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ヨガの運動強度って、どれくらい?
日本のヨガ人口は毎年増加傾向にあり、2023年には1,100万人にものぼるというデータが発表されました。
ヨガは、サンスクリット語で「つながり」という意味を持ち、呼吸や姿勢(ポーズ)、瞑想を組み合わせて、心身の緊張をほぐす・体の歪みを整えて身体機能を向上させる・スタイルを整える・内臓機能を改善するなど、続けることで多方面にわたる効果が期待されています。
それゆえに、ヨガを取り入れる目的も人それぞれです。
例えば、運動目的でヨガを取り入れる時。気になるのは、その強度ではないでしょうか。厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(案)」によると、ダイナミックなポーズや動きを多く取り入れる運動量の多いパワーヨガの強度は4.0メッツ(※)。これは、卓球やラジオ体操第1と並ぶ強度です。
※ メッツ(METs):運動や身体活動の強度の単位
では、パワーヨガを1時間おこなった時のエネルギー消費量は?
「エネルギー消費量/kcal=メッツ×運動時間/h×体重/kg×1.05)」で計算すると、体重50kgの人の場合で約210kcal消費することになります。
ヨガでも筋肉痛になる?
運動をしてから、数時間~数日後に生じる筋肉痛(遅発性筋肉痛)。普段あまりしないような運動や、自分の筋力に合わないトレーニングをすることで、過度な収縮を繰り返した筋肉はダメージを受け、炎症を起こします。こうして傷ついた筋線維を修復する時に生じる痛みのことを一般的に筋肉痛といいますが、実のところ正確なメカニズムはまだ解明されていません。
ちなみにヨガでは、まさに普段おこなわないような複雑なポーズ・姿勢を取ったり、キープしたりするため、強度を問わず筋肉痛が生じる人も少なくないでしょう。
筋肉痛の時、ヨガをしていいの?
すでに筋肉痛になってしまっている時、「ヨガをしてもいいの?」と迷うことがあるかもしれません。
基本的には、ヨガで生じた筋肉痛が体にとって大きな問題になることは少ないと考えられていますが、痛みが生じている時というのはポーズを正しく取ることができず、効果を得にくいばかりかほかのパーツを痛めてしまう…という恐れもあるでしょう。
また、ダメージを受けた筋線維を伸ばしすぎた結果、さらに傷つけてしまうこともあるので、強度が高いヨガには注意が必要です。
特に、痛みが強い時や、全身が筋肉痛の時などは、2~3日ほど体を安静にして運動を休むといいかもしれません。反対にさほど痛まない時は、リラックスを目的としたヨガや強度が低いヨガをおこなって血流を促すことが、回復を助けてくれるケースもあります。
ここからは、軽度の筋肉痛の時や筋肉痛が治ったあとに取り入れやすい簡単なヨガポーズを紹介していきます。部位別、もしくは症状別に参考にしてみてくださいね。
【上半身がだるい時に】背中や体側にアプローチする「立位の三日月のポーズ」
STEP 1:脚を揃えて立ち、胸の前で手を合わせる
▲足裏3点(親指と人差し指の下、薬指と小指の下、かかと)でしっかりと床を踏みます。尾骨(背骨の延長線上)を床に下げるようにして、腰の反りを緩めましょう。胸の前で合掌したら、肩をうしろにまわしてストンと下げ、リラックス。
STEP 2:【息を吸いながら】両腕を頭上に伸ばす
▲手のひらを合わせたまま、両腕を頭上に伸ばします。腕が顔よりも前に倒れないように、姿勢に気をつけましょう。
STEP 3:【息を吐きながら】上体を左に倒す
▲上体は左・真横に向かって倒します。右の体側に心地よい伸びを感じましょう。ここでも足の裏では均等に床を踏んで! 反対側も同様におこないましょう。〈回数:呼吸を5回〉
姿勢がツラくない場合は、次の吐く息に合わせて、上体を左斜め前に倒してもOK。背中の広い範囲に加えて、肩甲骨周辺の筋肉をストレッチすることができます。
▲体を倒す角度よりも、呼吸が楽にできる姿勢を優先しましょう。
肩や胸が気持ちよく開いて、お腹も伸びる「魚のポーズ」
STEP 1:仰向けになる
▲「魚のポーズ」は、首を後屈させて頭頂部を床につけるので、姿勢が安定しやすい硬い床の上でおこなうこと!
STEP 2:二の腕を背中の下にしまう
▲片側ずつ肩と背中を床から浮かせて、二の腕を体の下にしまいます。手のひらを下向きにして、お尻の下にセットしましょう。
STEP 3:手のひらとひじで床を押し、頭を持ち上げたら頭頂部を床につける
▲胸の中心を天井に向かって持ち上げたら、頭頂部を床につけて姿勢をキープ! 首を痛めないように、頭の位置を固定して呼吸を繰り返します。肩や胸の開き、それとお腹がグーンと引き伸ばされる心地よさを味わいましょう。〈回数:呼吸を5回〉
姿勢を戻す時も、手とひじで強く床を押し、頭部をゆっくり浮かせます。
股関節まわり~太ももを緩める「牛の顔のポーズ」バリエーション
STEP 1:正座の姿勢からスタート
▲お尻のお肉を手で外にかき分け、左右の座骨(お尻の下のほうにある尖った骨)に均等に体重を乗せて、骨盤を立てます。あごの下のラインを床と平行にし、下腹部はリラックスさせましょう。
STEP 2:脚をクロスする
▲左脚が下、右脚が上になるように脚を重ねます。ポイントは、それぞれのひざを体の中心で重ねること! かかとがお尻の横にくるとgood。姿勢がツラい場合は、脚を緩めましょう。
STEP 3:胸の前で手のひらを合わせ、【息を吐きながら】上体を前に倒す
▲股関節から前傾させるように、上体を倒します。背中~腰のラインができるだけ丸まらないように、真っすぐにキープしましょう。股関節や太ももの周辺の筋肉を緩めるのと同時に、脚の筋肉をしなやかに整えます。反対側も同様におこないましょう。〈回数:呼吸を5回〉
お尻の筋肉を緩めたい時は「スリーピースワンのポーズ」
STEP 1:正座の姿勢から、両手を体の前につく
▲ひじを伸ばし、上体を軽く前傾させます。
STEP 2:右ひざは両手のあいだ、左脚はうしろに伸ばす
▲右ひざを手と手のあいだにセットし、かかとは恥骨に引き寄せます。左脚はひざを真っすぐにして、うしろに伸ばしましょう。
STEP 3:【息を吐きながら】上体を前に倒す
▲上体をゆっくり前に倒していき、前腕(ひじ~手首)を床につけます。目線は下に向け、右のお尻に心地よい伸びを感じられるところで姿勢をキープ。反対側も同様におこないます。〈回数:呼吸を5回〉
腰や股関節がだるい時は…「仰向けのストレッチ」もおすすめ
STEP 1:仰向けになり、右ひざを立てる
▲右脚はひざを立て、左脚は真っすぐ伸ばした姿勢からスタート。硬めのベッドなら、起床後や寝る前にそのままおこなってもOK。
STEP 2:右脚を床から持ち上げたら、ひざを胸に引き寄せる
▲両手を右ひざに添えます。手の自然な重さを使って、無理のない範囲で右ひざを胸に引き寄せましょう。反対側も同様におこないます。〈回数:呼吸を5回〉
最後に
毎日ヨガや運動をしている人でも、使う筋肉の部位や動きの強度の違いによっては筋肉痛が生じます。基本的には無理をせず、ヨガやストレッチをする場合は痛みの程度に合わせる・痛くない部位のみおこなうといった工夫をしてみてはいかがでしょうか。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。