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BEAUTY

2020.04.24

【医師監修】食べることがダイエット成功の秘訣! 脂肪を分解したいなら…

国立がん研究センター研究所でがん幹細胞研究分野分野長をつとめ、がん細胞の増殖と、コロナウイルスを含むRNAウイルスの増殖に共通の仕組みがあることを突き止めており、双方に効く治療薬の開発が可能かもしれないと考えている増富先生の健康コラム。今回は、医学的に考えるダイエットについて解説。

国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉

基礎代謝量を増やすことの方が効率的! 食べるダイエットのすすめ2

(c)Shutterstock.com

前回、「食べることがダイエット」「食べることが筋トレ」という考え方を皆さんにお示しした。それではなぜ「食べることがダイエット」なのかについて各論的にお話ししていこうと思う。その前に、ダイエット途中断念の理由で一番多いのは、きっと「お腹がすいた」ではないだろうか? 継続可能なダイエット方法ってありませんかね?

いうまでもなく、人間は生き物のひとつであるのだから、「生きること」が目的の生物である。哲学的、文学的観点での考え方はさておき、「生きること」とは科学的には「エネルギーを産生」することなのである。何のためにエネルギーを産生するかというと、動くため、考えるため、生きるためである。こうしているうちに哲学的になってしまった。

要は、医学的、科学的には、人間をはじめとして生き物はすべてエネルギーの収支のバランスで生きている(動いている)のだ。ダイエットに話を戻そう。

◆1日のエネルギー収支の計算式

(c)Shutterstock.com

一日の人間をエネルギーの収支を表現すると下の式で表される。

食事で取ったエネルギー)−(基礎代謝量)−(運動などで使ったエネルギー)=(余ったエネルギー)ないしは(足りないエネルギー

もっとかみ砕いた式で表すと

食事量)−(基礎代謝量)−(運動量)=(正の値:将来の脂肪量)ないしは(負の値:今ある脂肪の分解量

ということになる。賢明な女性読者の皆さまなら、即座に理解していただけると思うが、ダイエットを成功させるには、上の式の答えを負の値(マイナス)にして、脂肪の分解に持ち込みたいところだ。それにはどうするのがよいかというと、基礎代謝量と運動量を増やせば良いのだ。

プロのスポーツ選手でもあるまいし、通勤通学、会社勤務以外の時間で行える運動量はたいしたことはない。とすると、基礎代謝量を増やすのが一番効率的。以前にも述べたが、「基礎代謝量とは一日中寝っ転がっていても人間が必要とする一日のエネルギーのこと」。睡眠中でもゴロゴロしていても、心臓も動いているし、息もしている、食べたものの消化もしている、筋肉もピクピクと動いている。これらの「活動」自体の全てにエネルギーを必要としているのだ。

この基礎代謝量こそが、最もありがたい、そして、楽ちんなエネルギー消費を表す指標なのだ。睡眠中でもエネルギー消費してくれる、ありがたいエネルギー消費方法なのだ。なので、体重計に乗ったとき、体重ではなく一日基礎代謝量を意識していただきたい(今時の体重計は、乗るだけで一日基礎代謝量を表示してくれるしほぼ正確)。

◆食べることがやせるための秘訣

(c)Shutterstock.com

この基礎代謝量を上げる最も効果的な方法としてできるだけ筋肉量を増やすことが効率的とされている。そして、この筋肉量を増やすことの80%から90%が食事、すなわち台所でのクッキングによって決まるということになる。

ダイエットというと体重を減らすことばかりに意識がいきがちになるのだが、基礎代謝量が上がったあかつきには、体重の変化もさることながら(正しく基礎代謝量を上げれば絶対に体重も減る)、皆さんのスタイルは随分と異なっていることに気がつくはずだ。

だます気は毛頭ないが、だまされたと思って信じてみて欲しい。それよりも、皆さん、「減らせ減らせ」といわれるより「増やせ」といわれる方がやる気出ません?

体重減らす(最低3%、極力5%)より、基礎代謝量増やす方(まずは1日30キロカロリー)が、絶対やる気出ると思うし、体重計も売れると思う。

この基礎代謝量を上げるために重要なのが筋肉であり、筋肉といえば一般的には筋トレとなるのである。繰り返しになるが、筋トレでも筋肉をつけるのはスポーツジムではなく、キッチンだ! 筋肉は食べなければ絶対につかない! 食べることがやせるための秘訣なのだ!

それでは、次回までもう少し食べ続けていただきたい。次回から、筋肉をつけるための秘訣を医学的に解説していこうと思う。次回のこのコラム読まないと、「そのままダイエット失敗」しますのでご用心。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉

1995年 金沢大学医学部卒業、2000年 医学博士。
2001年-2007年 ハーバード大学医学部Dana-Farber癌研究所。2007年より現職。
専門は、分子腫瘍学、RNA生物学および内科学。がん細胞の増殖と、コロナウイルスを含むRNAウイルスの増殖に共通の仕組みがあることを突き止めており、双方に効く治療薬の開発が可能かもしれないと考えている。
専門分野:分子腫瘍学、RNAウイルス学、RNAの生化学、内科学。
趣味:筋トレ

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