自己肯定感を「下げない」ためにしない方がいいこと
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自己肯定感という言葉が浸透して、「上げ方」ばかりが注目されているように思います。低かった自己肯定感を上げるのですから、一見いいことのように見えますよね。でも実は、無理に自己肯定感を上げようとしても逆効果になることがあるんです。
なぜなら、自己肯定感が低い人の多くが「自分責め」をしがちだから。
何かにつけて、「〜しない自分はダメ」「こんな失敗をするのは自分に力がないからだ」と自分にダメ出しをしてしまうのです。
この「自分責め」は大人になるまでに身につけてしまった、心のクセのようなもの。
このクセを持ったまま自己肯定感を上げようとしても、それは「自己肯定感が低い今の自分」を責める新たな理由を与えてしまいます。
これでは、上がるものも上がりませんよね。
そんな自己肯定感が低い人にとって、自己肯定感を取り戻すための最初の一歩は、自己肯定感を「下げない」ことです。
今回は、そのための3つの「しない」ことをご紹介していきます。
◆その1:自己肯定感が低い人とつるま「ない」
「朱に交われば赤くなる」と言いますが、自己肯定感が低い人と一緒にいることで、あなたの自己肯定感まで下がってしまいます。
ここでいう自己肯定感が低い人とは、あなたや自分自身を大切にしない人のことです。
例えば、ダメ出しが多い人や自虐的なことを言う人は、自己肯定感が低い人です。あと意外と多いのが、何かにつけて「すみません」と謝ってくるタイプの人。このタイプも注意が必要です。
一見、謙虚で良い人に見えるのですが、実は卑屈になっているだけ。自分を下げる発言も、他人を下げる発言も根っこは自己肯定感の低さなのです。
◆その2:嫌なことを言われたら戦わ「ない」
嫌なことを言われたら、基本スルー。同じ土俵で戦わない。自己肯定感を下げないための大原則です。
嫌なことを言ってくる人は、相手を下げないと自分の価値が確かめられない、自己肯定感が低い人です。その人と言い争うことは、あなたまでその人と同じレベルに下りていくことになってしまいます。
もしその人の発言にカチンときたら、むしろ自己研鑽のチャンスと考えて。
腹が立ったりカチンとくるときは、その人の発言の中に、あなたが言われたくないこと、図星なこと、何かしら「反応するタネ」があなたの中にあるときです。
相手にするより、受け止められる部分は受け止めて自分磨きに使いましょう。
◆その3:克服し「ない」、我慢し「ない」
苦手なものは、努力で克服することが「良いこと」だと思っていませんか?
実はこれ、自己肯定感の観点からは間違いです。
なぜなら、苦手を克服するためには「できない自分」と必ず向き合わなくてはいけないからです。
克服しようとする→やっぱりダメだった→なんでダメなんだ?
この「自分責め」のループこそが、自己肯定感を下げる原因になってしまいます。
思えば、日本の教育では「嫌いなものも残さず食べなさい」「苦手なものも頑張りなさい」と当たり前のように教えられます。
この当たり前が無意識のうちに「努力で苦手を克服するのが良いこと」という刷り込みになっています。
努力して得られる達成感の裏には、その何倍もの「自分責め」が隠されています。
「あー、もう無理」となったら、1人で頑張らずに誰かにお願いするクセをつけてみて。
「それできるよ」っていう人が、絶対に世の中にはいます。
あなたの苦手は、誰かの得意。逆もまた然りです。自分の得意を活かすことが、誰かを助けることにもつながります。
自己肯定感を「下げない」ことは自分を大切にすること
いかがでしたか。ここでご紹介した3つの「しない」は、裏を返せば自己肯定感の低い人がやりがちなことでもあります。
「自分にも当てはまる…」と落ち込んでしまっても、気にしないでください。
これらは全部あなたの心のクセが自動発動して、勝手にさせていること。ただのクセなので、対処法としては気がついたらやめてみるだけで良いのです。
ついクセが発動してしまっても、「あ〜やっちゃったな〜」でOKです。
くれぐれも「またやってしまった」と自分を責めないで。自分を大切にする習慣を身につけるつもりで気軽にやってみてください。
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もっとメンタルノイズについて知りたい! そう思った方は、山根洋士先生の本を読んでみてください。自己肯定感や心のノイズについてより詳しく書かれています。
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お話を伺ったのは… 心のクセを直す「メンタルノイズ」カウンセラー 山根洋士(やまね・ひろし)
これまでに8000人以上の悩みを解決してきた心理カウンセラー。
両親の離婚、熱中していたスポーツの挫折、就職の失敗などを経てノンフィクションライターとして成功をつかむものの、激務でダウン。過労死寸前まで追い詰められ、入院生活を送る中で心理療法と出会って人生が激変。「なんのために生きるのか」を模索した末に、心の風邪薬のようなカウンセリングを提供したいという想いから、カウンセラーになる。
心理学だけでなく、数多くの経営者やプロスポーツ選手、芸能人等への取材経験、AIやロボット工学、脳科学などを取り入れた、メンタルノイズメソッドを開発。実践中心のカウンセリングで一線を画す。
カウンセリングには、著名な精神科医やスピリチュアリスト、占い師などに相談しても結果が出なかった人が殺到。すぐに実践できるワークと、論理的なセッションで好評を博している。
メンタルノイズ心理学 山根洋士公式YouTubeチャンネル
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