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「納豆を食べたくなる!」その理由を、美味しさ・栄養の面からおさらい
発酵食品といったら、まずはじめに“納豆”を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
一方で、「発酵食品だから」と意識せずとも、毎日の献立にごく自然に納豆を取り入れている方も少なくないかもしれません。私たちにとって、納豆は、それくらい身近でメジャーな食品なのです。
そこで今回は、我々が「どうして納豆を食べたくなるのか」その理由を、美味しさ・栄養などの面から簡単におさらいしていきたいと思います。
まずは、納豆を食べたくなる理由のひとつめ。
独特のうま味と、香りによる“美味しさ”をあげることができるでしょう。納豆ができる過程で作られるアミノ酸の多くが、昆布のうま味成分と同じ“グルタミン酸”であること。漬け物や味噌と共通して、醤油と相性のいい香りがすることとあわせて、納豆は我々日本人が好む風味になっているのだといわれています。
そして、納豆を食べたくなるふたつめの理由。それは、何といっても“体にいいから”でしょう。
注目すべき納豆の健康機能
腸内環境の改善
納豆に含まれる納豆菌は、高温、低温、乾燥、それに酸にも強いという特徴を持つ“最強菌”。
胃酸によって死滅することなく、腸まで到達し、腸内で悪玉菌が増殖するのを防いでくれます。さらに、納豆の原料である大豆に含まれるオリゴ糖や食物繊維が善玉菌の栄養になって、繁殖を助けてくれるのです。
その結果、腸内細菌のバランスが整い、腸内環境が改善されることで、免疫力・代謝の向上や、便秘・肥満・肌荒れの悩みの改善にも効果を期待できるでしょう。
栄養豊富で消化もいい
納豆には、筋肉や爪、髪、肌などの材料になるタンパク質が豊富。そのほかにも、代謝を活発にするビタミンB2や、疲労回復に役立つビタミンB1をはじめとするビタミン類やミネラル、食べ物の消化を助ける消化酵素も多く含みます。
血栓予防・骨粗しょう症予防
納豆に含まれるナットウキナーゼは、血栓の予防効果に期待される酵素です。
それと、大豆に多く含まれるポリフェノールの一種・イソフラボン。イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きを持つことで知られていますが、骨を丈夫にし、骨粗しょう症の予防に期待される栄養素でもあります。しかも、大豆が発酵して納豆になることで、より体内に吸収されやすくなるといわれています。
このように、美味しくて、体にもいい納豆。「いつ・どのように」食べたらいいのかも、気になるところですよね。
納豆は、いつ・どうやって食べたらいい?
「納豆は、夜に食べるといい」と、聞いたことがある方もいるでしょう。
これには、納豆に含まれるビタミンB群が成長ホルモンに働きかけることで、寝ているあいだに肌の修復力が高まるからだといわれているのがひとつ。それと、血栓ができやすくなるのは、寝ているあいだです。そのため、ナットウキナーゼの血栓溶解効果に期待する場合は、夕方・夜に納豆を食べるのがよいとされていることにも関係があるでしょう。
また、ここで覚えておきたいのが、ナットウキナーゼは酵素の仲間であるということです。つまり、熱に強くありません。ナットウキナーゼによる効果を期待して納豆を取り入れるのなら、できるだけ非加熱で食べることをおすすめします。
ちなみに、朝食に納豆を食べる方も多いと思うのですが、朝の納豆はタンパク質の補給になり、日中に活動する際の代謝を高める効果に期待できるといわれています。
もともと納豆は、基本的にはいつ食べてもOK… なのですが、もし期待する効果があるのなら、時間帯を決めて食べるのもいいかもしれませんね。
納豆をより美味しく食べる方法
これは、とても簡単。“よく混ぜる”、たったこれだけで、美味しさがグンと増します。
納豆のネバネバの主成分・ポリグルタミン酸は、うま味成分の一種であるグルタミン酸が結合したもの。ですので、納豆をよく混ぜることによって、ポリグルタミン酸からグルタミン酸が遊離すると、うま味が増すのだと考えられています。
まずは、何もかけずに混ぜて、納豆が糸を引いて白くなってきたらタレをかけてさらに混ぜる。混ぜ方を工夫するだけで、納豆がグッと美味しくなるので、ぜひ試してみてくださいね。
自分の腸内環境を知ることって、できるの?
ここまでは、納豆の健康機能や美味しく食べる方法についてお話してきました。
では、納豆をはじめとする発酵食品や腸にいいとされる食品を取ったり、そのほかにも腸活をしたりすることで、「自分の“腸内環境”がどうであるのか」を知る目安はあるのでしょうか。
その答えは、Yes。自分の便の状態をチェックすることで、腸内細菌のようすをある程度知ることができます。
便の状態、チェックポイント
●善玉菌が優勢なとき… 黄土色で、匂いの少ない便
→ 大腸のぜん動運動が活発になり、排便を促すことで、腸内の有害物質を体外にスムーズに排出できる
●悪玉菌が優勢なとき… 黒っぽく、匂いの強い便
→ ぜん動運動が弱まって、便秘や下痢など排便が乱れがちになったり、有害物質が腸の中に長くとどまることで、ますます悪玉菌の数が増えたりもする
腸内細菌のバランスは、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7(※)が理想的であり、便でいうと、黄土色で匂いが少ないことに加えて、硬すぎず、柔らかすぎないバナナ状であることがその目安になります。
※日和見菌:普段は、人体に有害でも有益でもないけれど、悪玉菌が優勢になるとその味方をするようになる菌。
腸内環境もまた、人それぞれなので、腸活をはじめてから“どのくらいで変わるのか”という期間を意識するよりも、便の状態を意識するほうがより具体性が高いでしょう。毎日の食事や、運動・生活習慣とともに、便の状態をチェックして、理想的な腸内環境を目指しましょう。
コンビニで買うべき「発酵食品」は?
最後に…。
腸内環境を整えるのに役立つ“発酵食品”は、毎日、継続的に取り入れることが大事になってきます。なぜなら、食品を通して腸内に入った菌の多くは、数日で便として体外へ排出されてしまうからです。
しかし、毎食、発酵食品のことを考えて自炊をするというのは、そう簡単ではなかったりもしますよね。忙しいときは、コンビニエンスストアで買ったもので食事を済ませることもあるでしょう。
ですが、コンビニエンスストアでも、発酵食品を購入することは可能です。
例えば、納豆(納豆巻きも含む)、キムチ、ぬか漬け、チーズ、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、甘酒、味噌汁など。
発酵食品ソムリエの資格を持つ筆者は、サンドイッチを納豆巻きに変えたり、おにぎりに味噌汁、ぬか漬けをつけたり、甘いものを欲したときは、甘酒を購入したりするようにしています。
ただし、発酵食品に偏りすぎても、栄養バランスが崩れてしまうので注意が必要。「1品プラスする」くらいの取り入れ方をすれば、無理なく、日常的に腸活を続けることができるでしょう。
ヨガインストラクター/発酵食品ソムリエ 高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®といった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。