激しくない運動で痩せる! 食べるダイエットのすすめ7
今回から、いよいよ、運動(筋トレ)を具体的に説明していこうと思う。
その前に、皆さんの興味があるかもしれないことを。「部分やせ」という言葉。これは医学的にはほぼ無理なことです。物理的に「ある部分を取り除く」という「部分削除」は可能でも、「部分やせ」というのはほぼ無理だと思う。ただし、多くの人が「部分やせ(削除)」を希望する場合の、「部分」というのは大抵は食べるダイエットの実践で「最初に痩せ始める部分」(お腹は除く)であるので、基本的には皆さんの目的の達成はできると信じている。
◆筋トレを始めるなら大きな筋肉から
では、繰り返し言い続けてきた、「基礎代謝量を上げるために身に纏っている筋肉」。この筋肉をつける目的で行う食事と筋トレ。どこからどう始めていくか?
答えは「体の中で、できるだけ大きな筋肉から」。大きな筋肉というと下半身に集中しているのはご存じだろうか?
少し気になったので、やや余談になるが。こうして、「筋肉、筋肉」といっていると読者の賢明で美しい女性から、敬遠される読み物になってしまう危険があるような気がしてきた。
「筋肉なんて興味ありませーんッ。特に、下半身に筋肉なんてつけたくありませーんッ!」というごもっともなご意見もあると思う。でも心配はいりません。
「筋トレしたくらいで、そんなに簡単に筋肉なんてついてくれませーんッ! 脂肪を落とすことの方がはるかに簡単でーすッ!」
以前にも書いたが、「コラーゲン食べて翌朝お肌ピチピチ」になるほど人間の体は効率的にはできていない。皆さんが、心配するほどの筋肉をつけようと思えば、それこそ極めて激しいトレーニングが必要だ。そこまで激しい筋トレをするつもりは毛頭ないのでご安心いただきたい。
◆筋肉痛を目安に筋トレ
話を元に戻すが、大きな筋肉は、下半身に集中している。具体的には、大臀筋(おしりの筋肉)、大腿四頭筋(いわゆる太もも)、背筋群、下腿三頭筋(いわゆるふくらはぎ)これらをまずは鍛えていこう。もう一度いいますが、心配はいりません。そんなに簡単に筋肉はついてくれません。思い切ってやって大丈夫です。全部いっぺんに鍛えようと思えば、やはり走ること。できればダッシュ! でも恥ずかしいですよね、「一人ダッシュ」。なので筋トレしましょう。
筋トレと言えば、トレーナーの数だけやり方があるといわれるくらいに手技がある。「自重でいいの?」「フォームは?」「回数と時間」など、とにかく筋トレは言い出せば切りがないほど細かいことがたくさんある。まず総論的に重要な極意を1つだけ。
「筋肉痛を指標にトレーニングを進める。筋肉痛を楽しもう!」
筋トレの場合、翌日に筋肉痛がないのは、「負荷が軽すぎる」か、フォームなどを含めて「やり方を間違っている」のいずれかが原因。ただ、後者の「やり方を間違っている」場合でも究極的には、負荷が軽すぎるというところにいきつくので、筋肉痛が出ない原因は「負荷が軽すぎる」ということになる。なので、翌日、筋肉痛があれば取り敢えずのトレーニングは成功していることになる。
では、まず、今日から、筋肉痛を指標に下半身のトレーニング(なんでもいい)を開始していただきたい。
もし明日、筋肉痛がなければ、工夫して負荷量(回数でも重さでも)を上げてやり直し。
もし明日、筋肉痛があれば、2日間は筋肉痛を楽しみながら、よちよち歩きしながらトレーニングは中止。3日目にトレーニング再開して、再び筋肉痛を目指す。
次回、もう少し、具体的な下半身のトレーニングの仕方と筋肉痛の合間に入れる上半身のトレーニングをお話ししたいと思う。あと、「筋トレはキッチンでおこなう!」ということもくれぐれもお忘れなく。
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国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉
1995年 金沢大学医学部卒業、2000年 医学博士。
2001年-2007年 ハーバード大学医学部Dana-Farber癌研究所。2007年より現職。
専門は、分子腫瘍学、RNA生物学および内科学。がん細胞の増殖と、コロナウイルスを含むRNAウイルスの増殖に共通の仕組みがあることを突き止めており、双方に効く治療薬の開発が可能かもしれないと考えている。
専門分野:分子腫瘍学、RNAウイルス学、RNAの生化学、内科学。
趣味:筋トレ