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2024.03.21

「窮鼠、猫を噛む」とは何を意味することわざ? 由来や読み方、使い方を紹介

「窮鼠、猫を噛む」とは、弱い者も追い詰められると強い者に反撃することがあるという意味のことわざです。中国の塩鉄論に由来するとされる言葉で、日本でも日常会話に使われています。実際にどのように使うのか、例文をとおして紹介します。

「窮鼠、猫を噛む」とは? 読み方も紹介

「窮鼠、猫を噛む」とは、追い詰められて逃げ場を失った鼠(ねずみ)が猫にかみつくように、弱い者も追い詰められると強い者に反撃することがあることを意味する表現です。「きゅうそ ねこをかむ」と読みます。

《「塩鉄論」刑法から》追いつめられた鼠が猫にかみつくように、弱い者も追いつめられると強い者に反撃することがある。

(出典:小学館 デジタル大辞泉)

「窮鼠、猫を噛む」が意味する教訓とは?

本来であれば、猫はねずみを追いかけ、捕まえて食べる生き物とされています。しかし、ねずみは常に猫に追いかけられて逃げているのではなく、追い詰められて逃げ場を失うと、果敢に猫に立ち向かっていくこともあるようです。

同様に、弱い立場の者であっても、追い詰められてしまうと反撃することもあると考えられます。ねずみを立場の弱い者、猫を立場の強い者にたとえて、次のような教訓を含んでいる言葉といえるでしょう。

・相手が弱い者と思っていても油断してはいけない
・弱い者を見くびらず、相手の気持ちを考えて行動すべきである
・弱い者も強い者に立ち向かうべき
である

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中国の塩鉄論に由来する

「窮鼠、猫を噛む」は、中国の古典である塩鉄論(えんてつろん)に由来する言葉だとされています。塩鉄論の一節には「死すれば再びは生きず、窮鼠も狸を噛む」とあります。これは「死んでしまったら再び生きることはできない。死なないためにも、追い詰められたねずみは狸を噛んで攻撃をする」という意味です。

自分よりも立場や力が強い者に攻撃されたからといって、反撃せずに引き下がるのではなく、勝算はなくても立ち向かっていくことはできます。塩鉄論では、政治家を狸に、民衆をねずみにたとえ、ねずみが反撃しないように追い詰めすぎない政治を行うべきだと説いています。

対峙している猫とネズミのイラスト
(C)Adobe Stock

状況別「窮鼠、猫を噛む」の使い方

「窮鼠、猫を噛む」は、立場によってさまざまな意味に使えることわざです。自分をねずみだとすると、相手が自分よりも強いとしても果敢に立ち向かっていくべきだという意味で使えるでしょう。

反対に自分を猫だとすると、自分よりも弱い相手を見くびってはいけないと戒める意味で使えます。「窮鼠、猫を噛む」を使うシチュエーションは、大きく次の3つに分けられます。

・弱い者が逆襲する可能性を示唆するとき
・弱い者を追い詰めないように注意するとき
・相手を甘く見て油断するなと注意するとき

それぞれの使い方を例文から見ていきましょう。

弱い者が逆襲する可能性を示唆するとき

ねずみは猫にやられてばかりというわけでもありません。追い詰められたときには、逆襲する可能性があります。そういった状況を表現する際の例文は以下の通りです。

・わたしがいつまでも言い返さないとでも思っているの? 窮鼠、猫を噛むっていうでしょ。そろそろ我慢の限界だから、心しておくほうがいいよ
・彼がわたしを攻撃したのには正直驚いた。「窮鼠、猫を噛む」とはこのことだね

弱い者を追い詰めないように注意するとき

相手を見くびり、追い詰めるような行動ばかりすると、反対に相手から攻撃されてしまうかもしれません。弱い者を追い詰めすぎないように注意するときに、「窮鼠、猫を噛む」と表現することがあります。

・彼をからかうのはいい加減に止めたら? 窮鼠、猫を噛むっていうし、温厚な彼でもそろそろ腹を立てるよ
・年貢を増やしたいが、窮鼠、猫を噛むのごとく、村人をあまりにも追い詰めると一揆を起こすかもしれない。

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相手を甘く見て油断するなと注意するとき

「窮鼠、猫を噛む」は、追い詰めすぎて反撃される可能性を示唆し、相手を甘く見るなと注意を促すときにも使える言葉です。

・今まで一度も負けたことがない相手であっても、全力で立ち向かっていく必要がある。窮鼠、猫を噛むという言葉もあるから、油断をしてはいけない
・そうやって相手を馬鹿にしていると、いつか後悔するよ。窮鼠、猫を噛むっていうし、相手も、いつまでもやられてばかりでいるわけはない

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「窮鼠、猫を噛む」に類似する表現

「窮鼠、猫を噛む」と類似する意味で使う言葉としては、次の2つが挙げられます。

・火事場の馬鹿力
・窮寇は追うことなかれ

それぞれ似た意味やシチュエーションで使いますが、「窮鼠、猫を噛む」とはニュアンスが異なります。使い方を例文をとおして見ていきましょう。

飛び越える人の写真
(C)Adobe Stock

火事場の馬鹿力

「火事場の馬鹿力(かじばのばかぢから)」とは、切迫した状況に置かれると、普段には想像できないような力を無意識に出すことのたとえです。火事のときには、ゆっくりと行動していると、大切な財産が燃えてしまうだけでなく、自分自身の命も守れません。普段なら重くて持てなさそうなものが、火事という切迫した状況なら持ち運べるようになることも。

「窮鼠、猫を噛む」とは状況が異なりますが、追い詰められて普段とは異なる行動に出るのは似ているといえます。

・まさに火事場の馬鹿力だよ。あんなに大きな物をどうやって運び出したのかわからない

窮寇は追うことなかれ

「窮寇は追うことなかれ(きゅうこうはおうことなかれ)」とは、窮地に立った敵は抵抗してきて思わぬ損害をうけることがあるため、追い詰めるなという意味の言葉です。「窮鼠、猫を噛む」では、ねずみを追い詰めるなとは直接表現していませんが、「窮寇は追うことなかれ」は追い詰めないことに主軸を置いています。

・もう十分に彼と話し合いをしたでしょう? 窮寇は追うことなかれというから、これ以上は責めないほうが賢明だよ

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相手に失礼にならないように使おう

「窮鼠、猫を噛む」は弱者をねずみにたとえた表現です。自分を猫側、相手をねずみ側に置くと、相手を弱者と侮っていることにもなりかねません。比喩的に使う場合であっても、相手に失礼にならないように十分に注意しましょう。

メイン・アイキャッチ画像:(C)Adobe Stock

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