【目次】
・【自己肯定感】の意味とは?
・自己肯定感が高い人の特徴
・自己肯定感が低い人の特徴
・自己肯定感を高める方法
【自己肯定感】の意味とは?
「自分はありのままでいい」という感覚。自尊心は関係ない
「自己肯定感」とは「自分は今のままで大丈夫、生きているだけで価値がある」と思える感覚のことです。
心理カウンセラー・山根洋士さんによると「自己肯定感と自信やポジティブさは関係ない」と言います。
「自信があるとか、自尊心が高いとか、ポジティブだとかいったことは実は関係ありません。例えば自信がなかったり、ネガティブだったりしても『自分はありのままでいい』という感覚があれば、自己肯定感は低くならないですよね」(山根さん)
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自己肯定感が高い人の特徴
物事を前向きに捉えることができる
自己肯定感が高い人は、物事を前向きに捉えることができます。
ありのままの自分に満足しているため、不得意なことや苦手なことがあっても、それが理由で自分が劣っているとは考えません。また、他人の粗探しよりも良い面を見つけて褒めたり、意思を尊重したりすることも得意です。
主体性がある
主体性があり自ら積極的に行動することも、自己肯定感が高い人の特徴として挙げられます。
誰かの評価を気にするのではなく、自分の意思で行動することに迷いがなく「自分はこうしたい」というはっきりとした意思を持っています。
失敗を恐れずにチャレンジする
自己肯定感が高い人は「なんとかなる」「まあ大丈夫」と物事を楽観的に捉えられるため、新しいことや困難なことにも進んで挑戦できます。
たとえ失敗しても「次につながる」「また頑張ろう」と前向きに考え、失敗を成長の糧にしていくため、結果として成功しやすくなるそうです。
自己肯定感が低い人の特徴
他人と比べてしまう
自己肯定感が低い人は、他人と比較して「自分はダメだ」と落ち込んでしまうことが多いと言われます。
他人と比べることは必ずしも悪いことではありません。ですが、それが過剰になってしまうと「なんでこの人はできるのに私はできないんだ」と自己嫌悪に陥ってしまったり、嫉妬や劣等感で苦しんでしまったりします。
その結果、精神的に不安定な状態に陥ることも多くなってしまいます。
「自己肯定感を高めて」と言われてもしんどい… 心が軽くなる方法は?【心理カウンセラー監修】
「でも」「だって」など言い訳が多い
自己肯定感が低い人は「でも」「だって」という発言が多く、「できない理由」ばかり口にしてしまいがち。
これは「自分の発言は重要じゃない」というメンタルノイズが原因だそう。
カウンセラーの山根洋士さんによると、幼いころ自分の希望とは反して強制的に別の選択肢ばかり選ばれるような経験が多いと「自分の意思は重要じゃない」「自分が意見を言っても意味がない」と、知らず知らずの内に考えない方が良いと思うようになってしまうのだとか。
これが大人になっても発動すると、物事の決断できず、言い訳ばかりしてしまうようになり、自己肯定感も下げてしまうという結果に。
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承認欲求が強い
自己肯定感が低い人は「自分を見てほしい」「自分を褒めてほしい」という承認欲求が高いといわれています。
これは自分で自分の気持ちを満たすことができないので、他人から認められることや褒められることで自分の存在価値を確認したがるのが理由。
幼少期に「愛情不足」だったことが原因でもあると言われ、家族からの愛情をあまり感じないで育つと、自分に自信が持てない大人になってしまう傾向があります。
他人に依存しがち
自己肯定感が低い人は、自分を認めてもらいたいという承認欲求が高いです。しかしそれは、相手がいないと成り立ちません。
そのため誰かに依存して甘えることで、自分は誰かに必要とされているということを実感したがります。
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謙遜しがち
常に謙遜している人も、自己肯定感が低い人の特徴です。
山根さんによると、日本では謙虚であることは美徳と考えられていますが、自己肯定感の観点からはNGである、と言います。
「反射的に謙遜してしまうのは、『自己肯定感が低めの人』のあるあるパターンなんです。褒められても素直に相手の気持ちを受け取れず、謙遜の言葉で自分の価値を低く見積もってしまうのです。
もちろん日本社会で生きていく上で、処世術として必要な場面はあるかもしれません。しかし過度に謙遜してしまう人は、『自分にはもったいない(自分にはそんな価値がない)』と自分の価値を無意識に下げています」(山根さん)
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自己肯定感を高める方法
自分を受け入れる
まずはありのままの自分を受け入れましょう。
山根さんは、自己肯定感をわざわざ高める必要はないと言います。
「自己肯定感はあったほうがいいのですが、『高めよう、高めなきゃ』と思うほど、それができない自分がもっとダメに思えて、かえって落ち込む人もいます。
良いも悪いも含めて今の自分にまず納得する。これは自分を客観視することであり、正しく自己認知することです」(山根さん)
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謙遜ワードをの代わりに「ありがとう」と言う
職場などで褒められても「そんなことないです」「すみません」と言いたくなることもありますよね。しかしこれからは「ありがとう」と言いましょう。
たとえば次のようなケースです。
・「仕事頑張ってるね」と言われて、これまでなら「いえいえ、まだまだです」と答えていたのを「ありがとうございます」に変えてみる
・何かしてもらったり手伝ってもらったりしたときに「手伝っていただいてすみません」と言っていたのを「ありがとうございます」に変えてみる
「ありがとうございます」で切り抜けられる場面が意外とあることに気づくはずです。職場で試しづらい人は、まずは身近な人から試してみましょう。
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自分の不安をノートに書き出してみる
今不安に思っていることをノートに書き出して、不安の「見える化」も効果的である、と山根さんは言います。
「ノートに書き出して不安の『見える化』をしてみましょう。やり方は簡単。スマートフォンやパソコンのメモ機能でもいいので、今不安に思っていることを書き出すだけ。
このときのポイントは2つあります。1つは、浮かんだ言葉をそのまま書くこと。どんな些細なことでも浮かんだものはメモしてください。
もう1つは出てきた言葉に対して、『どうしたらいいか』『こんなこと思ってはダメだ』といった判断をしないことです。頭で考えるのではなく、あくまでも心が感じている『不安』に焦点を当てたワークだからです。
書いていると、『○○がなくて不安』『こわい』など同じような言葉が出てくることがありますが、同じ言葉が出てきても大丈夫。思いついた言葉をそのまま書いてみましょう」(山根さん)
山根さん曰く、このワークは「不安の正体を暴く」ことで心を軽くするのが目的なのだそう。
「このワークの意味は、不安を目に見える形にすることにあります。
例えば、将来のことや仕事のことを考えていたら不安で眠れなくなってしまった。といった経験は、誰しもあるのではないでしょうか。これは、暴走しがちな『不安』という性質をよく表しています。
頭の中だけで考えていると、現実には起こっていないことまで気になってしまい、際限なく不安な気持ちだけ大きくなります。
そこで、このワークを使って不安の範囲を限定してあげることで、不安の正体に気づくことができるのです。正体を把握することで『思っていたほど不安じゃないかも?』と心が軽くなることもありますよ。
いずれにせよ、コロナがきっかけで今まで抱えていた不安が爆発しているだけの可能性もあるので、根っこの不安が何なのかを知ることが重要です」(山根さん)
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自己肯定感が低い人とつるまない
山根さん曰く「自己肯定感が低い人とは付き合わない方がいい」のだそう。
「『朱に交われば赤くなる』と言いますが、自己肯定感が低い人と一緒にいることで、あなたの自己肯定感まで下がってしまいます。
ここでいう自己肯定感が低い人とは、あなたや自分自身を大切にしない人のことです。
例えば、ダメ出しが多い人や自虐的なことを言う人は、自己肯定感が低い人です。あと意外と多いのが、何かにつけて『すみません』と謝ってくるタイプの人。このタイプも注意が必要です。
一見、謙虚で良い人に見えるのですが、実は卑屈になっているだけ。自分を下げる発言も、他人を下げる発言も根っこは自己肯定感の低さなのです」(山根さん)
嫌なことを言われてもスルーする
山根さんによると、嫌なことを言われてもスルーする力をつけることも大事だと言います。
「嫌なことを言われたら、基本スルー。同じ土俵で戦わない。自己肯定感を下げないための大原則です。
嫌なことを言ってくる人は、相手を下げないと自分の価値が確かめられない、自己肯定感が低い人です。その人と言い争うことは、あなたまでその人と同じレベルに下りていくことになってしまいます。
もしその人の発言にカチンときたら、むしろ自己研鑽のチャンスと考えて。
腹が立ったりカチンとくるときは、その人の発言の中に、あなたが言われたくないこと、図星なこと、何かしら『反応するタネ』があなたの中にあるときです。
相手にするより、受け止められる部分は受け止めて自分磨きに使いましょう」(山根さん)
苦手なことを克服・我慢しない
山根さんは、苦手なものを努力で克服することも間違いである、と言います。
「苦手なものは、努力で克服することが『良いこと』だと思っていませんか? 実はこれ、自己肯定感の観点からは間違いです。なぜなら、苦手を克服するためには『できない自分』と必ず向き合わなくてはいけないからです。
克服しようとする→やっぱりダメだった→なんでダメなんだ?
この『自分責め』のループこそが、自己肯定感を下げる原因になってしまいます」(山根さん)
実はこの苦手を克服する行動の裏には、その何倍も「自分を責める」という思考が隠されているのだそう…!
「思えば、日本の教育では『嫌いなものも残さず食べなさい』『苦手なものも頑張りなさい』と当たり前のように教えられます。この当たり前が無意識のうちに『努力で苦手を克服するのが良いこと』という刷り込みになっています。努力して得られる達成感の裏には、その何倍もの『自分責め』が隠されています。
『あー、もう無理』となったら、1人で頑張らずに誰かにお願いするクセをつけてみて。『それできるよ』っていう人が、絶対に世の中にはいます。あなたの苦手は、誰かの得意。逆もまた然りです。自分の得意を活かすことが、誰かを助けることにもつながります」(山根さん)