あなたの肩甲骨ゴリゴリに固まっていませんか?
普段のデスクワークに加えて、テレワークで運動不足になってしまい、肩や背中のこりがひどくなる人も多いのではないでしょうか? 実はその痛み、肩甲骨が影響しているのかもしれません。放っておくと、頭痛などの他の症状の原因にも…。早めの対処で、こりをほぐしていきましょう。今回は、肩甲骨がゴリゴリ鳴る原因と解消のために取り入れたいストレッチを紹介。まずは自分の肩甲骨の状況も確認してみましょう。
〈POINT〉
・肩甲骨の柔軟性を確認してみよう
・首から肩にかけての筋肉もほぐそう
・肩甲骨まわしで可動域をアップ
・日々の積み重ねが大事
肩甲骨がゴリゴリなる【原因】
肩甲骨のこりはなかなか自覚しにくい部分。肩こり解消のつもりでマッサージに行ってはじめて「肩甲骨が固まっていますね」と言われたことがある人も。ここでは肩甲骨が固まる原因や、セルフチェックのポイントを紹介します。
肩こりを引き起こす5つの原因
\教えていただいたのは、一般内科医・成田亜希子先生/
姿勢の悪さ
肩こりを引き起こす主な原因は、「姿勢の悪さ」です。
普段から猫背や前屈みの姿勢の人は、僧帽筋などの筋肉が引き伸ばされて負担がかかった状態となり、血行悪化が生じやすくなります。また、長時間のパソコン操作など前屈み気味の体勢を長く続けることも血行悪化につながります。
荷物が重い場合
肩・首・背中の筋肉は物を持ち上げたりする際に動かされます。過度な運動は筋肉の血行を悪化させるだけでなく、筋肉の線維にダメージを与えて痛みを引き起こすことも少なくありません。
このため、重たい荷物を持ったり、ショルダーバックを長時間使用して肩周りの血行を悪くすることで肩こりを引き起こすことがあります。
枕が合っていない
十分な睡眠や休息をとっても肩こりが改善しない場合や、朝起床時に最も肩こりがひどくなる場合は、枕やベッドマットなどの寝具が身体に合っていない可能性があります。
睡眠中は副交感神経が働くため、全身の血管が拡張して血行が良くなります。そのため、肩こりは良質な睡眠をとることである程度は改善しますが、睡眠中に首や肩に負担がかかっていたり、余計な力が入って十分にリラックスできない状態続くと肩こりが改善しないばかりでなく、起床時に強いこりを感じることも少なくありません。
病からくる場合
頑固な肩こりは、日常生活上の原因で生じる単なる肩こりではなく、思わぬ病気が原因のことがあります。
具体的には全身の血行が悪化する高血圧や自律神経失調症、肩の筋肉に炎症を起こしうる肩関節周囲炎(五十肩)や頚椎症、歯の噛み合わせの悪さを引き起こす虫歯や歯肉炎、肩周りに余計な力が入りがちになる目や鼻などの病気が挙げられます。
肩こり以外にも思い当たる症状がある場合には、とくに注意が必要です。
ストレス
肩こりとストレスはあまり関連がなさそうにも思えますが、実は綿密な関係があります。
日常的に多くのストレスを抱えがちな人は、自律神経のバランスが乱れがち。とくに、ストレスが強いときは交感神経が過敏に働くようになります。交感神経は血管の収縮を促すため、血行が悪化することで肩こりが生じやすくなるのです。
また、ストレスを抱えている人は知らず知らずの内に身体に力が入っていることも多く、首や肩に余計な負担がかかることで肩こりを引き起こすことも少なくありません。
肩甲骨周りの筋肉が固まっている
長時間のデスクワークやスマホの見過ぎで、肩こりが気になる、背中が丸まり姿勢が悪いという人は、肩甲骨周りの筋肉がこり固まっている可能性が。筋肉の柔軟性が失われれば、ゴリゴリと堅い肩こりの原因にもなります。
まずは、自分の肩甲骨周りが、どの程度固くなっているかをチェックしてみましょう。いずれも楽にできるほど肩甲骨周りの筋肉が柔らかく、やりにくければこり固まっている傾向にあります。
1. 背中側で合掌
指が上に来るように両手のひらを背中側で合わせ、その手を簡単に上へ上げることができれば、肩甲骨周りの筋肉の柔軟性に問題はないと考えてよいでしょう。
2. 目の前で合掌
両手のひらと両ひじを胸の前で合わせます。そのままひじが離れないように上げていきます。あごのラインまでひじが上がればOK!
3. 背中側で手を組む
ひじを曲げ片腕を上から、もう片腕を下から背中に回し、背中側で手を組むことができれば問題ありません。
上記の3つができない人は、ぜひ肩甲骨周りのストレッチをおこなってみましょう。
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肩こり【解消】のために取り入れたい対策
肩甲骨や肩のコリは、頭痛やめまいなど他の体調不良を引き起こす原因にも。そうなる前にしっかりと対策をしていきましょう。ここでは、日々の生活の中で、肩こりを解消するために取り入れたい行動を紹介。「よく動かすこと」が柔軟性への近道です。
背中・肩周りを鍛える
\ふたたび、成田先生に教えていただきました/
成田先生によると、肩こりは首や肩、背中などの筋肉を鍛えることで発症を予防することができます。
筋肉は運動を行うために多くの酸素を必要とするため、毛細血管が非常に発達している部位です。しかし、あまり使われず痩せた筋肉は毛細血管も減少し、血行が悪くなります。その結果、肩こりを起こしやすくなるのです。
また、あまり使われない筋肉は老廃物が停滞して「痛み物質」の産生が促されるため、痛みを伴う肩こりの原因となることも少なくありません。
このような筋肉の衰えによる肩こりを防ぐためにも、日頃から僧帽筋や菱形筋など肩こりに関係する筋肉のストレッチや筋力強化を行うことが大切です。
また、猫背の人や前屈みの姿勢をとりやすい人は、正しい姿勢を維持して首や肩の余計な負担を軽減するため、腹筋や背筋を鍛えるのもおススメです。
しかし、いずれの筋肉を鍛える際にも無理なトレーニングは筋肉にダメージを与え、かえって肩こりを悪化させるきっかけになることがあります。やり方が分からないときは、整形外科などで理学療法を受けるのも一つの方法です。
PCやスマホの見過ぎ・長時間の同じ姿勢に気をつける
パソコンやスマホを長時間同じ姿勢で使用することで首や肩の筋肉が固縮し、強いこりを引き起こします。眼精疲労による頭痛は首や肩のこりが原因で引き起こされることも。
肩こり、眼精疲労・それに伴う頭痛などの症状がひどい時は、こまめに休憩を入れて目を休め、長時間画面を見続けることを避けましょう。また、同時に首や肩のストレッチ運動をしたり、ゆっくり湯船につかって血行を改善することもおすすめです。
長時間スマホ、PCによる眼精疲労。現代病の治し方を女医が教えます!
症状がひどく長引くなら整形外科の治療も視野に
成田先生によると、生活習慣に関連する原因の場合には、その原因を改善し、ストレッチやマッサージなどを行って血行を改善することで自然と解消していくことが多いですが、長期間放置された肩こりは、これらの小手先のセルフケアを行っただけでは改善しないことも多く、肩や首の痛さやダルさ以外にも深刻な症状を引き起こすことがあります。
肩こりと共に次のような症状が長引く場合には、「単なる肩こり」を軽く考えずに病院での治療を受けることをおススメします。
・非常に強い頭痛や頭重感
・吐き気
・めまい
・強い全身倦怠感
・首や肩が動かせない
成田先生曰く、こうした場合には整形外科での診療が適している一方、頑固な肩こりは高血圧や目の病気、頭の病気などが原因で引き起こされていることがあります。肩こり以外にも気になる症状がある場合には内科や眼科など、それぞれの症状に合った診療科で相談するのも一つの方法です。
肩周りの筋肉をほぐす【ストレッチ】
ひどい肩こりが続くと肩の可動域が狭くなるので、肩甲骨のストレッチが必要になります。手軽にできるストレッチで少しずつ肩甲骨の動きをよくしていきましょう。
座ったまま! 30秒でできる「三日月のポーズ」
ふだんあまり動かすことのない脇腹を伸ばす「三日月のポーズ」は、上半身を気持ちよく伸ばして、血流促進、肩こり改善、姿勢改善に効果的だと言われているポーズです。
【HOW TO】
1|姿勢を正して座る
肩の力を抜いてリラックス!
2|息を吸いながら左手を左耳の真横に伸ばす
肩が上がりがちなのでできるだけ耳と肩の距離を遠ざけましょう。
3|息を吐きながら上半身を横に倒す。反対も同様に!
ふぅ~っと息を吐いて… 左腕を天井斜め上に刺すようなイメージで。左の骨盤が浮かないように、腕と骨盤を引っ張り合います。吐く息ごとに、左の肋骨の間がぐーっと広がって呼吸が入りやすくなっていくのを感じて。大きく呼吸しながら15秒キープ。余裕がある人は視線を天井方向に向けても◎。
仕事の合間に! 座ったままの簡単ストレッチで肩こり解消〈Oggi専属読者モデル 賀来みな美〉
タオルを上げ下げ「肩甲骨のストレッチ」
タオル1枚あれば、会社のデスクでも簡単に取り入れられるストレッチ。仕事の合間に、猫背になってこり固まった肩甲骨をリセットするのに、効果的!
【HOW TO】
1|肩幅の長さにタオルを持つ
坐骨を立たせて、背筋を伸ばし、正しい姿勢で座る。
2|タオルをまっすぐ上げる
息を吸いながら両腕を伸ばして、タオルをまっすぐに上げます。このときタオルは頭の真上にくる位置に持っていきましょう。
3|頭の後ろを通るようにしてタオルを下ろす
息をゆっくりと吐きながら、タオルが頭の後ろを通るようにして、腕を下ろしていきます。頭の位置を固定しつつ、反り腰にならないように注意して。このタオルの上げ下げを10往復を目安にやってみましょう。
首から肩にも効く「僧帽筋ストレッチ」
肩の緊張をほぐすのに効果的なストレッチを、近畿大学 生物理工学部准教授・谷本道哉先生に教えていただきました。会社でも自宅でも、簡単にできるストレッチ。肩の緊張がじんわりと解けていくのが気持ちいい♡
【HOW TO】
椅子に浅く座って足首に手をかけ、足の重みで肩を下げつつ、首を斜め前に倒す
\首を倒す正解の方向は人それぞれ。首から肩にかけて筋肉が心地よく伸びていると感じられる方向へ/
【POINT】
✔︎心地いい方向へ首を斜め前に倒す
✔︎頭の先端を持つ
✔︎背筋は伸ばしたまま
✔︎足首の重みで体を引っ張る
Oggi流「筋肉体操」大公開! 筋肉指導者&イケメン弁護士が伝授します♡【肩こり・腰痛】
最後に
集中して仕事をしていると肩こりのほうに目がいきがちですが、肩甲骨のこりは知らず知らずのうちに深くなっています。また、こりの原因にもなる猫背はスタイルが悪く見える原因にも。放っておくと、頭痛やほかの症状を引き起こしやすくなるので、猫背や体のだるさをそのままにしている人は気をつけて。今回紹介したストレッチを仕事の合間や寝る前に取り入れて、肩甲骨を柔らかくしていきましょう。
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