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免疫力UPや心の安定・リラックスにも! 発酵食品のパワー
「健康のカギは腸にあり」。
腸が消化器官として働くだけでなく、全身の健康のためにも重要な役割を担う臓器であることから、このようにいわれています。
まず、腸内環境が整うことで、腸壁に集中する免疫細胞が活性化したり、便秘が改善したり、それによって肌の調子がよくなったりすることにも期待できるでしょう。ダイエット効果も然り。さらには、幸せホルモン・セロトニンのほとんどは腸で作られるため、心の安定やリラックスにもつながるといわれています。
では、腸内環境を整えるにはどうしたら?
適度な運動をする、睡眠と休息をしっかり取るといった腸活をしてみるのもいいでしょう。ですが、忙しく過ごしていると、その時間を取ることが難しかったりするかもしれません。そこで、注目したいのが“発酵食品”の存在。1日に何度かの食事の時間に、善玉菌を含む発酵食品を食べることで、腸内細菌のバランスを整える役に立ってくれるでしょう。
また、せっかく発酵食品を食べるのなら、より効果的に! と思いますよね。
しかし、発酵食品にまつわる情報を調べてみると、「朝、食べるといい」はたまた「夜に食べたほうがいい」など、書かれていることが実にさまざま。「結局、いつ・どうやって食べたらいいの?」と、頭を抱えてしまうかもしれません。
朝? 夜? 発酵食品をより効果的に食べるには…
発酵食品を食べるタイミングや食べ方に関しては、さまざまな情報が溢れかえっています。それゆえ、「いつ・どうやって食べたらいいの?」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
これは、それぞれの発酵食品に含まれる栄養の特性も関係しているためで、たとえば納豆ひとつにしても、朝食べると日中に活動する際の代謝を高めてくれるといわれていたり、夜食べると寝ているあいだに血液をサラサラにしてくれる… などといわれていたりもします。
ですが、それよりもまず意識してもらいたいのは、“発酵食品を食べる”習慣を身につけること。
それも、できるだけ毎食。1品よりは2品といったように、いくつかの発酵食品を取るのがおすすめ。そうすることで、複数の菌を体内に取り入れることができ、それぞれの活動性が増すためです。
そもそも、食べ物から取り入れたいい菌も、わずか数日で便として排出されてしまいます。発酵食品の恩恵にあずかり続けるには、食事毎に取り入れることが大事になってくるのです。
また、発酵食品同士には、食べ合わせの悪さがほとんどないと言われていることからも、発酵×発酵の組み合わせをして取り入れてみるのもいいでしょう。
発酵 × 発酵の組み合わせも◎
発酵食品同士は、食べ合わせることで効果が高まるとお伝えしました。
ここでは、発酵食品ソムリエの資格を持つ筆者が、よく食べているおすすめの組み合わせをご紹介していきたいと思います。
●納豆 × キムチ
納豆×キムチは王道の食べ合わせ。
納豆菌は、高温、低温、乾燥、酸などにも強く、胃酸によって死滅することなく腸まで到達して、腸内で悪玉菌が増殖するのを防いでくれます。キムチに含まれる乳酸菌もまた、生きたまま腸まで届きやすいといわれていることから、この2つは最強の食べ合わせといっても過言ではないでしょう。
●甘酒 × ヨーグルト
米麹から作られる甘酒は、整腸作用はもとより、ブドウ糖やビタミンB群が豊富なことから「飲む点滴」とも呼ばれる高い栄養価を誇る飲み物です。ヨーグルトは、いわずと知れた乳酸菌の宝庫。しかも、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、乳糖分解酵素・ラクターゼを産生して乳糖を分解するばかりでなく、分解してできた糖を乳酸菌が取り込んで乳酸に変化させます。
ですので、牛乳でお腹がゆるくなりやすい方でも、安心して口にすることができるのです。
甘酒が多めだともったりとした甘味に、ヨーグルトが多めだとさっぱりとした酸味が感じられるようになるので、好みの分量でドリンクを作ってみてください。
●味噌(汁)× 酒粕
味噌汁を作るときは、ぜひ酒粕をプラスしてみてください。
味噌もまた、腸内環境を改善する微生物(プロバイオティクス)を多く含む発酵食品。さらには、メラノイジンという強力な抗酸化作用を持つ色素成分が含まれており、体を若々しく保つ効果に期待できる食品でもあります。
酒粕は、日本酒の醸造工程で、醪(もろみ)をしぼったあとに残る固形成分。ビタミンやアミノ酸が豊富なだけでなく、注目の美白成分・コウジ酸が含まれているため、美容面でも嬉しい1杯となってくれるでしょう。
味噌×酒粕の味噌汁には、ややとろみがあり、味はまろやかに仕上がります。
ほかにも、ぬか床にチーズを漬けると、芳醇な味わいの発酵おつまみを作ることができるので、お酒が好きな方はぜひ試してみては?
発酵食品を食べ続けるとどうなる? 体に合わないものもある?
単品で食べてもいいし、複数の食べ合わせを楽しんでもいい“発酵食品”。
食べ続けることで、腸内環境が整い始めてくると、はじめに便通の変化を感じる方が多いでしょう。便秘が解消されると、栄養素の吸収がよくなります。すると、美肌効果を得やすくなるうえに、代謝が上がってダイエットにも嬉しい効果が期待できるでしょう。
先にお話した、免疫力の向上や、ストレスの軽減なども含め、発酵食品を食べ続けることでの健康効果は多岐にわたります。
が、しかし、いくら体にいいものであっても、「すべての食材が、すべての人に合うわけではない」ということも念頭に置いておく必要があります。
「お腹が張る」「おならが出すぎる」といったお腹の不快感があるときは、毎日食べている発酵食品やそのほかの食物繊維が豊富な食材のなかに、合っていないものがあるかもしれません。その場合は、一旦食べるのをやめて、変化の有無を観察してみるといいでしょう。
それと、発酵食品のなかには、塩分を多く含むものもあるので、取りすぎるとむくみが生じることもあります。カリウムを含む食材と一緒に食べるなどして、工夫しながら取り入れてみてください。
最後に…。
食事は、バランスよく! が鉄則です。くれぐれも、発酵食品だけに偏ることがないようにしましょう。
ヨガインストラクター/発酵食品ソムリエ 高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®といった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。