書籍より一部引用・再編集してお届けします

「同調圧力」の罠にかかりそうになったら

日本人は、同調圧力というプレッシャーに、常に必要以上にさらされています。

周囲から直接的に何か言われなくとも、「大人なら、こうしなければ」と周りの空気から〈察する〉、周りに〈合わせる〉ように求められ、周囲から浮かないようにするように仕向けられる―「暗黙の了解」と隣り合わせで日々を過ごしています。

「同調圧力」と「我慢」の違い

同調圧力は我慢と似ていますが、その最大の違いは「無意識のうちに」といえるでしょう。

特に日本社会においては、誰かに何かとやかく言われなくとも、心の中でどう思っていようと、「察して、周りに合わせる」ことがとにかく大事とされています。

それができないと、「大人」ではない。やっていけない。

これは「将来、ちゃんとした大人になれ」「社会人なら、こうして当然」という、「社会的アイデンティティー/役割」に対するプレッシャーにとどまりません。

実にさまざまな側面で、〝訓練〟を受け続けているといえます。

たとえば、「これが今、流行っているから、波に乗らないと」「そんなの、ダサい」などの「流行(トレンド)」も、同調圧力の一種です。

(c)Adobe Stock

「察して、周りに合わせる」

同調圧力のプレッシャーに「負ける」と、「(自己)感情調節」に対するすさまじい影響があります。

特に幼少期は感情調節を身につける時期であり、子どもの欲求、不満、本音を受け入れること自体が極めて大事にもかかわらず、行きすぎた同調圧力によって自分は何者なのか、感情調節が未熟なまま大人になるケースも珍しくありません

この場合、同調圧力(日常と他者関係のストレス)に対して、かなり敏感な大人に成長します。

子どもに対しての「社会的なアイデンティティー(social identity)/役割」の押し付けは、早期段階からさまざまな側面で始まります。

男女ロールモデル、親孝行、我慢、社会的な地位の獲得(名門大学への入学、トップの成績)、結婚年齢の締め切り、スポーツ、楽器言語学習、社会から見て優秀な人との付き合い……などなど、挙げればキリがありません。

日本の社会では、コミュニケーションは自発的な流れよりも、他者の承認を得る―つまり、「外部の基準(客観的な指標)」に合わせ、同調圧力にしたがって演技する傾向が、発達の早期段階にも取り込む傾向が見られるというわけです。

「自分はどう思っているか」を話してみよう

では、必要以上の同調圧力から逃れるには、どうすればいいのでしょうか。

手始めに、「自分が何を感じたか、どう思っているか」について、話してみましょう。

たとえば自己紹介。日本人は、「どこそこの大学を出た」「どこそこに所属している」「~と言われている」など、「社会的なアイデンティティー(social identity)/役割」や、他者視点に基づく自己紹介をすることが多いのではないでしょうか。

これを、プライベートでは「個人的なアイデンティティー(personal identity)/固有性」や自分の視点(自分自身が思っていること)に変えた、自己紹介に変えてみてください(仕事などでの付き合いでは、ムリしなくて大丈夫です)。

(c)Adobe Stock

「そんな機会ないかも」と思った方でも、書き出してみるといいと思います。

意識して、「何が好き」「何が嫌い」「自分の性格」などについて、述べ(書い)てみましょう。

そうすることで、「自分が(この場合は自分自身を)どう思っているか」がわかり、必要以上に周りに合わせ、「本当は、こう思っているのに」と、自分を見失ったり、あるいは卑下することが少なくなると思います。

ただ、ここまで述べておいてなんですが、日本社会では「やりすぎ」は禁物です。

白い目で見られ、かえってストレスになることも考えられるので(これも、同調圧力の一種ですね)、うまく使い分け、自分の感情を出してもらえればと思います。

***

TOP画像/(c)Adobe Stock

『イタリア人精神科医 パントー先生が考える しあわせの処方箋(Tips)』(パントー・フランチェスコ 著/あさ出版)

私たちは皆、幸せになりたいと願っています。しかし、異なる文化のレンズを通して観察すると、多くの理論家が最も普遍的な感情と考えている幸福でさえ、独自のニュアンスを持っていることに気づきます。

幸せは十人十色、つまり個人によります。それと同時に住む文化によって、異なる可能性があるのではないか――。

ある国(文化)の中で生きていると、それが「あたりまえ」となり、実は「世界的に見るとかなり変わっている」ということが、少なくありません。

いわゆる「カルチャーショック」ともいわれるものですが、日本は古くからその筆頭格ともいわれる国であり、その文化やそれにもとづく国民性について、かなりの研究がされてきました。

わかりやすい例でいえば、「本音と建前」「察する(空気を読む/暗黙の了解)」「周りと合わせる」「極端に人の目を気にする」などですが、優れた社会スキルとして機能している反面、日々診療(カウンセリング)をしていると、それらがしがらみとなり、心の不調となってしまっている日本人が多いことに気づかされます。

日々、日本で診療をしている、イタリアで生まれ育った精神科医が、カウンセリングを通じて見えてきた「日本人の心の特性」「日本文化の特有性」そして「日本社会で暮らしながら、どうすれば日本人はもっと幸せになれるのか」について、外国人・精神科医の視点からまとめた1冊。

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