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この記事のサマリー
・「お体に気をつけて」は、相手を気遣う表現です。
・体調不良の相手には「お体に気をつけて」ではなく「お大事に」が適切です。
・「お体に気をつけて」と言われたときは、「ありがとうございます」+相手を気遣う返しが好印象です。
「お体に気をつけて」。日々のメールや手紙の締めくくりで、何気なく使っている人も多いのではないでしょうか?
ですが、いざ目上の人や大切な相手に向けてこの言葉を使うとなると、「この表現で失礼にあたらないかな?」と不安になることも…。特にビジネスメールや退職時の挨拶、年賀状を書く場面などでは、言葉選びが気になるものです。
そこで本記事では、「お体に気をつけて」という言葉の意味から、場面別の例文、言い換え表現、さらには注意すべき使い方まで詳しく解説します。
社会人として知っておきたい「言葉のマナー」を一緒に学んでいきましょう。
「お体に気をつけて」の意味と基本の使い方
まずは、「お体に気をつけて」の基本的な意味と使い方を確認しましょう。
「お体に気をつけて」とはどんな意味?
「お体に気をつけて」は、「健康に留意してほしい」「無理をしないでね」という相手への思いやりを込めた表現です。
この表現は、家族や友人との日常的なやり取りだけでなく、退職時の挨拶や手紙の結び、ビジネスシーンでも幅広く使われています。特にコロナ禍以降、「健康」を気遣う言葉として目にする機会が増えたと感じている人も多いのではないでしょうか?
筆者も以前、上司の退職挨拶メールに「お体に気をつけてお過ごしください」と結んだ際、「優しい言葉をありがとう」と返された経験があります。温かな配慮が伝わる表現であることを実感しました。

「お体に気をつけて」を使うシーン別の例文集
「お体に気をつけて」という言葉は、退職時や手紙、年賀状などで使われることが多いでしょう。ここでは、すぐに使える文例とポイントについて解説していきます。
退職する人への一言
退職する同僚や上司に対して「お体に気をつけて」を使うときは、ねぎらいと未来への応援の気持ちを込めましょう。目上の人にはよりフォーマルな表現を選ぶのが安心です。
<例文>
・長年の勤務、本当にお疲れさまでした。どうぞお体に気をつけて、これからもますますのご活躍をお祈りしております。
・ご退職されるとうかがい、驚きました。お体に気をつけて、第二の人生を楽しまれてください。
先生・恩師への手紙で
感謝と労いの気持ちを込めつつ、尊敬の念を伝えるのがポイントです。卒業や異動などの節目には、体調を気遣う言葉が相手の心にも響きます。
<例文>
・先生には多くのことを教えていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。お体に気をつけて、これからもお元気でお過ごしください。
・新天地でも変わらぬご活躍をお祈り申し上げます。どうぞご自愛のうえ、お体にはくれぐれもお気をつけください。
筆者も学生時代、卒業のタイミングで恩師に手紙を送った際、「気遣ってくれてありがとう」と直筆で返信をいただいた経験があります。丁寧な一言が、人とのご縁を長くつなげてくれることを実感しました。
年賀状・寒中見舞いで
季節の挨拶に体調への気遣いを添えることで、文章に温かみと礼儀のバランスが生まれます。年賀状では定型句に加えてオリジナリティを少し加えると好印象です。
<例文>
・新しい年が皆さまにとって穏やかで健やかな一年となりますように。お体に気をつけて、どうぞいいお年をお迎えください。
・寒さ厳しき折、くれぐれもお体に気をつけてお過ごしください。
メールやSNSでの返信文に
親しい間柄でのメールやチャット、SNSのDMでは、堅くなりすぎず自然な気遣いが伝わる表現が望まれます。ややカジュアルな語尾でやわらかさを出すのもポイントです。
<例文>
・お仕事忙しそうだね。無理しすぎず、体に気をつけてね!
・気温の変化が激しいから、どうか体に気をつけて過ごしてね。

「お体に気をつけて」の言い換え・類語表現
「お体に気をつけて」という言葉は、気遣いの込もった便利なフレーズですが、「毎回これだと定型すぎるかも…」と感じることがあるかもしれません。そんなときに役立つのが、相手やシーンに合わせた言い換え表現です。
ここでは、親しい人向けのカジュアルな言い回しからフォーマルな表現まで、使いやすい類語やフレーズを目的別に紹介します。
親しい人向けのやわらかな表現
仲のいい友人や同僚には、優しい言葉で思いやりを伝えたいもの。あまり形式ばらずに、自然と相手の体を気遣う一文が心に残ります。
<おすすめフレーズ>
・無理しないでね
・体に気をつけてね
・あたたかくして過ごしてね
・元気でいてね
・がんばりすぎないようにね
筆者も、友人とのLINEで「がんばりすぎず、ちゃんと休んでね」と添えたところ、「その一言に救われた」と言われたことがあります。形式よりも、気持ちが伝わる表現が大切なのだと感じました。
ビジネスシーンや目上の人向けの丁寧な表現
ビジネスメールやフォーマルな手紙では、相手への敬意を保ちつつ、気遣いを伝えることがポイントです。「お体に気をつけて」より一段丁寧な表現を押さえておきましょう。
<おすすめフレーズ>
・どうぞご自愛くださいませ
・今後ますますのご健勝をお祈り申し上げます
・お体を大切にお過ごしください
・ご健康にはくれぐれもご留意ください
・ご無理のないようお過ごしください
「お体に気をつけて」の注意点と返事のコツ
使い方を間違えると意図しない誤解を招いてしまうこともあります。ここでは、漢字の使い分けや使わない方がいい場面、返事のコツなどを整理しました。
「お体」・「お身体」どっちが正しい?
「お体」と「お身体」の違いに迷ったことがある人は多いのではないでしょうか? 結論から言うと、どちらも間違いではありません。
ただし、「身体」は「しんたい」とも読めてしまうため、「体」のほうを使っているケースが多く見られます。
「お体に気をつけて」を使わない方がいい場面
非常に便利な「お体に気をつけて」という表現ですが、使ってはいけないシーンもあるので注意が必要です。
使ってはいけないシーンとは、相手が体調を崩している場合です。すでに体調が悪いのに「くれぐれもお気をつけて」と声をかけてしまっては、相手を不愉快にさせてしまうだけでなく、重荷にすら感じさせてしまうかもしれません。
相手が体調を崩している場合には「お大事になさってくださいね」と声をかけるのがいいでしょう。
「お体に気をつけて」と言ってもらったら?
相手に気遣いをしてもらったのですから、返事は「ありがとう」がいいですね。例えば、「お気遣いいただき、ありがとうございます」でもいいですし、さらに相手への気遣いを添えて「○○さんもどうぞお気をつけて」と言ってもいいでしょう。
よくないのはスルーすること。気遣いの言葉のみに返信メールを送る必要まではありませんが、次のメールの冒頭にお礼を一言書いておけば、「きちんと読んでくれたんだな」と相手も安心すると思いますよ。

「お体に気をつけて」に関するFAQ
ここでは、「お体に気をつけて」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1.「お体に気をつけて」と「ご自愛ください」はどう違うの?
A.「ご自愛ください」も、「健康に気をつけてください」という気遣いのある表現です。
「お体に気をつけて」は口語でも使われますが、「ご自愛ください」は手紙の文末で使われることが多いでしょう。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
Q2.英語で「お体に気をつけて」はどう表現する?
A.カジュアルに言うのであれば“Take care of your health.”。丁寧に言うのであれば“Please take good care of yourself.”が使えます。
参考:『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)
最後に
ビジネスシーンでは、ちょっとした気遣いができるかどうかで、その後の流れが大きく変わることがよくあります。「たかがメールでしょ」と判を押したように「よろしくお願いいたします」と書いていては、相手の目にとまりません。
季節に合わせて、あるいは相手の様子に合わせて、ちょっとした気遣いの言葉を添えてみましょう。相手はもちろん、自分自身も心が軽くなりますよ。
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