筋肉痛を楽しみながら進める! 食べるダイエット8
このダイエットシリーズも8回目になった。この原稿が世に出るころには、新型コロナウイルスの「大嵐」が一段落という感じになっていることを願うが、どうだろうか。この新型コロナウイルスの嵐のさなか、先日、日本でも有数の男性下着メーカー(パンツ屋さん)の創設者である友人(と言うと失礼か。人生の先輩)から早朝にLINE電話がなった。このコラムがなかなか面白いというお褒めの言葉だった(これは余談)。曰く、「今がチャンス!」という。
その趣旨は、「お商売の関係で、今までは忙しすぎて会うことのできなかった方や、それこそ、用件だけ済ませれば、それで失礼していた方と、なんか、腰を据えてゆっくり話す時間もある」また「『こんな大変な時期にわざわざ有り難う。じゃあ、この際…』みたいに、意外なところで感謝されて、お商売の話が順調にいったりもする」とのこと。
考え方とか気の持ち方でスマートな考えのできる人もいるんだなと感心した。気候もよくなる、この時期、このダイエットシリーズもスポーツジムに行けなくても、部屋にいても、「食べて鍛える、筋トレ」で今がチャンスかもしれない。
◆下半身と上半身を交互に鍛えて!
前回「筋肉痛を指標にトレーニングを進める。筋肉痛を楽しもう!」と書いた。そして、筋肉痛を指標にしての下半身のトレーニングを紹介した。お気づきかもしれないが、もし適度な筋肉痛があれば、2日ほどは「トレーニングの休息日」となり、毎日、筋肉痛を楽しむことができない。もったいない。この間の「休息日」に、上半身のトレーニングを入れていくのがコツ。そうすると、毎日、年中、筋肉痛を楽しむことができる。
上半身のトレーニングの仕方も下半身と同じ。できるだけ大きな筋肉の筋肉痛を指標に。上半身で大きな筋肉といえば、まずは大胸筋(胸の筋肉)、広背筋(背中の翼)、上腕筋(二頭筋が力こぶ、三頭筋が皆さんが気にするプルプルの部分)。一番、有名でやりやすいのは、腕立て伏せ。大胸筋と上腕筋が鍛えられる。角度や姿勢で若干鍛える筋肉が異なる(らしい)が、余り気にする必要はない。
下半身と上半身を交互にトレーニングすることでほぼ毎日、気持ちの良い筋肉痛が得られる。これで、目標にはほぼ到達できるようになると思う。
◆筋肉痛とは筋肉の適度な健康的炎症
こうやって、「筋肉痛」愛好者のようなことを言っていても専門性がみえないので、筋肉痛を少し医学的見地から説明しておこうと思う。私は、採血するといつも、GOTが高く出る。GOTとは言わずと知れた、GPTと並ぶ、肝臓の病気の指標の1つ。
これだけなら、肝臓の病気を心配してしまうが、GOTは筋肉からも漏れ出す。私の場合、CKという筋肉酵素もいつもかなり高くでる。CKは筋肉から漏れ出す酵素で、高いと、救急では心筋梗塞なども考える。これらを総合的に考えると、私は、筋トレのしすぎでGOTとCKがいつも高い。
「筋肉痛」は医学的にはGOTとCKの値と、問診で診断がつく。もう一つ、多くの医者も知らないと思うが、自分で実験した結果では、「筋肉痛」の時は、炎症反応を示す「CRP」の値も激高くなることを確認している。CRPが高いと通常は細菌感染などのひどい感染症を疑うが、基本的には体に炎症があるとCRPはあがる。医学的には「筋肉痛とは、筋肉の適度な健康的炎症」ということができる。
次回、もう少し、具体的な上半身と下半身のトレーニングの仕方をお話ししたいと思う。あと、「筋トレはキッチンでおこなう!」ということもくれぐれもお忘れなく。通常の研究活動抑え気味、面談禁止、外出自粛の今のうちにコラムの書き溜めをしておく。「今がチャンス!」なのだから。
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国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉
1995年 金沢大学医学部卒業、2000年 医学博士。
2001年-2007年 ハーバード大学医学部Dana-Farber癌研究所。2007年より現職。
専門は、分子腫瘍学、RNA生物学および内科学。がん細胞の増殖と、コロナウイルスを含むRNAウイルスの増殖に共通の仕組みがあることを突き止めており、双方に効く治療薬の開発が可能かもしれないと考えている。
専門分野:分子腫瘍学、RNAウイルス学、RNAの生化学、内科学。
趣味:筋トレ