「あの人は、今や飛ぶ鳥を落とす勢いだ」というような言葉を耳にしたことはありませんか? ビジネスやスポーツで勢いに乗っている人物やチームなどに対して、褒め言葉として使うこともできますよ。本記事では、「飛ぶ鳥を落とす勢い」の意味や使い方、類語、よく似た「飛ぶ鳥跡を濁さず」の意味を解説します。
「飛ぶ鳥を落とす勢い」の意味
「飛ぶ鳥を落とす勢い」は、「とぶとりをおとすいきおい」と読みます。意味を辞書で確認してみましょう。
権力や威勢が盛んなようす。「―で出世する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
まるで飛んでいる鳥が落ちてくるほど勢いが盛んなことを、「飛ぶ鳥を落とす勢いだ」と表現します。ものすごい勢いで賞を総なめしていたり、組織のトップに君臨した人などをみて、「あの人は飛ぶ鳥を落とす勢いだね」と言うケースがほとんどです。権力や威勢の強さに、周囲が圧倒されている様子がイメージできるでしょう。
使い方を例文でチェック!
一体、どんな状況が「飛ぶ鳥を落とす勢い」を使うのにふさわしいのか、例文を見ながら確認してみてください。
1:エリート社員の山田さんは、飛ぶ鳥を落とす勢いで昇進した。
ビジネスシーンでは、社員が出世をしたり、会社が業界トップに躍り出た時などに、この言葉が使われます。凄まじい勢いで昇進する人の様子を見て、「今や〇〇さんは飛ぶ鳥を落とす勢いですね」と褒め言葉として使うこともあるでしょう。周囲からすると羨ましい状態ですね。
2:その俳優は今年数々の映画で賞を総なめし、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
今年ノリに乗っている芸能人やアーティストなどにも、「飛ぶ鳥を落とす勢い」が使われます。例えば、数々の映画賞を受賞したり、新曲全てがヒットチャート入りを果たすなどの華々しい功績は、まさに「飛ぶ鳥を落とす勢い」だと言えるでしょう。
3:その人気政治家は、今や次期総理大臣候補とも呼ばれ、飛ぶ鳥を落とす勢いです。
政治の世界でも、例文のように「飛ぶ鳥を落とす勢い」は使われます。他の議員とは圧倒的な差をつけて当選したり、スピード当選のニュースが流れる様子は、人気と権力の凄まじさを感じることでしょう。
4:私が応援しているサッカーチームは、飛ぶ鳥を落とす勢いで連勝している。
スポーツの分野でも「飛ぶ鳥を落とす勢い」は登場します。次々と勝利をあげて、決勝へと突き進んでいくチームはまさに「飛ぶ鳥を落とす勢い」。この勢いは誰にも止められない、といった情熱が感じられます。応援している方も熱が入りますね。
類語や言い換え表現は?
周囲を圧倒するような勢いがあることを表現したい時には、「破竹の勢い」「決河の勢い」「向かう所敵なし」という言葉もありますよ。合わせて覚えてみてくださいね。
1:破竹の勢い
「破竹の勢い」の読み方は、「はちくのいきおい」。意味は以下のとおりです。
《「晋書」杜預伝から》竹が最初の一節を割るとあとは一気に割れるように、勢いが激しくてとどめがたいこと。「―で連戦連勝する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「破竹」とは、竹が勢いよく割れること。竹には一回斧を入れると、そこから綺麗に真っ二つに割れる性質を持っています。このことから、誰にも止めることができない凄まじい勢いのある人のたとえとして、「破竹の勢い」が用いられるようになりました。
(例文)
・その野球チームは破竹の勢いで連戦連勝した。
・軍隊は破竹の勢いで進撃した。
2:決河の勢い
「決河の勢い」は、「けっかのいきおい」と読みます。意味は以下のとおりです。
河川の水があふれ堤防を切るような猛烈な勢い。勢いのはなはだ強いことのたとえ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
堤防を決壊させてしまうほどの猛烈な水の勢いから転じて、勢いが激しいことを表します。勢いに乗っている組織や人などに対して使われる言葉ですね。
(例文)
・決河の勢いで敵を攻めた。
・決河の勢いで繁忙期を乗り切りました。
3:向かう所敵なし
「向かう所敵なし」は、「むかうところてきなし」と読みます。意味を確認していきましょう。
非常に強くて、どんな相手にも負けない。「連戦連勝、―だ」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
向かい進むところに、抵抗する人がいないことから「向かう所敵なし」と表現します。力の差が大きすぎて、もはやライバルになる相手もいないということですね。圧倒的な力があり、無敵な状態であることがこと表現から伝わるでしょう。
(例文)
・佐藤のマラソンのタイムは新記録を更新している。今大会でも向かう所敵なしだろう。
・そのベンチャー企業の業績はノリに乗っていて、向かう所敵なしといった状態だ。
似た字面のことわざ「飛ぶ鳥跡を濁さず」の意味とは?
同じ「飛ぶ鳥」を使ったことわざに、「飛ぶ鳥跡を濁さず」があります。字面は似ていますが、意味は全く異なるので違いを押さえておいてみてください。
「飛ぶ鳥跡を濁さず」は、「引き際が潔いことのたとえ」です。美しく飛び立つ鳥は、川面を濁らせることがないことから、立ち去る者の振る舞いについてたとえる言葉となったようです。「立つ鳥跡を濁さず」とも言います。
(例文)
・飛ぶ鳥跡を濁さずということわざがあるように、人間引き際が肝心だ。
・佐藤さんは潔く10年勤めた会社を退職した。飛ぶ鳥跡を濁さずとはあのことだね。
最後に
「飛ぶ鳥を落とす勢い」とは、「権力や威勢が盛んなようす」を表します。良い成績を次々と出したり、調子のいい相手に対して「〇〇さんは飛ぶ鳥を落とす勢いですね」と褒め言葉として使うと、相手も喜ぶかもしれません。他を圧倒するような、素晴らしい功績をあげている相手に使ってみてはいかがでしょうか?
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